個人事業で従業員を雇用する場合のまとめ

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更新日 2023年4月03日

個人事業で従業員を雇用する場合

従業員と専従者の違い

個人事業でも、株式会社などの法人と同様に、従業員を雇用することができます。個人事業においては、家族や親族で事業を手伝ってくれる人を「専従者」として、一般の従業員とは区別するのが大きく異なるところです。法人では、一緒に仕事をしてくれる人が、家族であろうとなかろうと、区別はしません。

専従者とは?
専従者とは、納税者と生計を一緒にしている親族で、納税者の経営する事業に従事している人のことを指す。 かんたんに言うと、個人事業を手伝ってくれている家族や親族のこと。

通常の従業員と専従者では、給与の扱いが異なります。たとえば、従業員への給与は「給料賃金」として必要経費にできます。しかし、専従者への給与は、その申告方法によって扱いが異なります。

従業員と専従者で異なる給与の扱い

従業員専従者
給料賃金」として経費にできる白色:一定額まで控除できる(最高86万円)
青色:「専従者給与」として経費にできる

白色申告では、専従者が事業主の配偶者であれば、最高86万円の「白色事業専従者控除」として控除できます。配偶者でなければ、専従者一人につき最高50万円を控除できます。 青色申告では、専従者への給与を「専従者給与」として経費にできます。

従業員の社会保険 - 厚生年金と健康保険

法人の場合は、たとえ社長一人でも社会保険(厚生年金・健康保険)への加入が義務づけられています。しかし、個人事業では必ずしも義務付けられているわけではありません。

個人事業の場合は、常時5人以上の従業員が働いているのであれば、加入が義務になります。(5人以上でも任意適用となる業種もあり。)

社会保険の加入義務について

法人個人事業
社長一人でも加入義務あり従業員5人以上で加入義務あり
(5人以上でも任意の業種あり)

事業所における従業員の数が4人以下の場合には、社会保険への加入が「任意」です。ちなみに、事業主本人はこの人数にカウントしません。

>> 従業員の社会保険 - 厚生年金と健康保険

従業員の労働保険 - 労災保険と雇用保険

従業員を雇う場合、その従業員を「労働保険」に加入させます。「労働保険」とは、「労災保険」と「雇用保険」の総称です。下表の通り、たとえちょっとした雇用であっても、労災保険は必ず加入しなければなりません。

労災保険と雇用保険の概要

労災保険 雇用保険
概要 業務中や通勤中のケガや死亡事故などに備える保険 労働者が失業してしまった場合に備える保険
義務 雇用形態や労働時間を問わず、加入義務あり 「1週間の労働時間が20時間以上」かつ 「31日以上雇用の継続見込み」があれば加入する
負担 事業主が全額を負担する 事業主と労働者で負担する
料率 業種による
(多くは1%未満)
事業主0.95% 労働者0.6%
(一般の事業)

事業主自身は、原則的には「労災保険」にも「雇用保険」にも加入することができません。ただし「労災保険」だけは、特定業種で個人事業主でも加入できる「特別加入」の制度が用意されています。たとえば建設業などで、労災リスクが高い業種の場合には、このような特別加入制度を利用して事業主も労災保険に加入します。