青色申告の会計ソフト比較一覧【個人事業主向け】
更新日 2024年5月01日
- 青色申告対応の会計ソフト【比較一覧表】
- ポイント① 青色申告承認申請書を作成できる?
- ポイント② 複式簿記での帳簿づけがカンタン?
- ポイント③ 確定申告書類をラクに作成できる?
- ポイント④ 電子申告への対応は進んでいる?
- ポイント⑤ 帳簿・書類の電子保存に対応している?
- 青色申告ソフトの比較まとめ
青色申告対応の会計ソフト【比較一覧表】
個人事業主の「青色申告」に対応する主な会計ソフトをまとめました。どのソフトも、帳簿づけから確定申告までの基本的な機能は備えています。その上で、重要なプラスアルファの機能といえる「自動仕訳」や「電子申告」について、比較情報を下表にまとめています。
青色申告の会計ソフト【比較一覧表】
料金 (税込) |
対応OS | 自動 仕訳 |
電子 申告 |
操作画面 | |
---|---|---|---|---|---|
やよいの青色申告 オンライン |
11,330円/年~ クラウド |
○ | ○ | ||
freee会計 |
12,936円/年~ クラウド |
○ | ○ | ||
マネーフォワード クラウド確定申告 |
11,880円/年~ クラウド |
○ | ○ | ||
HANJO 会計 |
12,936円/年 クラウド |
○ | △ | ||
ジョブカン青色申告 |
13,200円/年 クラウド |
○ | ◯ | ||
やよいの青色申告 |
15,400円~ インストール |
○ | ○ | ||
みんなの青色申告 |
10,780円 インストール |
○ | △ | ||
やるぞ!青色申告 |
9,680円~ インストール |
× | △ | ||
ジョブカン 青色申告/確定申告 |
5,500円~ インストール |
○ | △ | ||
MJS かんたん!青色申告 |
7,920円 インストール |
○ | △ |
特におすすめなのは「弥生」「freee」「マネーフォワード」のクラウド会計ソフトです。3社とも機能が充実しているうえ、会計の初心者から経験者まで使いやすいインターフェイスになっています。
- クラウド会計ソフトとは?
- インターネットのブラウザ(Chrome、Safari、Edgeなど)で利用する会計ソフト。昔ながらの「インストール型会計ソフト」に代わる新しいサービス。自動仕訳や電子申告の機能が充実しており、青色申告者にとってメリットが多い。
>> クラウド型とインストール型の違い
ここからは、会計ソフトを選ぶ際に重視すべきポイントを順番に解説していきます。「まだまだ迷うなぁ…」という人は参考にしてください。
会計ソフト選びで重視すること【主な比較ポイント】
ポイント① 青色申告承認申請書を作成できる?
- 大前提として、青色申告をするには「青色申告承認申請書」の提出が必要
- 一部の会計ソフトメーカーは、申請書をオンラインで作れるサービスを提供している
- 申請手続きをパパっと済ませたい人は、これらのサービスから使い始めるのがオススメ
たとえば、クラウド会計ソフト大手のfreeeとマネーフォワードは、それぞれ「freee開業」と「マネーフォワード クラウド開業届」というサービスを提供しています。このサービスで「開業届」や「青色申告承認申請書」をオンライン作成できます。
これらの書類は、本来は税務署に備え付けの用紙に記入して提出するものですが、freeeやマネーフォワードのサービスを利用することで、作成がより簡単になります。サービス利用後は、そのまま各社のクラウド会計ソフトの無料体験を始められます。
青色申告承認申請書を作成できるサービスの比較
freee開業 | マネーフォワード クラウド開業届 | |
---|---|---|
作成画面 | ||
利用料金 | 無料 | 無料 |
印刷して提出 | ○ | ○ |
オンライン提出 | ○ | ○ |
申請書をオンライン提出するには、「マイナンバーカード」と、それを読み取る機器(ICカードリーダーや対応機種のスマホ)が必要です。もちろん、印刷したものを税務署へ持って行っても問題ありません。
ポイント② 複式簿記での帳簿づけがカンタン?
- 55万円 or 65万円の青色申告特別控除を狙うなら「複式簿記」での記帳が必須
- 初心者は、簡単に複式簿記の形式で帳簿づけできるソフトがオススメ
- 「自動仕訳機能」が優れたソフトなら、記帳業務をさらに効率化できる
本来、複式簿記で帳簿づけするには、取引を「借方」と「貸方」に分けて記帳できる程度の知識が必要です。しかし、昨今の会計ソフトには初心者向けの入力画面が用意されていて、ほとんど会計知識がない人でも複式簿記による仕訳ができるようになっています。
簡易的な取引入力画面の例(クラウド会計ソフト大手3社の場合)
やよいの青色申告 オンライン | freee会計 | マネーフォワード クラウド確定申告 |
---|---|---|
これらのクラウド会計ソフトでは、日付や勘定科目を選択し、摘要を入力するだけで記帳できます。入力した内容は、自動的に「借方・貸方」の形で反映され、キチンと複式簿記による帳簿が作成されます。会計初心者の個人事業主でも、簡単に帳簿づけできます。
自動仕訳機能
「自動仕訳機能」は、銀行口座やクレカの明細情報をソフトに取り込んで、自動的に勘定科目などを予測してくれる機能です。たとえば「マネーフォワード クラウド確定申告」では、取り込んだデータが一覧表示され、あとは「登録」を押すだけで帳簿づけできます。
「マネーフォワード クラウド確定申告」の画面例
ポイント③ 確定申告書類をラクに作成できる?
- 青色申告では、主に「青色申告決算書」と「確定申告書」を提出する
- 青色申告決算書は、どの会計ソフトでもほとんど自動計算で記入される
- 確定申告書は分かりづらい項目が多いので、丁寧なソフトじゃないと苦戦するかも
青色申告決算書の作成機能
青色申告決算書には、事業の売上や経費に関する情報を主に記入します。会計ソフトで帳簿づけしていれば、日々の記帳内容を自動的に集計してくれるので、ほとんど手間をかけずに作成できます。
上図は「やよいの青色申告 オンライン」で青色申告決算書を作るときの画面です。登録しておいた住所・氏名や、帳簿づけした収入・支出などの基本的な情報は自動で記入されているので、あとは各項目を確認し、必要に応じて手直しをするだけです。
確定申告書の作成機能
確定申告書には、事業以外の所得や、所得控除などについても記入します。これは会計ソフトに記帳した内容とは関係のない項目も多いので、決算書のように「ほとんど自動で完成!」とはいきません。ですから、確定申告の初心者にとっては、会計ソフトを使っていても苦戦しがちなポイントです。
確定申告に不慣れな個人事業主は、書類作成のインターフェイスが優れた会計ソフトを選んでおくとよいです。大手3社のクラウド会計ソフトは、どれも書類作成の流れや画面構成が初心者でも扱いやすいように工夫されています。
やよいの青色申告 オンライン | freee会計 | マネーフォワード クラウド確定申告 |
---|---|---|
とくに「freee会計」では、○×アンケートのような形式で申告書の作成を進められます。簡単な質問に答えていくと入力すべき項目だけが表示されるので、初心者でも「どこに何を記入したらいいんだろう?」と迷うことがありません。
ポイント④ 電子申告への対応は進んでいる?
- 確定申告書類をオンライン提出することを「電子申告」という
- 対応が進んだ会計ソフトならスムーズに電子申告できる
- 電子申告は青色65万円控除の要件でもある
従来、電子申告をするには国税庁の「e-Taxソフト」が必要でした。しかし現在は、電子申告への対応が進んだ会計ソフトを使っていれば、ソフトからそのまま電子申告できます(オンラインで本人確認するためにマイナンバーカードが必要)。
ただ、電子申告への対応状況はソフトによって異なります。たとえば、大手3社のクラウド会計ソフトでも、下記のような違いがあります。
電子申告への対応状況
弥生 | freee | マネーフォワード | |
---|---|---|---|
パソコンから電子申告 | ○ | ○ | △ e-Taxソフトの利用が必須 |
スマホから電子申告 | × | ○ | ○ |
「freee会計」は、個人事業主向け会計ソフトの中で、最も電子申告の対応が進んでいるソフトといえるでしょう。パソコンとスマホの両方から確定申告書類を作成できて、いずれもスムーズに電子申告できます。
一方「弥生」と「マネーフォワード」は、スムーズに電子申告できる条件が少し限られています。
ポイント⑤ 帳簿・書類の電子保存に対応している?
これは少し発展的な内容なので、帳簿や書類を「ひとまず紙で保管するよ」という人は読み飛ばしても構いません。
- 事業に関わる帳簿や書類は、基本的に「紙」での保存が義務づけられている(5~7年)
- ただ、いくつかの要件を満たせば「データ」のまま保存しておいてもよい
- 要件を満たせるかどうかは、利用するソフトの機能にかかっている部分が多い
帳簿や書類を電子保存する目的は、ざっくり言うと下記のどちらかです。目的に応じて要件の難易度が異なります。
帳簿や書類を電子保存する主な目的
- 紙での保存にかかる手間を減らすため → 要件は厳しくない
- 電子申告をせずに、電子帳簿保存によって65万円の青色申告特別控除を狙うため → 要件が厳しい
単にペーパーレス化するだけなら、最低限の要件を満たすだけで電子保存を実施できます。この場合の要件は「保存内容を速やかに表示・印刷できること」「必要に応じてダウンロードができること」などで、一般的なクラウド会計ソフトなら十分にクリアできます。
一方、電子帳簿保存で青色申告の65万円控除を狙うには、仕訳帳と総勘定元帳を「優良な電子帳簿」と認められる形で保存する必要があります。この場合は要件が厳しく、現状は一部のソフトしか対応していません。
たとえば、同じ弥生の製品でもクラウド型の「やよいの青色申告 オンライン」とインストール型の「やよいの青色申告」では、電子帳簿保存への対応状況が異なります。
電子帳簿保存の対応状況(弥生製品の比較)
やよいの青色申告 オンライン (クラウド型) |
やよいの青色申告 (インストール型) |
|
---|---|---|
最低限の要件 (ペーパーレス化のみ) |
○ | ○ |
厳格な要件 (青色65万円控除) |
× | ○ |
なお「電子申告」をすれば、わざわざ「電子帳簿保存」をしなくても65万円の青色申告特別控除を受けられます。したがって、電子帳簿保存の「厳格な要件」を満たす会計ソフトを無理に選ぶ必要はありません。
青色申告ソフトの比較まとめ
会計ソフト選びのポイント(青色申告の個人事業主向け)
- ソフトによっては「青色申告承認申請書」をオンライン作成・提出できる
- 複式簿記が不安なら、記帳画面が初心者向けに工夫されたソフトを選ぶべし
- 自動仕訳機能の使い勝手が良いソフトなら、記帳業務を大幅に効率化できる
- 初心者には、確定申告書類作成のインターフェイスが優れたソフトがオススメ
- スムーズに電子申告できるソフトなら「時短 & 青色65万円控除」で一石二鳥
- 「電子帳簿保存」の対応状況はあまり気にしなくてもOK
これから導入するなら、断然「クラウド型」の会計ソフトがおすすめです。インストール型ソフトで扱いにくい点が改善されたようなもので、上記のようなポイントに配慮して作られています。
クラウド型とインストール型の一般的な特徴
クラウド型 | インストール型 | |
---|---|---|
帳簿づけ画面 | ○ シンプルで使いやすい |
△ やや古めかしい |
自動仕訳機能 | ○ 連携できる金融機関が多い |
△ 連携できる金融機関が少なめ |
申告書類の作成画面 | ○ 初心者向けに工夫されている |
△ 実際の書類作成に近いつくり |
電子申告 | ○ ソフト上で完結できる場合が多い |
△ e-Taxソフトを介する場合が多い |
電子帳簿保存 | △ 最低限の要件はクリアできる |
○ 厳格な要件にも対応している |
とくに、弥生・freee・マネーフォワードの大手3社が提供するクラウド会計ソフトは、会計初心者から上級者まで使いやすい操作画面になっています。利用料金も他ソフトの相場と変わりません。
クラウド会計ソフト大手3社の比較表
弥生 | freee | マネーフォワード | ||
---|---|---|---|---|
料金 (税込) |
月額契約 | - | 1,628円~ | 1,408円~ |
年額契約 | 11,330円~ | 12,936円~ | 11,880円~ | |
帳簿づけ画面 | ||||
自動仕訳 | ○ | ○ | ○ | |
申告書類の作成画面 | ||||
電子申告 (e-Tax) |
○ PCからなら簡単 |
◎ OSや端末を問わず簡単 |
○ スマホからなら簡単 |
|
その他の主な機能 | ・分析レポート作成 ・消費税申告 |
・分析レポート作成 ・消費税申告 ・請求書の作成 |
・分析レポート作成 ・消費税申告 ・請求書の作成 ・給与計算 ・勤怠管理 |
|
弥生 | freee | マネーフォワード |
上記3つのクラウド型会計ソフトは、将来的に法人化を見据えている個人事業主にもおすすめです。3社とも中小企業向けの会計ソフトを用意しているので、法人成りしても慣れたインターフェイスで会計業務が行えます。
ちなみに、どれも一定期間は無料でトライアルが可能です。まずは、操作感を実際に試してみるとよいでしょう。
>> やよいの青色申告 オンライン(公式)
>> freee会計(公式)
>> マネーフォワード クラウド確定申告(公式)