個人事業主の住民税 - 計算方法、納付時期、均等割・所得割など

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更新日 2022年4月11日

個人事業主の住民税

所得税の確定申告をしていれば、なにか別途で住民税の申告をする必要はありません。 確定申告書類を税務署に提出しておけば、その内容が各自治体に伝達されることになっています。 これをもとに、地方自治体から納税者に「住民税決定通知書」が送付されます。

住民税の納付時期

毎年6月頃に、地方自治体から税額の通知書が郵送されます。 住民税は、納税者が「一括払い」か「分割払い」を選ぶことができます。 分割払いの場合は、6月・8月・10月・翌年1月の4回に分けて、それぞれの末日までに納税します。 なお、一括納付をしても納付金額の割引などはありません。

6月に届く住民税の通知書には、税額が4つに分けられた分割用の納付書と、1つにまとめられた一括用の納付書が同封されています。 分割払いか一括払いは、納税者が自由に決める事ができます。

住民税の納付期限(原則)

第1期分第2期分第3期分第4期分
6月30日8月31日10月31日翌年1月31日

期限日が土日祝の場合は翌平日にずれる

なお、会社員の場合は、会社が毎月の給料から住民税を差し引き、本人の代わりに納めておくのが一般的です。 このような形を住民税の「特別徴収」と呼びます。 個人事業主の場合は、上記のように納税者本人が4回に分けて納税するのが基本です。 こちらは「普通徴収」と呼びます。

住民税の納付方法

住民税は、税務署や役所へ直接行って納付できます。 1枚あたり30万円以下の住民税額であれば、専用の納付書でコンビニ払いなども可能です。 銀行や信用金庫、郵便局の窓口で納税することもできます。

住民税を納付できる窓口

  • 税務署
  • 市区町村の役所
  • 銀行、郵便局(ゆうちょ銀行)、信用金庫などの金融機関
  • コンビニ(納付額30万円以下の場合のみ)

また、口座振替の申請を出すことで、銀行口座からの振替納付にすることもできます。 この場合は基本的に、6月末日、8月末日、10月末日、翌年1月末日、 この4回にわたって指定した口座から振替されることになっています。 銀行や信用金庫、信用組合、ゆうちょ銀行などが対応しています。

均等割(みんな一律の部分)

住民税には「都道府県民税」と「市区町村民税」があります。 そして、それぞれに「均等割」と「所得割」の2種類があります。 納税者へ届く納付書には、これらを合算した金額が記載されています。

住民税は、通知された金額を納税するものです。自分で計算をする必要はありません。 税金の内訳が気にならない方は、この辺りは読み飛ばして構いません。

均等割は、所得に関係なく、みんなに平等の税額が課せられます。
(均等割の住民税でも、一定の所得を下回ると免除してもらえます。)

東京都の場合 - 住民税の均等割

都道府県民税市区町村民税
1,000円(令和5年度までは1,500円)3,000円(令和5年度までは3,500円)

平成26年度〜令和5年度は、復興特別税が加算されて1,500円と3,500円になる

つまり、令和5年度(2023年度)までの東京都の均等割合計は、5,000円(1年あたり)です。 他の都道府県市町村でも、大体の地域で均等割は4,000円 ~ 5,000円前後です。

所得割(所得に応じてかわる部分)

所得割は、納税者の所得におうじて納める税額がかわります(収入 − 必要経費 = 所得)。 課税所得金額に税率をかけて計算します。ちなみに、専業の個人事業主で、もし赤字であれば所得割の金額も0円になります。

所得割の税率

都道府県民税市区町村民税
税率4%税率6%

4%と6%をあわせて、10%ですね。北海道夕張市、愛知県名古屋市、兵庫県豊岡市など、一部の地域では微妙に税率が異なりますが、 ほとんどの地域では、住民税の所得割の税率が合計10%です。

所得割の税額は、一般にこのような計算式で算出されます。

所得割の計算式
(所得金額 − 所得控除額)× 10% − 税額控除額 = 所得割の税額

所得控除額とは、配偶者や扶養家族の有無など、 その人の個人的な実情に応じた税負担になるよう差し引かれる控除額です。 >> 所得税と住民税の所得控除

税額控除額とは、 他の税金との二重課税を調整するなどの理由で差し引かれる控除額です。

ちなみに、確定申告書に記載した所得金額が住民税を計算するベースとなるので、 青色申告特別控除も住民税に反映されます(上記の計算式では「所得控除額」の部分に入ります。)。

均等割額 + 所得割額 = 住民税の金額

東京都の場合は、上で見たように均等割の税額が年間5,000円です(令和5年度まで)。 この5,000円に、所得割の税額を足した金額が、その人が1年間で納める住民税になります。

均等割額(5,000円) + 所得割額 = 住民税の金額

このように、全ての人に一律で課される「均等割」に、 それぞれの人の前年の所得に応じて課される「所得割」を加えた合計額が、 その人が納付すべき住民税の金額になります。 この合計金額が、住民税の納付書に記載されているわけです。 これを4回に分けて納税します。

住民税を納めたときの仕訳例

住民税は、事業主個人にかかる税金であり、個人事業の経費にはできません。 ですので、住民税を納めても特に帳簿づけをする必要はありません。

事業用の銀行口座から口座振替で納付した場合などで、 支払った住民税を記帳しておきたい場合には「事業主貸」という勘定科目で記帳しておきましょう。 先述の通り、経費にはできないので「租税公課」の勘定科目で記帳してはいけません。 >> 個人事業主が納付する税金の仕訳方法まとめ

住民税の仕訳例 - 複式簿記での仕訳方法

日付借方貸方摘要
20XX年6月30日事業主貸 100,000普通預金 100,000住民税納付

この「事業主貸」という勘定科目を使った仕訳は「事業用の預金口座から、事業主のプライベートな出費をしたよー」ということを表します。 住民税は事業にかかる税金ではなく、事業主個人にかかる税金なので、仕訳をする場合にはこの形でOKです。

>> 住民税の決定通知書はいつ届く?
>> 事業主貸・事業主借のおさらい
>> 個人事業主が納める税金の種類