従業員を雇って給料を支払うことになった場合

給与と源泉徴収

まず、従業員を雇って給料を払うことになったら、
「給与支払事務所等の開設の届出」を税務署へ提出する必要があります。
給料を支払うようになってから1ヶ月以内に税務署へ提出しましょう。

なお、開業届にも「給与等の支払の状況」の欄があるので、
新規開業の際にここの欄へ必要事項を記入した人は提出しなくてもOKです。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

従業員へ給与を支払うようになった個人事業主は「源泉徴収義務者」となり、
給与を支払う際に源泉徴収を行うのが義務になります。
また同時に、外注先の個人事業主へ「源泉徴収が必要な報酬・料金等」を支払う際にも源泉徴収をする義務が生じることになります。

まず従業員には、毎年最初の給与をうける前日までに、
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらいましょう。

この申告書に書かれた扶養の状況が、毎月の源泉徴収額に関わってきます。
特に控除がない従業員も提出しておく義務があります。

この申告書は「扶養控除」「配偶者控除」「障害者控除」「寡婦・寡夫控除」「勤労学生控除」などの各種控除をチェックするための申告書です。 >> 所得控除一覧

従業員から提出してもらった申告書は、
税務署に提出するわけではなく個人事業主が保管しておきます。
>> 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告 - 国税庁ウェブサイト

源泉徴収税額表の見方

個人事業主は、この「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらって、
それぞれの従業員の扶養などの状況を把握します。
そして、扶養の状況などを「源泉徴収税額表」と照らし合わせて、
源泉徴収の税額を決定します。

この源泉徴収税額表では、「その従業員の扶養などの状況」「給与の金額」
この2つのポイントから源泉徴収の税額が算出できるようになっています。

>> 源泉徴収税額表の見方 - 給与所得の源泉徴収税額を算出

源泉徴収した税額を差し引いて給与を支払った場合の帳簿づけ

源泉徴収税額表をもとにして源泉徴収税額が分かったら、
その税額を差し引いた金額を給料賃金として支払います。
社会保険などがある場合には、それらも差し引いた額が従業員の手取り給料となります。

源泉徴収したお金は、一時的に事業主が預かっているお金なので、
「預り金」の勘定科目で仕訳しておけばOKです。
複式簿記での帳簿づけでは、以下のようになります。(「現金」の部分は「預金」でも構いません。)

借方貸方
給料賃金現金(もしくは預金)
預り金

>> 給料賃金の仕訳をもっと詳しく

源泉徴収税額を管理する帳簿を用意する

源泉徴収した税額を年間を通して管理するために、
「源泉徴収簿」を作成しておきましょう。

国によって作成された「給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿」というものがありますが、
給与台帳などをつかって管理しても構いません。
記録する帳簿については、とくに決まりがありません。

>> 給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿の作成 - 国税庁ウェブサイト

年2回でまとめて納付!「源泉所得税の納期の特例」

従業員への給与から源泉徴収を引いたら、事業主の手元に源泉所得税が残るはずです。
これは、国の代わりに事業主が一時的に預かっている税金なので、
この源泉徴収して預かっている税金は、翌月の10日までに国へ納税する必要があります。
例えば、9月25日に従業員へ給与を支給した場合、預かった源泉所得税は10月10日までに国へ納税する義務があります。

ただ、毎月源泉所得税を納めるのが面倒な場合もあるかと思います。
給与の支払い人員が10人未満の源泉徴収義務者は、
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署へ提出することにより、
年2回のまとめ納付でOKになります。

  • 1月 ~ 6月までの源泉所得税は、7月10日までに納付
  • 7月 ~ 12月までの源泉所得税は、翌年の1月20日までに納付

これにより、従業員の源泉所得税だけでなく、 税理士などの「士業」の方へ報酬を支払った場合の源泉所得税もまとめて納付できるようになります。 ただし、フリーランスへ支払う原稿料やデザイン料などの報酬については、この特例の対象になりません。

この申請書の提出期限は特になく、提出した日の翌月に支給する給与等から適用されます。
A4用紙1枚なので簡単に提出できます。 >> 国税庁ウェブサイト - 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請

>> 源泉所得税の納期の特例の詳細はこちら

源泉所得税の納付方法

源泉所得税を納付する時には、
「給与所得、退職所得等の所得税徴収高計算書(納付書)」を添えて納税します。

伝票のような紙です。

税務署名、整理番号、源泉所得税を払う日にち、
払った従業員の人数、給与を支払った日にちなどを記入します。
>> 納付書の記載の仕方 - 国税庁ウェブサイト

ちなみに、源泉徴収の税額が0円の場合でも「所得税徴収高計算書」を提出する義務があります。
その場合は0円と書いて、計算書だけを提出します。
0円で計算書だけを提出する場合は、管轄の税務署だけが提出先となります。

預り金である源泉所得税を納付した場合、複式簿記では下記のように仕訳します。

借方貸方
預り金現金(もしくは預金)

>> 個人事業の源泉徴収に関するまとめへ