収支内訳書(一般用)の書き方 - 白色申告の確定申告書類
更新日 2023年12月11日
白色申告の場合に提出する「収支内訳書」の書き方を、なるべく分かりやすく記入例付きでまとめました。収支内訳書は全2ページです。2023年分の確定申告(2024年2月16日~3月15日に行う確定申告)では、左はしに「令和5年分以降用」と書かれた用紙を使います。
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白色申告用の会計ソフトからの印刷でなく、手書きにする場合はボールペンで記入します。 間違ったところを訂正する場合は、訂正する文字を二重線で消し、その近くの余白に正しい文字を分かりやすく記入します。
1. 日付記入欄など
令和0□年分収支内訳書
まず中央上部の「令和0□年分収支内訳書」という部分には、集計対象となる会計期間の年号を記入します。 たとえば、令和6年(2024年)2月16日~3月15日の確定申告期間中に提出する、令和5年分の内容であれば「令和05年分」と記入します。
令和 年 月 日
左部分の日付記入欄には、この書類の提出日を書きます。 個々の提出タイミングによりますが、確定申告期間内に提出するのであれば「令和6年2月16日〜3月15日」の期間内の日程を記入することになります。 たとえば、税務署へ令和6年2月22日に提出するのであれば、その日付を記入します。
自□□月□□日 至□□月□□日
中央の部分には、会計の集計対象にした期間を記入します。「この日からこの日までの会計結果ですよ」ということを示します。 個人事業の会計期間は1月1日~12月31日と決まっているので、通常は「自□1月□1日 至12月31日」と記入すればOKです。
ただし、たとえば新規開業した年には、開業日と年末の日付を書き込みます。
その年の10月10日に開業したのであれば、下記のように記入します。
例)自10月10日 至12月31日
営業等・雑(業務)
「営業等」と「雑(業務)」のどちらかに◯を付けます。簡単に言うと「この収支内訳書は事業所得に関するものですか?雑所得に関するものですか?」と問われているわけです。個人事業主の場合は「営業等」に◯を付けておきましょう。
>>「営業等」と「雑(業務)」の区別について - 自営百科
2. 事業者の情報
住所 | 個人事業主が住んでいる住所。自宅の住所を記入。 |
事業所所在地 | 店舗や事務所など、事業を行っている場所の住所。事業所などはなく、自宅で仕事をしている方は「同上」と記入する |
業種名 | 業種名。例)デザイン業、飲食店業、広告業、問屋業、その他の業種例 |
屋号 | 個人事業の屋号(会社名のようなもの)を記入する。特に決めていなければ、事業主の本名でもよい(あるいは、空欄でもよい)。 |
氏名 | 個人事業主の氏名を記入。従来は押印欄があったが、2021年4月以降は印鑑を押す必要なし。 |
電話番号 | 自宅と事業所の電話番号をそれぞれ記入する。自宅兼事務所であれば、ひとつの番号を書けばOK。固定電話がなければ、本人につながる携帯電話の番号を1つ記入する。 |
加入団体名 | 「青色申告会」など特定の団体に加入している場合、記帳や申告の講習を受けた団体がある場合に記入する。なければ空欄のままにしておく。 |
依頼税理士等 | 基本的には、事業の税務に関わった税理士の情報を記入する。税理士に依頼していない場合は、空欄。 |
3. 収入金額・売上原価
本記事の例では、仕入れなどがないフリーランスを想定しています。そのため、売上原価などは発生していないものとして記入例をすすめています。
収入金額
売上(収入)金額 | ① | 1年間で得た金額(売上・収入)を記入する |
家事消費 | ② | 家事消費とは、商品を家事のために消費した場合などに用いる科目。たとえば、飲食店を営んでいる事業主が、売れ残った食品を自分で食べるなど。この場合、原則的には通常の販売額を家事消費として帳簿づけする。ここに、その家事消費の合計額を記入する |
その他の収入 | ③ | 本業以外でちょっとした収入があれば記入する |
計 | ④ | 上記3つの合計金額を記入する(① + ② + ③ = 計) |
「その他の収入」には、たとえば新型コロナ関連の給付金などが該当します。要するに「事業に関係するけど売上とは言えない収入」を記入するわけです。特に心当たりがなければ「0」としておきましょう。
売上原価
期首商品(製品) 棚卸高 | ⑤ | 基本的には1月1日時点での商品・製品の総額 1年の途中で開業した場合などは、開業日時点での商品・製品の総額 |
仕入金額 | ⑥ | 1年間の仕入金額 |
小計 | ⑦ | 上記2つの合計金額を記入する(⑤ + ⑥ = 小計) |
期末商品(製品) 棚卸高 | ⑧ | 基本的には12月31時点での商品・製品の総額 1年の途中で廃業した場合等は、年度末とした日付時点での商品・製品の総額 |
差引原価 | ⑨ | ⑦から⑧を差し引いた計算結果を記入(⑦ - ⑧ = 差引原価) |
差引金額 | ⑩ | ④から⑨を差し引いた計算結果を記入(④ - ⑨ = 差引金額) |
たとえば、コンサルタント業やウェブデザイン業など、商品を仕入れて販売するような仕事をしていない場合は、こちらの「売上原価(⑤~⑨)」の部分は空欄でOKです。
4. 経費, 専従者控除, 所得
給料賃金 | ⑪ | 従業員に支払う給料(>> 事業主・従業員・専従者の給与の仕訳について) 事業専従者に対する給料は、下記の専従者控除に当たる。 |
外注工賃 | ⑫ | 外部の業者に業務委託した場合の費用 例)電気工事費、デザイン、ホームページ運営費、システム開発、加工 |
減価償却費 | ⑬ | 高額な固定資産を一定期間にわたって経費計上する際の金額 例)パソコン、カメラ、コピー機、自動車、オフィスチェア |
貸倒金 | ⑭ | 売掛金や貸付金の回収ができなくなった場合に経費計上するための科目 例)売掛金、未収金、貸付金、前渡金 |
地代家賃 | ⑮ | 事業所などの土地や建物にかかる賃借料や使用料 例)事務所・店舗家賃、駐車場料金、社宅家賃、倉庫使用料、土地使用料 |
利子割引料 | ⑯ | 借入の支払利息や手形の割引料など 例)金融機関への支払利息、自動車ローン、住宅ローン |
租税公課 | イ | 税金や公共料金として支払った費用(>> 納付した税金の仕訳について) 例)個人事業税、固定資産税、不動産取得税、自動車税、登録免許税、印紙税 |
荷造運賃 | ロ | 商品・郵便物の梱包・配送費用 例)ダンボール箱、緩衝材(発泡スチロール等)、ガムテープ、郵便手数料 |
水道光熱費 | ハ | 事業運営に必要な水道料金・電気料金・その他エネルギー費用 例)水道料金、電気料金、ガス料金、石油代、灯油代 |
旅費交通費 | ニ | 移動費や宿泊費など 例)電車賃、バス代、タクシー代、航空運賃、駐車場代、出張宿泊費 |
通信費 | ホ | 通信のために必要な料金 例)インターネット料金、電話料金、切手代、はがき代、ファックス代 |
広告宣伝費 | ヘ | 商品やサービスの広告・宣伝に使う費用 例)チラシ、新聞広告、看板、試供品、ポスティング費用、インターネット広告 |
接待交際費 | ト | 取引先や得意先の接待費用、事業に関わる人との交際費用 例)取引先との飲食代、お得意先へのお祝い金・贈答品、取引先とのゴルフ代 |
損害保険料 | チ | 事業を万が一の事故や災害から守るためにかけた保険料 例)自動車保険、自賠責保険、事務所の火災保険、賠償保険 |
修繕費 | リ | 建物や器具備品などの修理代 例)自動車の修理費、事務所の改修・修理費、パソコン修理代 |
消耗品費 | ヌ | 10万円未満、もしくは法定耐用年数が1年未満のものを購入する際の費用 例)文房具、電球、伝票、名刺、印鑑、CD、USB、10万円未満のパソコン |
福利厚生費 | ル | 従業員の組織貢献度や勤労意欲の向上などを目的として活動した費用 例)慰安旅行費、レクリエーション費用、お祝い金、お見舞金、従業員健康診断 |
ヲ ↓ タ | ここの空欄に自分で作った科目を追加できる。仕事柄、上記以外で特定の支出が多くなる場合などに科目を追加して記帳する。もちろん科目をつくらなくてもOK。 例)新聞図書費、出演料、研修費、リース料、支払報酬、諸会費、保守料など | |
雑費 | レ | 必要経費で、どの科目にも分類できない少額費用 例)ごみ処理代、クリーニング代、引越費用 |
小計 | ⑰ | 「イ(租税公課)~レ(雑費)」の合計金額を記入する (イ+ロ+ハ+ニ+ホ+ヘ+ト+チ+リ+ヌ+ル+ヲ+ワ+カ+ヨ+タ+レ = 小計) |
経費計 | ⑱ | 「⑪~⑯」の合計に、⑰を加えた金額を記入する (⑪+⑫+⑬+⑭+⑮+⑯+⑰ = 経費計) |
専従者控除前の所得金額 | ⑲ | ⑩(差引金額)から⑱(経費計)を差し引いた金額を記入する (⑩ - ⑱ = 専従者控除前の所得金額) |
専従者控除 | ⑳ | 専従者がいなければ関係ない (専従者とは、簡単にいうと事業を手伝ってくれている家族従業員のこと) |
所得金額 | ㉑ | 専従者控除前の所得金額から、専従者控除を差し引いた金額を記入する (⑲ - ⑳ = 所得金額) |
5. 給料賃金の内訳
従業員を雇って給料を払っている場合に記入します。人を雇わずに一人で仕事をしている個人事業主は、空欄でOKです。
「従事月数」とは、その人が働いた月数のことです。1年間毎月働いてくれたのであれば「12」です。
「延べ従事月数」の欄には、従業員全員の従事月数の合計を記入します。
例)Aさん12ヶ月, Bさん2ヶ月, Cさん6ヶ月 → 12 + 2 + 6 = 20
「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」について
従業員がいて給料を支払っている個人事業主は、源泉徴収をする必要があります。
>> 個人事業の源泉徴収に関するまとめ
6. 税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳
その年に、税理士や弁護士に報酬を支払った場合には、その支払先や金額を記入します。まったくお世話になってなければ、空欄のままで構いません。
支払先の住所・ 氏名 | 報酬を支払った先の税理士事務所の名前や住所を記入する |
本年中の報酬等の金額 | その年に支払った金額を記入 |
左のうち必要経費参入額 | 支払った金額のうち、経費に参入する金額を記入する。基本的には、上記の金額と同じ金額を記入すればOK。家事按分をした場合などは、その割合に応じた金額を記入。 |
源泉徴収税額 | 源泉徴収した税金の金額を記入する |
7. 事業専従者の氏名等
「事業専従者」とは、簡単にいうと家族従業員のことです。個人事業主の家族や親族で、あなたの事業を手伝ってくれている方に給料を払っている場合はここに記入します。一人で働いているフリーランスは、空欄のままで構いません。
「続柄」には、事業主との関係を記入します(夫、妻、子など)。「従事月数」には、その人が働いた月数を記入します(1年間働いた場合は「12」)。延べ従事月数には、全員分の従事月数の合計を記入します。事業専従者が一人の場合は、従事月数と延べ従事月数は同じ数になります。
>> 白色申告の事業専従者控除について
>> 専従者になると配偶者控除や扶養控除が受けられなくなる
以上が、収支内訳書の1ページ目の書き方です。下記のページで、収支内訳書2ページ目の記入方法を紹介しています。
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>> 収支内訳書の作成に心が折れたら白色申告用の会計ソフト
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