労災保険と雇用保険 - 個人事業の労働保険について

個人事業主の労働保険

労働保険とは? - 労災保険と雇用保険

個人事業主のあなたが従業員を雇用する場合には、
「労働保険」に加入する必要があります。
労働保険とは、「労災保険」と「雇用保険」の総称を指します。

労働保険は強制加入のため、加入手続きをしていないと法律違反となります。

労働保険
労災保険雇用保険

労働者(アルバイトやパートスタッフを含む)を一人でも雇っていれば、
業種や事業規模の大きさなどを問わず、必ず加入する必要があります。
加入の手続きは、事業主が行います。
労働保険の加入手続きは、保険関係が成立した日から10日以内に所轄の「労働基準監督署」で行います。 その後、いくつかのステップを踏んで労働保険の手続きが完了します。(厚生労働省 - 労働保険の成立手続

労働保険は、労働者(従業員)のための保険であって、
雇用者である個人事業主本人が、下記の労働保険に加入することはできません。

基本的に、労災保険料と雇用保険料を合わせて労働保険として一緒に納付します。 このように、労災保険と雇用保険の保険料の申告・納付等を両保険一本として行う事業を、一元適用事業と呼びます。 多くの事業者は一元適用事業に当てはまります。

一方、労災保険と雇用保険の適用の仕方を区別して、保険料を別々に切り離して考える必要がある事業は二元適用事業と呼ばれ、農林漁業や建設業などがこちらに当てはまります。

労災保険 - 加入義務や保険料率について

労働保険には「労災保険」と「雇用保険」があるのでした。
労災保険とは、従業員が業務中や通勤中に、ケガや死亡事故などがあった場合に備える保険を指します。 正式名称は「労働者災害補償保険」で、一般的には「労災保険」と呼ばれています。

労災保険には、必ず加入する必要があります。
アルバイトやパートと行った雇用形態を問わず、また数時間ほどの労働でもこちらは加入しなければなりません。

労災保険の保険料は、雇用側の個人事業主が全額を負担することになっています。
従業員が労災保険の保険料を負担する必要はありません。

労災保険の保険料率は、業種によって大きく異なります。 例えば、金属鉱業では8.8%と高い料率ですが、金融業や通信業などでは0.25%と低い料率です。
このように、事業内容の労災リスクに応じて、保険料率が定められています。
労災保険は、平成27年度に料率が改訂され、平成29年度も平成27年度と同じ料率がそのまま適用されます。

平成27年4月以降の労災保険料率 - 各業種の料率例

事業の種類労災保険料率
金属鉱業、石灰鉱業など8.8%
林業6%
食料品製造業0.6%
交通運輸事業0.45%
小売業、飲食業など0.35%
通信業、出版業など0.25%
金融業、不動産業など0.25%
厚生労働省 - 平成29年度の労災保険料率

厚生労働省の資料では、保険料率の単位が分かりにくく表示されているので注意しましょう。

雇用保険 - 加入条件や保険料率について

雇用保険とは、労働者が病気や事故など、何らかのやむを得ない事情で失業してしまった場合に、 再就職するまでの一定期間、お金を受け取ることができる保険を指します。 一般的に「失業保険」と呼ばれているのは、雇用保険の基本手当のことを指します。

雇用保険は、1週間の労働時間が20 時間以上で、なおかつ、 31日以上雇用の継続見込みがある従業員が1人以上いる場合に加入が必要となります。 正社員はもちろん、アルバイトやパートスタッフだけでも対象になります。

上述の「労災保険」は雇用側が全額負担でしたが、
この雇用保険は、雇用側と労働側のどちらも一定割合の負担をします。

従業員からすれば、雇用保険料が給料から天引きされる形になります。

2017年(平成29年)度の雇用保険料率は、一般の事業の場合、
労働者負担が0.3%、雇用者側が0.6%、合計0.9%です。

農林水産・清酒製造の事業の場合、労働者0.4%と雇用者0.7%、
建設事業の場合、労働者0.4%と雇用者0.8%の負担となっています。

平成29年4月1日〜平成30年3月31日の雇用保険料率

労働者雇用者合計
一般の事業0.3%0.6%0.9%
農林水業・清酒製造の事業0.4%0.7%1.1%
建設の事業0.4%0.8%1.2%

ちなみに平成27年度は、一般の事業で労働者負担が0.5%、雇用者側が0.85%、合計1.35%でした。 平成28年度は、一般の事業で労働者負担が0.4%、雇用者側が0.7%、合計1.1%でしたが、 平成29年3月の改正でさらに保険料率が引き下がりました。

労働保険料の計算について

労働保険の保険料は、年度当初に概算で申告・納付することになっています。
各事業者の事業年度ではなく、労働保険の年度更新時期に申告・納付します。
毎年6月1日〜7月10日がその年度更新の時期で、基本的にはこの期間に予定額を一括納付します。

概算の保険料が総額40万円以上の場合は、納付を3回に分けて行うことができます。
(業務内容上、労災保険か雇用保険のどちらか一方のみの場合は、20万円以上)

年間給与の総額に、労働保険料率(労災保険料率+雇用保険料率)をかけて労働保険料を算出できます。 労災保険の料率と雇用保険の料率は、上述の通りです。

労働保険料の計算式
年間給与 × (労災保険料率+雇用保険料率) = 労働保険料

平成29年度、小売業で、従業員の年間給与が360万円(月給25万円×12ヶ月、夏季賞与30万円、冬季賞与30万円)の場合で計算してみましょう。

平成29年度、小売業の労災保険料率は0.35%
平成29年度、一般の事業の雇用保険料率は0.9%
(小売業は「一般の事業」に当てはまります)

0.0035(労災保険料率) + 0.009(雇用保険料率) = 0.0125(労働保険料率)
360万円 × 0.0125 = 45,000円

この場合、45,000円が労働保険料の総額となります。
さて、「労災保険料」は雇用側が全額負担するのでした。
一方、「雇用保険料」は雇用側と労働側が、それぞれ一定割合ずつ負担します。
この例の場合、雇用保険料率0.9%のうち、労働者負担は0.3%、雇用側負担は0.6%となります。
(上述の平成29年4月1日〜平成30年3月31日の雇用保険料率

360万円 × 0.003 = 10,800円
この10,800円が従業員側の負担になります。
実際には、給与支払いの都度、月給や賞与から少しずつ差し引くことになります。
(月給25万円 × 0.003 = 750円 賞与30万円 × 0.003 = 900円)

したがって、労働保険料の総額から従業員側の負担分を差し引いた金額が雇用側が納付する保険料となります。 45,000円 − 10,800円 = 34,200円
この場合、34,200円が雇用側の個人事業主が負担する労働保険料ということになります。

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