修繕費とは?仕訳例・資本的支出との違いなど
更新日 2024年7月31日
個人事業での修繕費とは?
修繕費(しゅうぜんひ)とは、固定資産の修復や現状維持のために使われる費用を指します。 事業で使っている自動車の修理、事務所の修理費用、壊れたパソコンの修理費用などがこれにあたります。 修繕費の消費税区分は「課税」です。
修繕費は、後述の「資本的支出」としっかり区別して計上する必要があります。 これらの区別は、修繕や改良という名目によるのではなく、その実質によって判定されます。
「修繕費」と「資本的支出」の違い
資本的支出とは、固定資産の価値を高めたり、使用期間(耐用年数)を伸ばすために支払う費用のことを指します。資本的支出を行った場合は、その費用を減価償却します。
資本的支出と修繕費 - 国税庁
資本的支出の減価償却期間は、対象とするものの耐用年数と同じ年数に設定します。 下表の例のように、物品ごとに国が法定耐用年数を定めており、これに応じた年数で減価償却をします。
例えば、一般用の普通自動車であれば、法定耐用年数が6年と定められています。なので、自動車の性能を上げるための資本的支出を行った場合には、かかった費用を6年にわたって減価償却していく形になります。
一般用自動車などの種類と法定耐用年数の例
自動車などの種類 | 耐用年数 |
---|---|
小型車 (いわゆる軽自動車) | 4年 |
ダンプ式の貨物自動車 | 4年 |
その他の貨物自動車 | 5年 |
報道通信用の自動車 | 5年 |
その他の普通自動車 | 6年 |
2輪・3輪自動車 | 3年 |
自転車 | 2年 |
リヤカー | 4年 |
もともとの自動車の減価償却費が残っている場合でも、資本的支出とは無関係にそのまま減価償却を続けます。本体の減価償却はなにごともなかったかのごとく続け、それとは別に資本的支出の減価償却をするということです。
ただし、機械の部分品に関する修理や改良などの金額が20万円未満の場合は、支出した金額を修繕費とすることができます。例えば、パソコンの性能を上げる目的で数万円かけて改良したぐらいであれば、修繕費として経費計上できます。
もしくは、修繕費か資本的支出か分かりづらい場合で、支出した金額が60万円未満のときは修繕費とすることができます。他にもこまごまとした要件がありますので、詳細は国税庁ウェブサイトの下記ページを確認してみて下さい。 修繕費とならないものの判定 - 国税庁
修理と、資産の価値を高めるための改良が一緒にされる場合は、修理としての料金部分を割り出して、その部分を修繕費として当期の経費とします。残りの部分を資本的支出として、減価償却します。
修繕費の仕訳例 - パソコンの修理代金
先述の通り、固定資産の修理や改良については、その費用が「修繕費」にあたるか「資本的支出」にあたるかの見極めが重要です。ただし、修理や改良などの金額が20万円未満の場合には、その費用を修繕費として経費計上できることになっています。
例えば、個人事業主が仕事で使っているパソコンを修理に出して、5万円の修理・改良費用を支払った場合の仕訳は下記の通りです。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
20XX年8月20日 | 修繕費 50,000 | 普通預金 50,000 | パソコン修理費用 |
本例では、その修理・改良費用が20万円未満と少額だったので、「資本的支出」との区別を慎重に行う必要はなく、修繕費として全額をその年分の経費に計上できます。