減価償却費とは?個人事業での計算方法や耐用年数の一覧・青色申告者への特例について

減価償却費とは

減価償却とは?

減価償却とは「高額で、長期にわたって利用できるもの」は徐々に価値が減っていくものとみなし、数年〜数十年にわたって少しずつ経費として計上する仕組みのことです。事業のために高価なものを買ったとしても、全額を一気にその年の経費にすることはできないわけです。

例えば、事業で使う小型車を50万円で購入したとしましょう。 小型車は「高額かつ長期にわたって利用できるもの」なので、一括で経費にすることはできません。 この場合は、減価償却費として4年にわたって少しずつ経費計上することになります。

資産を購入した時に消費税が課税されます(課税仕入れ)。その後の年に減価償却費を少しずつ計上する際の消費税区分は「不課税」です。

減価償却するものの例と耐用年数について

具体的に何をどのような期間で償却していくかは、あらかじめ物品ごとに「法定耐用年数」が定められています。 法定耐用年数とは、簡単にいうと「これならこれぐらいの期間は使えるでしょ」という年数のことです。 例えば、パソコンであれば「4年ぐらいは使えるでしょ」ということで、法定耐用年数が4年と定められています。

このように、法的に定められた耐用年数にしたがって、徐々に価値が減っていくとみなし、複数の年にわたって徐々に経費計上していきます。 下記の表では、減価償却するものとその耐用年数、償却率の一例を紹介しています。

項目耐用年数償却率
小型車
(総排気量が0.66リットル以下のもの)
4年25%
事務机、事務いす、キャビネット
(主として金属製のもの)
15年6.7%
事務机、事務いす、キャビネット
(その他のもの)
8年12.5%
ベッド8年12.5%
パソコン4年25%
時計10年10%
ラジオ、テレビジョン、テープレコーダー5年20%
ソフトウエア
(複写して販売するための原本)
3年33%
ソフトウエア
(その他のもの)
5年20%

耐用年数表 - 国税庁

個人事業の場合は定額法で計算する

減価償却の計算方法には、定額法と定率法がありますが、個人事業の場合は、基本的に定額法で計算します。 減価償却を定率法で計算する場合には、あらかじめ申請を出して許可をとる必要があります。 (平成28年4月1日以降は、建物附属設備・構築物について定率法による減価償却が廃止)

【定額法の計算方法】
その年の減価償却費 = 取得価額 × 償却率 ÷ 12 × その年に使った月数
(取得価額とは、ざっくり言うと買ったときの値段)
耐用年数償却率
2年0.5
3年0.334
4年0.25
5年0.2
6年0.167

【定額法の計算例】
例えば、2019年1月に20万円のパソコンを買って1月から使い始めた場合
パソコンの耐用年数は4年と定められているので、償却率は0.25です。

先ほどの計算式に当てはめてみます。
20万円 × 0.25 ÷ 12 × 12 = 5万円
この場合、2019年に経費として計上する減価償却費は、5万円ということです。

1年目5万円、2年目5万円、3年目5万円、4年目4万9999円と、 4年にわたって5万円ずつ経費処理することになります。 最後の年だけ、5万円から1円引いた額を計上します。(備忘価額といって、1円残しておくことになっています) >> 1年の途中で資産を購入した場合の例はこちら

このように、減価償却資産は法定耐用年数にしたがって、複数年にわたって徐々に経費計上します。

10万円 ~ 20万円未満のものは「一括償却資産」にすることもできる

取得価額が10万円以上~20万円未満のものは、「一括償却資産」として処理することもできます。 「一括償却資産」として扱う場合は、ものを買った日にちや法定耐用年数に関係なく、3年間で経費処理をします。 通常通り「減価償却資産」とするか「一括償却資産」にするか、納税者が自由に選択できます。

例えば、パソコンを15万円で購入して使い始めたら、1年目5万円、2年目5万円、3年目5万円と、3年にわたって均等に経費計上します。 (一括償却資産の場合は、備忘価額1円を残さず、3年で全額償却します)

上述のように、パソコンの法定耐用年数は4年とされていますが、 一括償却資産として処理する場合には、法定耐用年数に関わらず3年で経費処理できるわけです。 これが1番簡単な方法です。

また、一括償却資産は固定資産税の対象外になるというメリットもあります。 (固定資産税は、課税標準額が150万円未満の場合には課税されません。)

30万円未満のものは一括で経費にすることもできる(青色申告者のみ)

青色申告者の場合は、30万円未満のものであれば一括でその年の経費にすることが可能、という特例が用意されています。これを少額減価償却資産の特例と呼びます。 この特例の対象は、2022(令和4)年3月31日までの間に取得したものに限られます。

利益がたくさん出そうな年には、この制度を活用して即時償却(その年の経費に)しましょう。

ただし、この特例の合計限度額は300万円なので注意して下さい。 30万円未満のものであれば、いくらでも一括でその年の経費にできるということではありません。 新規開業した年などで、会計期間が1年に満たない場合は、300万円を12で割って月数をかけた金額が限度額となります。

>> 少額減価償却資産を取得した場合の帳簿付け・仕訳例
>> 国税庁ウェブサイト - 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

高額資産の計上方法まとめ

高額なものを購入した場合、普通に減価償却する方法、一括償却資産にする方法、少額減価償却資産の特例(青色申告者のみ)、3つの計上方法がありましたね。 取得価額によって選択肢が異なるわけですが、まとめると以下のようになります。

取得価額選べる計上方法
10万円未満消耗品費
10万円 ~ 20万円減価償却資産 or 一括償却資産 or 少額減価償却資産の特例(青色のみ)
20万円 ~ 30万円減価償却資産 or 少額減価償却資産の特例(青色のみ)
30万円以上減価償却資産

10万円未満、または使用可能期間1年未満のものは、消耗品費で処理します。 10万円~20万円のものは、青色申告者であれば3つの処理方法から選べます。 20万円~30万円未満のものは、青色申告であれば通常の減価償却か、少額減価償却資産の特例を適用して処理できます。

それぞれの償却期間、固定資産税、条件についてまとめると以下のようになります。

処理方法償却期間固定資産税条件
一括償却資産3年対象外-
少額減価償却資産の特例一括対象青色申告者
減価償却資産耐用年数による対象-

「一括償却資産」は、ネーミングがややこしいですね。「一括」という文字が含まれていますが、この方法では3年で均等償却するわけです。 一方「少額減価償却資産の特例」を適用すれば、一括でその年の経費に計上できます。 通常の減価償却は、そのものの法定耐用年数に応じて償却します。

>> 減価償却費の仕訳方法まとめ - 定額法・一括償却・少額減価償却資産の特例
>> 個人事業で使う必要経費の種類一覧へ
>> 個人事業の固定資産税について
>> 少額減価償却資産の仕訳・帳簿づけ例