青色申告決算書の書き方【見本付き】個人事業主の確定申告

更新日 2025年5月28日

青色申告決算書の書き方【見本付き】個人事業主・フリーランスの確定申告

青色申告の個人事業主・フリーランス向けに「青色申告決算書」の書き方を見本付きで解説します。2024年分(令和6年分)の確定申告では、用紙の左はしに「令和5年分以降用」と記載されている用紙を用います。

ページ1 ページ2
所得税青色申告決算書1ページ目 所得税青色申告決算書2ページ目
日付
事業者情報
売上(収入)金額
経費
各種引当金・準備金等
月別売上(収入)金額
給料賃金の内訳
専従者給与の内訳
地代家賃の内訳
貸倒引当金繰入額
青色申告特別控除額
ページ3 ページ4
所得税青色申告決算書3ページ目 所得税青色申告決算書4ページ目
売上(収入)金額の明細
仕入金額の明細
減価償却費の計算
利子割引料の内訳
税理士・弁護士等の報酬
特殊事情
貸借対照表 - 資産の部
貸借対照表 - 負債・資本の部
製造原価の計算

青色申告決算書の書き方・記入例【1ページ目】

所得税青色申告決算書1ページ目
  1. 3つの日付記入欄
  2. 事業者情報
  3. 売上(収入)金額・売上原価
  4. 経費
  5. 各種引当金・準備金等, 青色申告特別控除, 所得金額

まずは、青色申告決算書1ページ目の書き方を記入例付きで解説していきます。
他のページはこちら → 2ページ目 3ページ目 4ページ目

1. 3つの日付記入欄

3つの日付記入欄 - 青色申告決算書

令和0□年分 所得税青色申告決算書

集計した会計期間の年号を記入します。令和7年に提出する「令和6年分の確定申告」の内容の場合「6」と記入します。

令和 年 月 日

左部分の日付欄には、この用紙の提出日を記入します。たとえば、令和7年2月22日に税務署へ提出するのであれば、その日付を書きます。

損益計算書(自□□月□□日 至□□月□□日)

集計した会計期間の日付を記入します。個人事業の会計期間は1月1日~12月31日と決まっているので、基本的には「自□1月□1日 至12月31日」と記入します。新規開業などで1年の途中から個人事業を始めた場合などは、事業開始した日から年末までの日付を記入します。
例)自□9月10日 至12月31日

2. 事業者情報

事業者情報の記入欄 - 青色申告決算書
住所個人事業主が住んでいる住所。自宅の住所を記入。
事業所所在地店舗や事務所など、事業を行っている場所の住所。事業所などは無く、自宅で仕事をしている方は「同上」と記入する
業種名業種名。例)デザイン業、飲食店業、広告業、問屋業、その他の業種例
屋号個人事業の屋号(会社名みたいなもの)を記入する。特に決めていなければ、事業主の本名でも良い。
氏名個人事業主の氏名を記入。印鑑は、普通の認め印でOK(2021年4月以降、そもそも押印の義務はない)。
電話番号自宅と事業所の電話番号をそれぞれ記入する。自宅兼事務所であれば、ひとつの番号を書けばOK。固定電話がなければ、本人につながる携帯電話の番号を1つ書けばOK。
加入団体名青色申告会など特定の団体に加入している場合、記帳や申告の講習を受けた団体がある場合に記入する。無ければ空欄のままにしておく。
依頼税理士等基本的には、事業の税務に関わった税理士の情報を記入する。税理士に依頼していない場合は、空欄。

3. 売上(収入)金額・売上原価

売上(収入)金額・売上原価の記入欄 - 青色申告決算書
売上(収入)金額1年間の売上(収入)の合計金額を記入する。本業以外のちょっとした収入(雑収入)なども含めた金額を記入する。
期首商品(製品)
棚卸高
基本的には1月1日時点での商品・製品の総額 1年の途中で開業した場合などは、開業日時点での商品・製品の総額
仕入金額1年間の仕入金額
小計上記2つの合計金額を記入する(② + ③ = 小計)
期末商品(製品)
棚卸高
基本的には12月31時点での商品・製品の総額 1年の途中で廃業した場合等は、年度末とした日付時点での商品・製品の総額
差引原価⑦から⑧を差し引いた計算結果を記入(④ − ⑤ = 差引原価)
差引金額⑦から⑧を差し引いた計算結果を記入(① − ⑥ = 差引金額)

たとえばWEBデザイナーなど、商品の仕入れがない仕事であれば、売上原価に関する項目は空欄で構いません。

4. 経費

経費の記入欄 - 青色申告決算書

それぞれの経費の1年分の合計金額を記入していきます。

租税公課税金や公共料金として支払った費用(>> 納付した税金の仕訳について
例)個人事業税、固定資産税、不動産取得税、自動車税、登録免許税、印紙税
荷造運賃商品・郵便物の梱包・配送費用
例)ダンボール箱、緩衝材(発泡スチロール等)、ガムテープ、郵便手数料
水道光熱費事業運営に必要な水道料金・電気料金・その他エネルギー費用
例)水道料金、電気料金、ガス料金、石油代、灯油代
旅費交通費移動費や宿泊費など
例)電車賃、バス代、タクシー代、航空運賃、駐車場代、出張宿泊費
通信費通信のために必要な料金
例)インターネット料金、電話料金、切手代、はがき代、ファックス代
広告宣伝費商品やサービスの広告・宣伝に使う費用
例)チラシ、新聞広告、看板、試供品、ポスティング費用、インターネット広告
接待交際費取引先や得意先の接待費用、事業に関わる人との交際費用
例)取引先との飲食代、お得意先へのお祝い金・贈答品、取引先とのゴルフ代
損害保険料事業を万が一の事故や災害から守るためにかけた保険料
例)自動車保険、自賠責保険、事務所の火災保険、賠償保険
修繕費建物や器具備品などの修理代
例)自動車の修理費、事務所の改修・修理費、パソコン修理代
消耗品費10万円未満、もしくは法定耐用年数が1年未満のものを購入する際の費用
例)文房具、電球、伝票、名刺、印鑑、CD、USB、10万円未満のパソコン
減価償却費高額な固定資産を一定期間にわたって計上する費用
例)パソコン、カメラ、コピー機、自動車、オフィスチェア
福利厚生費従業員の組織貢献度や勤労意欲の向上などを目的として活動した費用
例)慰安旅行費、レクリエーション費用、お祝い金、お見舞金、従業員健康診断
給料賃金従業員に支払う給料(>> 事業主・従業員・専従者の給与の仕訳について
青色事業専従者に対する給料は、下記の専従者給与に当てはまる。
外注工賃外部の業者に業務委託した場合の費用
例)電気工事費、デザイン、ホームページ運営費、システム開発、加工
利子割引料借入の支払利息や手形の割引料など
例)金融機関への支払利息、自動車ローン、住宅ローン
地代家賃事業所等の土地や建物にかかる賃借料や使用料
例)事務所・店舗家賃、駐車場料金、社宅家賃、倉庫使用料、土地使用料
貸倒金売掛金や貸付金の回収ができなくなった場合に損金処理として使う勘定科目
例)売掛金、未収金、貸付金、前渡金


ここの空欄に自分で作った勘定科目を追加できる。仕事柄、上記以外で特定の支出が多くなる場合などに勘定科目を追加して仕訳する。
例)新聞図書費、出演料、研修費、リース料、支払報酬、諸会費、保守料など
雑費必要経費で、どの勘定科目にも属さない少額費用
例)ごみ処理代、クリーニング代、引越費用
⑧から㉛までの経費の合計金額を記入する。
差引金額売上(収入)の差引金額(⑦)から経費の合計(㉜)を差し引いた金額を記入する。(⑦ − ㉜ = 差引金額)

5. 各種引当金・準備金等, 青色申告特別控除, 所得金額

各種引当金・準備金等, 青色申告特別控除, 所得金額

貸倒引当金専従者給与を記入します。貸倒引当金がない場合、専従者(家族の従業員)がいない場合は、記入する必要はありません。

貸倒引当金繰入額は、貸し倒れを見込んで所得から差し引くものです。実際に貸し倒れにならなかった場合には、前年に所得から差し引いた分を所得に繰り戻します。そして残りの貸倒引当金があれば、あらためて貸倒引当金を計算して貸倒引当金に繰り入れます。

繰戻額等 - 各種引当金・準備金等

貸倒引当金前年に貸倒引当金を計上したが実際に貸し倒れにならなかった場合、繰り戻す貸倒引当金の金額を記入する
その他に繰り戻した準備金などがあれば、左記の空欄に科目を追加の上、記入する
その他に繰り戻した準備金などがあれば、左記の空欄に科目を追加の上、記入する
㉞~㊱の合計金額を記入する。

繰入額等 - 各種引当金・準備金等

専従者給与専従者給与の金額を記入する。
貸倒引当金この年に繰り入れた貸倒引当金の金額を記入する。
その他に繰り入れた準備金などがあれば、左記の空欄に科目を追加の上、記入する
その他に繰り入れた準備金などがあれば、左記の空欄に科目を追加の上、記入する
㊴~㊶の合計額を記入する。

青色控除前の所得, 青色申告特別控除, 所得金額

青色控除前の所得, 青色申告特別控除, 所得金額
青色申告特別控除前の所得金額㉝ + ㊲ − ㊷ = この計算結果を記入する。㊲と㊷が0の場合は、㉝と同じ金額をそのまま記入すればOK。
青色申告特別控除額青色申告特別控除として差し引くことができる金額を記入する
(差し引ける金額は2ページ目の右下の欄で計算する)
所得金額「青色申告特別控除前の所得金額」から「青色申告特別控除額」を差し引いた金額を記入する。(㊸ − ㊹ = 所得金額)

青色申告決算書の書き方・記入例【2ページ目】

所得税青色申告決算書2ページ目
  1. 月別売上(収入)金額 及び 仕入金額
  2. 給料賃金の内訳
  3. 専従者給与の内訳
  4. 地代家賃の内訳
  5. 貸倒引当金繰入額の計算
  6. 青色申告特別控除額の計算

まずは、青色申告決算書2ページ目の書き方を見本付きで解説していきます。
他のページはこちら → 1ページ目 3ページ目 4ページ目

用紙左上の「令和0□年分」の部分には、集計した会計期間の年号を記入します。2024年分(令和6年分)の確定申告の場合は「6」と記入します。 氏名欄には、個人事業主の氏名を記入します。

1. 月別売上(収入)金額 及び 仕入金額

月別売上(収入)金額 及び 仕入金額

1月から12月までの、月ごとの売上(収入)と仕入れ金額を記入します。商品や製品を仕入れて売るような商売でなければ、仕入金額の列は書かなくて構いません。

家事消費とは、商品を家事のために消費した場合などに通常の販売額を記入する欄です。 たとえば、飲食店を営んでいる事業主が、売れ残った食品を自分で食べるなど。この場合、原則的には通常の販売額を家事消費として帳簿づけします。

雑収入とは、本業以外のちょっとした収入のことを指します。たとえば、助成金や補助金を得た場合は、この雑収入に含めます。

一番下にある「うち軽減税率対象」の欄ですが、記入は任意です。課税事業者なら記入しておくと、消費税申告のときにちょっとラクになります。
>> 消費税の免税事業者と課税事業者

2. 給料賃金の内訳

給料賃金の内訳を記入する欄 - 青色申告決算書

従業員がいて、給料を支払っている場合に記入します。

氏名従業員の氏名
年齢従業員の年齢
従事月数働いた月数のこと。1年間、毎月働いてもらったのであれば「12」と記入する
給料賃金その方に1年間で支払った給料賃金の合計金額を記入する
(源泉徴収分などを差し引く前の総支給額を記入する)
賞与その方に1年間で支払った賞与(ボーナス)の合計金額を記入する
(源泉徴収分などを差し引く前の総支給額を記入する)
合計給料賃金と賞与の合計金額を記入する
源泉徴収税額所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額を記入する

その他にも従業員がいる場合には「その他( 人分)」の部分に人数を記入します。 その右側の枠には、人数分の合計数を記入していきます。 その他の人数が3人の場合、従事月数がAさん12ヶ月、Bさん12ヶ月、Cさん6ヶ月の場合、 12 + 12 + 6 = 30 従事月数は「30」と記入します。 延べ従事月数とは、従業員全員分の従事月数を合計した数です。 同じように給料賃金や賞与などの縦枠の合計を、表の最下部に記入していきます。

3. 専従者給与の内訳

専従者給与の内訳 - 青色申告決算書

専従者とは、かんたんにいうと家族従業員のことです。上記の給料賃金と同じ要領で、表を埋めていきます。 専従者がいない個人事業主は、記入する必要はありません。
>> 個人事業の専従者給与について

4. 地代家賃の内訳

地代家賃の内訳 - 青色申告決算書

事務所や店舗の地代家賃の内訳を記入します。 書き方の詳細は下記ページをご覧ください。
>> 地代家賃の内訳 - 記入方法と記入例

支払先の住所・
氏名
物件の大家さんの個人名、あるいは不動産会社などの法人名と、その住所を記入する
賃借物件利用している物件の用途を記入する。
例)事務所、倉庫、自宅兼事務所、店舗など
本年中の賃借料・権利金等「権・更」とは「権利金・更新料」の略。ここには礼金や保証金、契約更新料の合計金額を記入する。
「賃」は「賃貸料」の略で、その年に支払った賃貸料の合計金額を記入する
左の賃借料のうち必要経費算入額上記の権利金・更新料・賃借料のうち、経費になっている額を記入する。按分をしていない場合には、左記の合計額がそのまま必要経費算入額と一緒になる

5. 貸倒引当金繰入額の計算

貸倒引当金繰入額の計算

貸倒引当金がある場合に、こちらへ記入します。なければ空欄で構いません。貸倒引当金とは、回収不能となりそうな売掛金などを、あらかじめ見積もって計上する経費の勘定科目です。
>> 貸倒引当金とは?一括評価と個別評価の計算方法などについて

個別評価による本年分繰入額個別評価によって計算した本年分の繰り入れ額を記入する
年末における一括評価による貸倒引当金の繰入れの対象となる貸金の合計額貸倒引当金の対象になる債権の合計金額を記入する
本年分繰入限度額貸倒引当金の対象となる金額に5.5%(金融業は3.3%)をかけた金額を記入する(② × 5.5% = 本年分繰入限度額 金融業の場合は② × 3.3% = 本年分繰入限度額)
本年分繰入額本年分に繰り入れる金額を記入する。基本的には上記の本年分繰入限度額(③)と同じ金額を記入すればOK。
本年分の貸倒引当金繰入額個別評価による繰入額と、一括評価による繰入額の合計を記入する(① + ④ = 本年分の貸倒引当金繰入額)

個別評価の場合は、「個別評価による貸倒引当金に関する明細書」で繰入額を計算し、 確定申告書類と一緒に提出します。 この明細書で最下部の「個別評価による繰入額(⑮)」と、上記の①が同じ金額になります。 明細書は下記のページで確認できます。
>> 個別評価による貸倒引当金の繰入れをする方へ - 国税庁

6. 青色申告特別控除額の計算

青色申告特別控除額の計算

青色申告特別控除の控除額は「10万円 or 55万円 or 65万円」の3段階で、クリアする要件に応じて異なります。

まずは⑥と⑦を記入した上で、55万円・65万円の控除を受ける場合には、真ん中の2行に記入をしましょう。それ以外の場合、真ん中の2行は記入せず、最下部の2行を記入します。

本年分の不動産所得の金額不動産所得がある場合に記入する。不動産所得とは、土地や建物などの貸付けによる所得。
青色申告特別控除前の所得金額1ページ目の㊸と同じ数字を記入する。
㊸=青色申告特別控除前の所得金額
65万円または55万円の青色申告特別控除を受ける場合65万円または55万円と⑥のいずれか少ない方の金額不動産所得に対して適用される控除額を記入する。不動産所得がない場合は「0」と記入すればOK。
青色申告特別控除額55万円控除の要件を満たしている人は「55万円 - ⑧」と「⑦」の金額を比較し、少ない方の金額を記入する(65万円控除の場合も同様)。
上記以外
の場合
10万円と⑥のいずれか少ない方の金額「10万円」と「⑥(不動産所得)の金額」で、少ない方を記入する。不動産所得がない場合は「0」と記入すればOK。
青色申告特別
控除額
「10万円 − ⑧」と「⑦」の金額で、少ない方の金額を記入する。つまり、「青色申告特別控除前の所得金額」が10万円よりも少ない場合は、その金額を記入することになる。

青色申告決算書の書き方・記入例【3ページ目】

所得税青色申告決算書3ページ目
  1. 売上(収入)金額の明細
  2. 仕入金額の明細
  3. 減価償却費の計算
  4. 利子割引料の内訳
  5. 税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳
  6. 本年中における特殊事情

まずは、青色申告決算書3ページ目の書き方を見本付きで詳しく解説していきます。
他のページはこちら → 1ページ目 2ページ目 4ページ目

1. 売上(収入)金額の明細

個人事業の売上において、主な取引先とその金額を記入する欄です。

売上(収入)金額の明細の記入例 - 収支内訳書
売上先名主な売上(収入)先の会社名などを記入する
所在地その売上先の会社所在地、店舗所在地などを記入する
(「登録番号」を記入しているなら書かなくてもOK)
登録番号
(法人番号)
その売上先のインボイス登録番号または法人番号を記入する
(「所在地」を記入しているなら書かなくてもOK)
売上(収入)金額そこから1年間で得た売上(収入)金額を記入する
上記以外の売上先の計上記の主な売上(収入)先以外から得た1年間で得た売上(収入)金額の合計を記入する
右記①のうち
軽減税率対象
軽減税率の対象である売上(収入)があれば記入する。記入は任意なので、空欄でもOK
金額の総計を記入する

2. 仕入金額の明細

仕入金額の明細 - 収支内訳書

こちらも上記の「売上(収入)金額の明細」と同じように、仕入先の情報や仕入れ金額を記入します。 商品や製品を仕入れて売る商売でなければ、記入する必要はありません。

3. 減価償却費の計算

減価償却費の計算 - 青色申告決算書

減価償却は、初めて確定申告をする方にはわかりにくいかもしれません。 簡単にいうと「高額なものを経費で買ったときには、数年にわたって少しずつ経費にする必要がある」ということです。たとえば、仕事で使う車を50万円で購入した場合は、50万円を全てその年の経費にすることができないということです。>> 減価償却の基本についてはこちら

減価償却資産の名称等資産の名称を記入する 例)パソコン、自動車、デスク、木造建物など
面積 又は 数量台数などを記入する。パソコンが2台であれば、2台と記入する。建物などの場合は、面積を記入。
取得年月購入した日付を記入する
取得価額(イ)購入した時の値段を記入する
償却の基礎になる金額(ロ)平成19年4月1日以降に購入したものであれば、ここの欄には上記の「取得価額(イ)」と同じ金額を記入すればOK
償却方法減価償却の方法には「定額法」と「定率法」がある。個人事業の場合、基本的には「定額法」。定率法で計算するには事前申請が必要なので、そのような申請を出していない場合には「定額」と記入する。>> 定額法の計算 - 耐用年数と償却率
耐用年数その資産の耐用年数を調べて記入する。>> 耐用年数について
償却率(ハ)償却率を記入する。定額法の場合、耐用年数が2年のものであれば償却率0.5、3年のものは0.334、4年のものは0.25。償却率の一覧表 - 国税庁
本年中の償却期間(ニ)その年の償却期間を記入する。たとえば8月に購入し利用開始したものは、8月~12月の5ヶ月間がその年の償却期間となるので「5」と記入する。前年以前から引き続き償却し続けているものの欄には「12」と書く
本年分の普通償却費(ホ)償却の基礎になる金額(ロ)× 償却率(ハ)× 本年中の償却期間(ニ)÷12の計算結果を記入する。たとえば、50万円で小型車を1月に購入し使い始めた場合 総排気量が0.66リットル以下の小型車の耐用年数は4年(つまり償却率は0.25)
500,000 × 0.25 × 12/12 = 125,000(>> 定額法の計算例
特別償却費(ヘ)青色申告者が、対象となる設備を購入した場合に、特別償却費として割増しする部分の償却費を記入する。対象となる設備とは、1台160万円以上の機械装置、1台120万円以上のデジタル複合機など(中小企業投資促進税制 - 中小企業庁
本年分の償却費合計(ト)本年分の普通償却費(ホ)と特別償却費(ヘ)の合計金額を記入する。多くの場合は特別償却費がないので、普通償却費(ホ)と同じ金額をそのまま記入する
事業専有割合(チ)その資産を家庭用でも使っている場合などは、事業での按分の割合を記入する。プライベートでは使用せず、完全に仕事のための資産なら「100」と記入する
本年分の必要経費算入額(リ)本年分の償却費合計(ト)×事業専有割合(チ)の計算結果を記入する。100%仕事のための資産であれば、ここは償却費合計(ト)と同じ金額を記入すればOK
未償却残高(ヌ)「償却の基礎になる金額」から、「その年の償却費も含めて、すでに今まで償却した金額」を差し引いた金額をこちらに記入する。要するに、来年度以降に償却することになる、償却費の残高。
摘要何か備考があれば記入する

4. 利子割引料の内訳

利子割引料の内訳 - 青色申告決算書

こちらには利子割引料の内訳を記入します。 この「利子割引料の内訳」は、金融機関以外の個人や法人からの借入金の利子がある場合にだけ記入します。 金融機関へ支払う利子については、ここへ記入する必要はありません。書き方の詳細は下記ページをご覧ください。
>> 決算書の「利子割引料の内訳」について

支払先の住所・氏名主な支払先の住所・氏名を記入する
期末現在の借入金等の金額基本的には12月31日の時点で残っている借入金等の金額を記入する
本年中の
利子割引料
1年間で支払った利子割引料の金額を記入する
左のうち必要
経費算入額
上記の利子割引料のうち、必要経費として算入した金額を記入する。通常は上記の金額と同じ金額を記入すればOK。借入の目的が全て事業用ではなく、按分をした場合には、その割合に応じた金額を記入する。

5. 税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳

税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳

その年に、税理士や弁護士に報酬を支払った場合には、その支払先や金額を記入します。

支払先の住所・氏名報酬を支払った税理士事務所などの名前や住所を記入する
本年中の報酬等の金額その年に支払った金額を記入
左のうち必要
経費参入額
支払った金額のうち、経費に参入する金額を記入する。基本的には、上記の金額と同じ金額を記入すればOK。たとえば、プライベートにも関わるような事項を弁護士に依頼した場合などで、支払い額の一部を家事按分をした場合には、その割合に応じた金額を記入する
源泉徴収税額源泉徴収した税金の金額を記入する

6. 本年中における特殊事情

本年中における特殊事情 - 青色申告決算書

何か特殊な事業があって税務署に伝えたいことがもしあれば、こちらに内容を記入します。

青色申告決算書の書き方・記入例【4ページ目】

所得税青色申告決算書4ページ目
  1. ① 貸借対照表 - 資産の部
  2. ② 貸借対照表 - 負債・資本の部
  3. ③ 製造原価の計算

まずは、青色申告決算書4ページ目の書き方を詳しく解説していきます。
他のページはこちら → 1ページ目 2ページ目 3ページ目

まずは「貸借対照表」の見方を理解しよう

令和2年分以降用 所得税青色申告決算書4ページ目

青色申告決算書の4ページ目は「貸借対照表(①、②)」と「製造原価の計算(③)」です。 貸借対照表は、会計期間の最初(期首)と最後(期末)の時点での、財務状態を表します。 おおまかに示すと、貸借対照表は下記のように構成されています。

貸借対照表(バランスシート)

資産
(現金、預金、売掛金、固定資産など)
負債
(買掛金、未払金、借入金など)
資本
(事業主借、元入金など)

借方・貸方とは?複式簿記の仕訳を理解しよう

ちなみに、貸借対照表の読み方は「たいしゃくたいしょうひょう」で、英語ではバランスシートと呼ばれます。

個人事業の会計期間は原則1月1日~12月31日なので、通常は期首1月1日、期末12月31日です。 新規開業などで、1年の途中から営業をはじめた場合などは、その開業日を期首に設定します。たとえば、9月10日に事業開始した場合は期首が9月10日、期末が12月31日となります。以前から事業を継続している方は、基本的に「期首=1月1日・期末=12月31日」でOKです。

「資産の部」にある「現金」を例に、貸借対照表から何が分かるのかをおさえておきましょう。

資産の部
科目1月1日(期首)12月31日(期末)
現金2,000,0003,500,000

この現金の行は「1月1日時点では事業用に200万円の現金を保有していた。その後、事業で現金売上が入ったり、経費を使ったりして、結局は12月31日時点での現金が350万円になった」ということを表します。

あとは科目の名前が違うだけで、その他の科目の「期首時点の金額と、期末時点での金額を知る」という事は同じです。 それぞれの科目の意味を順番に見ていきましょう。

① 貸借対照表 - 資産の部

青色申告決算書の貸借対照表 - 資産の部

仕入れ取引などを行わないフリーランスを中心に、多くの個人事業主に関わりのある科目を下表では太字で示しています。あなたの事業で取り扱っていない科目については、記入する必要がありません。数字のゼロすらも書かず、空欄のままでOKです。

資産の科目

科目概要
現金手持ちの札束や小銭のこと
当座預金手形や小切手で支払いをするための口座
定期預金一定の期間を決めて、期限まではお金を引き出せない契約をする口座
その他の預金普通預金はここに当てはまる。当座預金・定期預金ではない口座
受取手形売上などの代金を受領するための証券
売掛金売上などの帳簿上での未回収金(売掛金の詳細
有価証券財産権を表す証券。 例)小切手、株券、債券
棚卸資産商品や製品などの在庫金額のこと。棚卸(たなおろし)とは、残っている商品や製品などの在庫の数量を数えて、在庫の金額がどれだけあるかを計算すること
前払金仕入れや外注に先立って、代金の一部あるいは全額を前もって支払った場合のお金
前払金の詳細
貸付金会社や個人に貸したお金
建物事務所や店舗、工場などの建物。
建物附属設備建物に固定されて一体となる設備。建物本体と区分して耐用年数を適用する。
例)日よけ、エアコン、エレベーター
機械装置複数のものが設備を形成して、設備の一部としてそれぞれのものがその機能を果たすもの。簡単にいうと「わりとおおがかりな装置や機械」。パソコンは機械装置には該当せず、下記の「工具 器具 備品」に該当する。
例)製本業用設備、掘さく設備、ベルトコンベヤー
車両運搬具事業で使う車などの資産 例)営業車、バイク、クレーン車
工具 器具 備品10万円以上かつ耐用年数1年以上の、工具・器具・備品(減価償却の詳細
例)パソコン、デスク、カメラ、コピー機、看板、金庫
土地個人事業の資産として扱う土地
帳簿をつける上で、自分で勘定科目を追加した場合は、空欄部分に勘定科目とその金額を記入する
事業主貸事業用の口座などから個人事業主のプライベート用途で使ったお金などのこと。事業主貸と事業主借の金額は、翌期首に元入金へ集約されるので、期首時点では必ず0になる。そのため、期首の枠がない。
合計上記科目の合計金額を記入する

基本的な前提ですが、貸借対照表に記入するのは事業で使っているものだけです。 たとえば、事業主の純粋な個人口座の預金残高などを含める必要はありません。 ただ、個人の口座と事業の口座を分けておらず一緒にしている場合などは、 その併用している口座の情報も含めることになります。

② 貸借対照表 - 負債・資本の部

青色申告決算書の貸借対照表 - 負債・資本の部

こちらも「資産の部」と同じ考え方で、大抵の場合、期首は1月1日、期末は12月31日となります。 上記の資産の時と同じように、自分で追加した勘定科目があれば、空欄部分に勘定科目とその金額を記入します。

負債

支払手形掛け取引によって商品を購入した場合における、代金を支払う義務を負う証券
買掛金商品や材料などの仕入れ時点でお金を払わずに、後日支払いを実行するまでの期間の債務(買掛金の詳細
借入金会社(金融機関など)や個人から借りたお金
未払金固定資産や消耗品の購入など、営業のメインとなる取引以外の買い物によって発生する債務
前受金商品売買などを行った際に、代金の一部または全部を前もって受け取った場合に使用する勘定科目
預り金一時的に預かった金額。主に源泉徴収した税金従業員の社会保険料などでこの勘定科目を使う

評価勘定

貸倒引当金取引先の経営状態が悪い場合などで、回収不能になりそうな売掛金などの金額の一部をあらかじめ経費に計上するための勘定科目(貸倒引当金の詳細

貸倒引当金は売掛金などの債権のマイナス勘定で、資産のマイナス勘定です。(評価勘定)

資本

事業主借個人事業主のポケットマネーを事業に使った場合などに利用する勘定科目
元入金法人でいうところの資本金のようなもの。青色申告用の会計ソフトを使っていれば、事業主貸と事業主借が、翌期の期首にここへ自動で集約される。(元入金の詳細
青色申告特別控除前の所得金額青色申告特別控除を差し引く前の所得金額を記入する
合計上記科目の合計金額を記入する

ここまでが「貸借対照表」です。次の「製造原価の計算」は、同じページにはあるものの貸借対照表とは関係ありません。

「原材料の仕入れなんてないよ」というフリーランスの方は、ここで青色申告決算書は記入終了です。お疲れさまでした。 続いて、確定申告書の記入に移りましょう。

③ 製造原価の計算

製造原価の計算 - 青色申告決算書

「製造原価の計算」は、原材料を仕入れて、それを加工したものを製造して販売する商売を行っている事業者が記入する欄です。 仕入れたものをそのままの状態で売る商売や、そもそも事業において原材料の仕入れなどがない場合は、記入する必要はありません。

原材料費

期首原材料棚卸高基本的には1月1日時点での原材料の棚卸高を記入する。棚卸高とは、在庫の金額のこと。
原材料仕入高その年に原材料の仕入れで使った金額を記入する
小計上記①と②の合計金額を記入する
期末原材料棚卸高基本的には12月31日時点での原材料の棚卸高を記入する
差引原材料費「期首時点の原材料棚卸高」と「原材料の仕入高」の合計から、「期末時点の原材料棚卸高」を差し引いた金額を記入する(③ − ④ = 差引原材料費)

労務費

労務費製品の製造にかかわる人件費(製品製造に関わる従業員の給料賃金など)

その他の製造経費

ここには製造部分の経費だけ記入します。なので、たとえば事務所の水道光熱費や修繕費はここに記入しません。 1ページ目に書いたそれらの経費とは、異なる位置づけということです。 たとえば、製造工場の水道光熱費などがここに該当します。

外注工賃製品の製造にかかわる外注工賃
電力費製品の製造にかかわる電力費。一般管理費においては、電力に使った経費もまとめて水道光熱費で処理するのが一般的だが、製造経費においては、電力に使った経費と、水道光熱費を区別する。たとえば、製造工場の電力費(◯◯電力からの請求)をここに記入する
水道光熱費製品の製造にかかわる水道光熱費
修繕費製品の製造にかかわる修繕費
減価償却費製品の製造にかかわる減価償却費


自分で追加した勘定科目があれば、その科目名と金額を記入する
雑費製品の製造にかかわる雑費
上記金額の合計金額を記入する

計算

総製造費総製造費とは、商品や製品を製造するためにかかった経費の合計金額のこと。つまり、上記の「差引原材料費(⑤)」と「労務費(⑥)」と「その他の製造費(㉑)」の合計金額を記入する。(⑤ + ⑥ + ㉑ = 総製造費)
期首半製品・
仕掛品棚卸高
製造途中の未完成品で、販売可能なものを「半製品」、未完成品で販売できないものを「仕掛品」と呼ぶ。期首時点(基本的には1月1日)の、半製品と仕掛品の棚卸高(在庫金額)をここに記入する
小計総製造費と期首半製品・仕掛品棚卸高の合計金額を記入する。(㉒ + ㉓ = 小計)
期末半製品・
仕掛品棚卸高
期末時点での半製品と仕掛品の棚卸高(在庫金額)をここに記入する
製品製造原価総製造費と期首半製品・仕掛品棚卸高の合計金額から、期末半製品・仕掛品棚卸高を差し引いた金額をここに記入する(㉔ − ㉕ = 製品製造原価)

これで青色申告決算書の記入は終了です。 まだ作成途中で心が折れそうな方は、青色申告用の会計ソフトを使ってみて下さい。 ひとつひとつの取引を入力していれば、決算書の大部分は自動作成してくれます。 決算書作成のミスが減りますし、なにより毎年の申告がラクになります。

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