個人事業主の付加年金 - 受給額や控除など

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更新日 2023年4月07日

個人事業主の付加年金について

付加年金とは?

付加年金とは、国民年金の保険料に追加で付加保険料(一律400円)を上乗せして納めることで、 将来的に受給する年金額を増やすことができる年金です。 「国民年金第1号被保険者」と「任意加入被保険者」が付加年金に加入できます。

付加年金を納めることができる人

第1号被保険者任意加入被保険者
個人事業主、学生、無職の人など簡単にいうと、若いときに年金をきっちり払っていなかった60歳〜65歳の国内在住者

任意加入については、国外在住の場合は20歳〜65歳でも加入できるなど、細かな留意点あり
任意加入制度の詳細はこちら - 日本年金機構

個人事業主は第1号被保険者に当てはまるので、付加年金に加入できます。 ただし、国民年金保険料の免除・猶予を受けている方、国民年金基金の加入者、特例による任意加入被保険者は、 加入することができません。

第2号被保険者(会社員や公務員)は付加年金に加入することができません。 厚生年金の加入者は付加年金に入れないということです。 第3号被保険者(専業主婦など)も付加年金に加入することはできません。

付加年金の加入申し込みは、市区町村の役所の窓口で行えます。 申し込んだ月の分から、付加保険料を納付することができます。 納期限は翌月末日ですが、この納期限を経過した場合でも、 期限から2年間はさかのぼって付加保険料を追納することができます。

付加保険料を支払うのをやめる場合には「付加保険料納付辞退申出書」を提出することで解約することができます。

付加年金の保険料と受給額

上述の通り、付加保険料は400円(月額)です。これを国民年金の保険料に上乗せして納めることになります。 令和5年度の国民年金保険料は16,520円なので、付加年金保険料を合わせると16,920円(月額)になります。
16,520円 + 400円 = 16,920円

付加保険料を納めることによって、将来的に受けとれる年金が増加します。 付加保険料を納付することで「200円 × 納付月数」が、将来的に受けとれる年金に毎年加算されます。

将来的に支給される金額

例えば、20歳から60歳までの40年間、国民年金に上乗せして付加保険料を払い続けた場合
200円 × 12ヶ月 × 40年 = 96,000円
この場合は96,000円が、将来的に年金に加算されて毎年支給されるわけです。

40年間で納付する金額

付加保険料を40年間きっちり納付した場合の総支払額は192,000円です。
400円 × 12ヶ月 × 40年 = 192,000円

上述のように、40年間付加保険料を支払った場合は、 年間で96,000円の付加年金が受けとれるのでした。 つまり、たったの2年で元がとれるわけです(96,000 × 2 = 192,000)。 付加年金は、亡くなるまで受け取ることができます。

国民年金基金・確定拠出年金との併用について

国民年金基金との併用はできない

付加年金と同じように、国民年金に加えて任意で加入できる個人事業主の年金に「国民年金基金」があります。 国民年金基金に加入している場合、付加年金に加入することはできません。 これは国民年金基金に付加年金相当が含まれているからで、二重加入を防ぐためです。

個人型確定拠出年金(iDeCo)との併用はできる

一方、個人事業主が加入できる「個人型確定拠出年金(iDeCo)」との併用は可能です。 この場合に注意しておきたいのは、付加年金とiDeCoを合計した上限金額です。

通常、iDeCoの掛金上限は月額68,000円ですが、付加保険料を納付している場合は、それと合計して68,000円が上限となります。 つまり、付加保険料は月額400円なので、iDeCoの掛金上限は67,000円となります。 (iDeCoの掛金は1,000円単位での変更となるので)

社会保険料控除として所得から全額控除できる

付加保険料として支払った金額は、国民健康保険や国民年金と同じく社会保険料控除として所得から全額控除できます。400円 × 12ヶ月 = 4,800円(年間)が、所得から全額控除できます。

国民年金に上乗せして納付するので、付加年金の帳簿づけを特別に行う必要はありません。 なお、そもそも国民年金は帳簿上では個人事業主のプライベートな支出と考えるので、 国民年金の支払いについても帳簿づけを行う必要はありません。

事業用の銀行口座から保険料を振替納付したなどで、一応帳簿をつけておく必要がある場合には、 「事業主貸」の勘定科目を利用して仕訳しておきましょう。

付加年金を含んだ国民年金保険料の仕訳例

日付借方貸方摘要
20XX年5月31日事業主貸 17,000普通預金 17,000国民年金保険料

※ 実際の納付額は年によって異なります

付加年金は国民年金と合算して振替するので、このように仕訳しておけばOKです。

個人事業主の付加年金まとめ

将来的な年金の受給額を増やしたい場合、個人事業主は任意で付加年金に加入することができます。 付加年金の保険料は一律で月額400円です。将来的には「200円 × 納付した月数」の付加年金が毎年受け取れます。 リターン率の良い年金制度なので、条件に当てはまる方は検討してみて下さい。

付加年金と国民年金基金の併用はできません。一方、個人型確定拠出年金(iDeCo)と付加年金を併用することはできます。 ただしこの場合、iDeCoと付加年金の合計で掛金の限度額が68,000円(月)となります。

付加年金の保険料は、国民年金保険料に上乗せして納付するので、特に仕訳の必要はありません。 やむをえず国民年金の納付額を仕訳する場合には「事業主貸」の勘定科目で記帳しましょう。

  • 個人事業主は任意で付加年金に加入できる
  • 付加年金の保険料は月額400円と少額
  • 将来的には「200円 × 納付月数」の付加年金が毎年受けとれるのでお得
  • 国民年金基金との併用はできないが、確定拠出年金との併用はできる
  • 納付した保険料は社会保険料控除として全額が控除できる
  • 国民年金の納付額に上乗せされるので、特に仕訳の必要はない

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