課税事業者になったら何をする?

課税事業者になったら何をする?

そもそも課税事業者とは?

以下のどちらかに当てはまる個人事業主は、消費税の「課税事業者」と見なされ、売上にかかる消費税の納付義務を負います。なお、要件に当てはまらなくても、申請をすれば任意で課税事業者になることもできます。

課税事業主の要件

  • 前々年の課税売上高が1,000万円を超えている
  • 前年上半期の課税売上高と、その間に支払った給与等の両方が1,000万円を超えている

「課税売上高」とは、消費税のかからない取引を除いた売上のこと。消費税はほとんどの取引で発生するため、基本的には「売上」と読み替えてOKです。なお、上記のどちらにも当てはまらない個人事業主は「免税事業者」として、売上にかかる消費税の納付を免除されます。
>>消費税の納付義務について

課税事業者がすべき4つのこと

課税事業者になったら、所得税と同じように、消費税についても確定申告をして納付することになります。そのために必要な帳簿づけなども含め、課税事業者にはざっくり以下のような作業が必要です。

  1. 「課税事業者選択届出書」を提出する(任意で課税事業者になる場合)
  2. 帳簿づけの方式を決める
  3. 消費税の確定申告を行う
  4. 消費税を納付する

なお、①の届け出が必要になるのは、任意で課税事業者になる場合のみ。課税事業者になってからは、「消費税額が算出しやすい帳簿づけ」と「消費税の確定申告」が必要になります。

1. まずは「課税事業者選択届出書」を提出する【任意の場合】

任意で課税事業者になるには、まず「課税事業者選択届出書」を税務署に提出する必要があります。原則として、提出した翌年から課税事業者になります。ちなみに、任意で課税事業者になると、最低でも2年間は免税事業者に戻ることができません。

課税事業者選択届出書

2023年10月から導入される「インボイス制度」に備えて、任意で課税事業者になろうと考えている事業主も多いでしょう。インボイス制度で不利にならないためには、「適格請求書発行事業者の登録申請書」も提出する必要があるので注意してください。

ちなみに、2023年中に限っては「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出すれば、それが承認された時点から課税事業者になれます。この場合「課税事業者選択届出書」の提出は不要。インボイス制度の開始直前なら、関連する手続きをまとめて行えるということです。
>>インボイス制度に向けて免税事業者がすべきこと

2. 帳簿づけの方式を決める - 税抜 or 税込

課税事業者は、帳簿づけの方法を「税抜経理方式」と「税込経理方式」から選択できます。簡単に言えば、記帳の際に消費税を分けて書くか、消費税込みで書くかというだけの違いです。どちらを選択しても、消費税の納税額は変わりません。

ただし、固定資産を取得する際などは「税抜経理方式」の方が少しだけおトクになります。税抜経理方式なら、消費税を取得価額に含めなくてよいためです。取得価額が少なくなる分、早めに経費計上できたり、固定資産税を抑えられたりと、ちょっとおトクになるのです。

税抜経理方式

たとえば10,000円(税込11,000円)の商品を販売した際、税抜経理方式の複式簿記では以下のように記帳します。ちなみに、仕入れなどの際に支払った消費税は「仮払消費税」として計上する形になります。

日付借方貸方摘要
2019年12月2日現金 11,000売上 10,000商品A
仮受消費税 1,000

税込経理方式

10,000円(税込11,000円)の商品を販売した際、税込経理方式では以下のように記帳します。ちなみに、免税事業者は必ず税込経理方式で記帳を行います。

日付借方貸方摘要
2019年12月2日現金 11,000売上 11,000商品A

税込経理方式の場合は、取引にかかる消費税率を判別できるよう、目印を付けておく必要があります。たとえば、軽減税率の対象取引には「※」のマークを付けるなど。また、非課税取引や不課税取引も、別の印で区別できるようにしなくてはなりません。
>>非課税取引や不課税取引とは?

3. 消費税の確定申告を行う

課税事業者は、所得税の確定申告とは別に「消費税の確定申告」を行う必要があります。申告期間は、原則として毎年1月1日~3月31日。この確定申告で、消費税の納付額を決定します。

納付額の算出方法

課税事業者は、売上と一緒に受け取った消費税をすべて納付するわけではありません。「受け取った消費税」から、仕入れなどの際に「支払った消費税」を差し引いて、その差額を納めるのです。消費税の確定申告では、この差し引き計算を行います(仕入税額控除)。

仕入税額控除のイメージ

ちなみに現状では、要件を満たせば「支払った消費税」の額をおおよその割合で見積もる「簡易課税制度」を利用することもできます。この場合、納税額の算出がカンタンになります。ただし、簡易課税制度はインボイス制度の導入と同時に廃止される予定です。

4. 消費税を納付する

消費税の確定申告で納付額が決定したら、確定申告期限日(原則3月31日)までに納付を行います。納付方法は、基本的に所得税と同様です。窓口での納付に加え、口座からの振替納税や、ネット上でのクレジットカード納付などが選択できます。

消費税の主な納付方法

概要事前申請
窓口納付金融機関や税務署に出向いて納付する方法
手数料は不要、上限金額も無い
不要
コンビニ納付QRコードを使ってコンビニで納付する方法
手数料は不要だが、納付できる上限は30万円
不要
クレジットカード納付専用サイトにクレカ情報を入力して納付する方法
納付額1万円につき約76円(税抜)の手数料がかかる
不要
振替納税預貯金口座からの振替で納付する方法
手数料は不要、上限金額も無い
必要
ダイレクト納付e-Taxを介して口座振替を行い納付する方法
手数料は不要、上限金額も気にしなくてOK
必要

なお、厳密に言うと消費税には、国に納める「消費税」と、地方自治体に納める「地方消費税」の両方が含まれています。とはいえ、納付はまとめて行ってOKです。ちなみに、消費税と地方消費税は、税率ごとに以下のような内訳になっています。

軽減税率標準税率
消費税(国に納める)6.24%7.8%
地方消費税1.76%2.2%
合計8%10%

>>消費税の納付方法について

納税額が増えたら中間納付が必要に

消費税(地方消費税を含めない)の納税額が48万円を超えたら、翌年は「中間納付」を行います。納税額は変わりませんが、分割払いのように納付の回数が増えるということ。基本的に、中間納付は6月に一度だけ行いますが、納税額が400万円を超えると、さらに回数が増えます。

まとめ - 課税事業者一年目のスケジュール

消費税の課税事業者になったら、収入や支出にかかる消費税の金額をわかりやすく記帳し、それをもとに消費税の確定申告を行わなくてはなりません。消費税の確定申告は「所得税の確定申告」とは別に行い、そこで算出した消費税額を3月末までに納付します。

任意で課税事業者になる場合は、まず「課税事業者選択届出書」を税務署へ提出する必要があります。届出書を提出した翌年から、課税事業者とみなされます。

課税事業者一年目のスケジュール

なお、要件を満たして強制的に課税事業者になる場合は、届出書の提出が不要です。また、2023年中に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出すると、それが承認された時点から課税事業者になれるため、この場合も届出書が不要になります。

課税事業者になった方がいい?

2023年10月から導入される「インボイス制度」によって、課税事業者は免税事業者に「支払った消費税」を「受け取った消費税」から差し引けなくなります。その分、納める消費税が増えるということ。そのため課税事業者は、免税事業者との取引を減らしていく可能性があります。

とはいえ、わざわざ課税事業者になった方がいいかどうかはケースバイケース。制度の内容を理解した上で、慎重に検討しましょう。
>>インボイス制度に向けて免税事業者がすべきこと

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