クラウド会計ソフトのメリット - インストール型との違い
更新日 2024年7月05日
会計ソフトは「クラウド型」と「インストール型」に大別できます。近年、個人事業主のクラウド利用率がどんどん伸びています。本記事では、クラウド会計ソフトの利点を分かりやすく解説します。
- クラウド型とインストール型の違い【比較表】
- クラウド型会計ソフトのメリット
- ① インストールが不要
- ② こまめに無料でバージョンアップされる
- ③ 取引入力の自動化が得意(自動仕訳)
- ④ 操作画面がわかりやすい
- ⑤ 電子申告がしやすい(e-Tax)
- 今後もクラウド型のシェアが拡大
クラウド型とインストール型の違い【比較表】
「クラウド型」の魅力は、さまざまなデータの同期が自動で行われる点です。ソフトのバージョンアップや、記帳データのバックアップはもちろん自動ですし、銀行口座やクレカなどのオンライン明細も自動取得できます。
その他にも、クラウド型とインストール型には下記のような違いがあります。
クラウド型とインストール型の特徴【比較表】
クラウド型会計ソフト | インストール型会計ソフト | |
---|---|---|
インストール | 不要 | 必要 |
ネット環境 | 必要 | 不要 |
OS | Windows・Mac両方に対応 | ソフトによって異なる (Windows・Macどちらか) |
デバイス | PC・スマホ・タブレット等で使える | インストールしたPCでしか使えない |
料金形態 | 月額制 or 年額制 | パッケージ購入 or ダウンロード購入 |
バージョンアップ | 無料 | 有料 (年に1回) |
取引の入力 | 自動仕訳が充実 | 手入力が基本 |
インターフェース | シンプル | やや複雑 |
電子申告 (e-Tax) |
対応が進んでいる | 遅れ気味 |
主なソフト | ・やよいの青色申告 オンライン ・freee会計 ・マネーフォワード クラウド確定申告 |
・やよいの青色申告 ・みんなの青色申告 ・やるぞ!青色申告 |
>> 会計ソフトの一覧表
「クラウド型」は、アカウント登録したらすぐに利用開始できます。Chromeなどのブラウザからログインするだけで、いつでもどこでも同じ帳簿にアクセスできます。
「インストール型」は、ソフトをインストールしたパソコンでのみ利用できます。インストール後も、バックアップやアップデートなどの手間がかかります。強いて言えば、オフライン環境でも動作するのが唯一の利点です。
クラウド会計ソフトのメリット
クラウド会計ソフトの主なメリットを5つ紹介します。インストール型の会計ソフトと比較すると、下記のような利点があります。
- インストールが不要
- こまめに無料でバージョンアップされる
- 取引入力の自動化が得意(自動仕訳)
- 操作画面がわかりやすい
- 電子申告がしやすい(e-Tax)
ここからは、それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。
メリット① インストールが不要
クラウド型 | インストール型 |
---|---|
SafariやChromeなどの ブラウザからログインして使う | パソコンにソフトをインストールして使う |
PC・スマホ・タブレット等で利用可能 | PCでのみ利用可能 |
クラウド型会計ソフトは、パソコンにソフトをインストールする必要はありません。アカウント登録をしたら、ネットからログインしてソフトを使用します。もちろんパスワードは保存も可能です。毎回入力する必要はありません。
Gmailなどのサービスを利用している方は想像しやすいと思います。クラウド型はネット環境さえあれば、パソコンやスマホなどで利用できます。
一方、インストール型会計ソフトは、CD-ROMやダウンロードによってソフトをパソコンにインストールしてから利用します。インストール型は、ソフトをインストールしたパソコンでのみ会計ソフトを操作できます。
メリット② こまめに無料でバージョンアップされる
クラウド型 | インストール型 |
---|---|
月額払い or 年額払い | パッケージ購入 or ダウンロード購入 |
バージョンアップは無料 | バージョンアップが有料 (年に1回) |
インストール型は、パッケージ購入かダウンロード購入であるのに対し、クラウド型は月額か年額制で料金を支払います。
ただ、インストール型ソフトも1回料金を払えばそれで終わりということではなく、毎年ソフトをバージョンアップさせる必要があります。消費税や固定資産の償却率変更、その他の法改正に伴うシステムの変更は必須なので、年度ごとに更新されるバージョンアップ版を購入します。(バージョンアップ版は、初回購入の1割~3割引程度で購入できる。)
クラウド型は、バージョンアップが年度ごとではなくこまめに行われます。こちらは無料でバージョンアップできます。どちらにしても、会計ソフトには年間1万円弱のコストが発生すると考えて下さい。会計ソフトの購入費や利用料金は、消耗品費として経費計上します。
>> 会計ソフトを購入した場合の勘定科目について
メリット③ 取引入力の自動化が得意(自動仕訳)
「クラウド型」は、銀行口座やクレカのオンライン明細を自動取得して、帳簿へ反映させるのが得意です(自動仕訳)。ソフトが勘定科目を推測してくれるので、これを確認するだけで帳簿付けが完了します。
さらに、クラウド型会計ソフトの代表格とされる「freee会計」なら、より高度な自動化も実現できます。たとえば「このカードで電気代の支払いがあったら、水道光熱費の勘定科目で記帳してね」のような設定ができます。これなら勘定科目の確認すら不要です。
なお「インストール型」でも、金融機関明細の自動取得ぐらいなら、製品によっては対応している場合もあります。しかし、ここまで高度な自動化はできません。
メリット④ 操作画面がわかりやすい
ソフトのユーザーインターフェース(画面表示や操作感等)・デザインに関しては、明らかにクラウド型ソフトに軍配が上がります。これはクラウド型のソフトが近年新しく開発されているもので、デザインに関する新鮮な知見が反映されているのが主な理由と言えるでしょう。
クラウド型では取引入力がシンプルに構成されているのに対して、インストール型は取引の種類に応じて帳簿選択をしなければなりません。インストール型ソフトを扱うには、ある程度簿記の知識が必要です。
また、クラウド型会計ソフトのマネーフォワード、freee、弥生には、上記のようなグラフレポート機能がついています。これは、確定申告には直接関係のない機能ですが、個人事業の経営状態がグラフ形式で直感的に把握できるので便利です。月ごとの売上の推移を棒グラフで確認したり、経費の内訳を円グラフで確認できます。
メリット⑤ 電子申告がしやすい(e-Tax)
「クラウド型」なら、会計ソフトで作成した確定申告データを、e-Taxでオンライン送信するのもカンタンです(電子申告)。65万円の青色申告特別控除をねらう個人事業主にとっては、とくに重要なポイントです。
e-Tax対応の傾向【クラウド型とインストール型の比較】
クラウド型 | インストール型 | |
---|---|---|
パソコン | 「e-Taxソフト」は不要 | 「e-Taxソフト」が必要 |
スマホ | スマホから申告可能 | 非対応 |
※ 一部、例外もあります
クラウド型の会計ソフトでは、メーカー独自の電子申告ツールの開発が進んでいます。これを活用すれば、会計ソフトからそのまま電子申告ができます。
一方、インストール型の会計ソフトでは、国税庁が提供する「e-Taxソフト」を介して電子申告をするのが基本です。「e-Taxソフト」は民間のソフトと比べると使い勝手が悪いので、なるたけ使わずに済ませたいところです。
今後もクラウド型のシェアが拡大
近年、個人事業主のクラウド利用率が大幅に伸びています。会計ソフトを新規導入する事業主から支持を集めると同時に、元々インストール型を使っていた事業主も、どんどんクラウド型へ移行していると考えられます。
クラウド会計ソフトの利用率(個人事業主)
出典:MM総研「クラウド会計ソフトの利用状況調査」
クラウド型 | インストール型 |
---|---|
新型 | 旧型 |
経理初心者・経理経験者向き | 経理経験者向き |
インストール型ソフトは旧来からのスタイルで、クラウド型ソフトは後に技術が進んで開発されたものです。後発のクラウド型はインストール型の欠点をカバーし、さらに金融機関の取引結果自動取得などの便利な機能を兼ね備えています。
また、帳簿づけの構成もシンプルで初心者に分かりやすいものになっているので、これから会計ソフトを使い始める方・買い替えの方にはクラウド会計ソフトをおすすめします。
>> マネーフォワード・freee・弥生 - クラウド会計ソフトの比較
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