青色申告で55万円・65万円控除を受けるために必要な帳簿
更新日 2024年8月02日
青色申告で55万円・65万円控除を受けるには、複式簿記による帳簿付けが必須です。複式簿記で作成する帳簿は、大別すると「主要簿」と「補助簿」に分けられます。
主要簿である「仕訳帳」「総勘定元帳」
複式簿記でつくる帳簿の中でも、最も重要なものが「仕訳帳」と「総勘定元帳」です。これらはまとめて「主要簿」と呼ばれます。 それぞれ「仕訳帳(シワケチョウ)」「総勘定元帳(ソウカンジョウモトチョウ)」と読みます。
仕訳帳 | 総勘定元帳 |
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勘定科目の種類に関係なく、1月1日から12月31日まで、単純に日付順で取引が並んでいる | 勘定科目ごとに取引を記録する「元帳」を、1つにまとめたものを「総勘定元帳」と呼ぶ |
青色申告で55万円控除・65万円控除を受けるためには、主要簿の作成が必要です。 ただ、これらを確定申告の際に税務署へ提出するわけではありません。
- 青色申告特別控除の改正
- 2020年分(令和2年分)の確定申告から、青色申告特別控除の改正が適用された。これにより、青色申告特別控除の控除額は10万円・55万円・65万円の3段階になった。
帳簿類は、実際に確定申告で提出する「青色申告決算書」の根拠として保持しておくものです。 作成した帳簿類は、7年間保存しておく義務があります。もし税務調査が入る場合には、調査官にこれらの帳簿をチェックされます。
主な補助簿の種類
主要簿の補助的な役割を担うのが「補助簿」です。業種や取引の内容によって、使用する補助簿は異なります。 例えば、ものを仕入れて売るという取引がない業種の場合には、仕入帳を作成する必要はありません。 下記で例示したもの以外にもさまざまな補助簿があり、必要に応じて作成します。
帳簿の名前 | 概要 |
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現金出納帳 | 現金での取引を日付順・発生順に記録する帳簿 |
預金出納帳 | 預金での取引を日付順・発生順に記録する帳簿 |
仕入帳 | 仕入れに関する取引を記録する帳簿 |
売上帳 | 売上に関する取引を記録する帳簿 |
買掛帳 | 「買掛金」を記録するための帳簿 |
売掛帳 | 「売掛金」を記録するための帳簿 |
これらの補助簿も、主要簿と同様で、確定申告の際に提出するわけではありません。 青色申告の場合、作った補助簿は7年間保存しておく義務があります。
決算書「損益計算書」と「貸借対照表」の提出
青色申告で65万円の控除を受けるためには、帳簿にもとづいて「青色申告決算書」を作成します。 この青色申告決算書には、いわゆる「損益計算書」や「貸借対照表」が含まれています。青色申告決算書は、全4ページです。
損益計算書(青色申告決算書の1ページ目) | 貸借対照表(青色申告決算書の4ページ目) |
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1年で生じた収入や経費の内訳を表す。何にお金を使い、いくら利益が出たかなどが分かる。 | 期首と期末(個人事業の場合は、通常1月1日と12月31日)での、資産や負債の内訳を表す。期首と期末で、資産や負債がどう変わったかが分かる。 |
ちなみに、青色申告決算書の2ページ目と3ページ目には、売上や経費に関する詳細事項を記入することになっています。 >> 詳しくは所得税青色申告決算書(一般用)
会計ソフトでの帳簿づけがおすすめ
従来型の会計ソフトで帳簿を作成する場合、日々の取引を補助簿に入力していくのが基本です。 例えば、預金でのやり取りがあれば「預金出納帳」に入力をします。現金でのやり取りがあれば「現金出納帳」に入力をします。
補助簿に入力していくと、会計ソフトが自動で総勘定元帳や仕訳帳にデータを反映してくれます。 そうして1年分のやりとりを入力してすれば、最終的には主要簿のデータが自動で完成します。 そして、損益計算書と貸借対照表も同様で、1年間の取引を正確に補助簿へ入力していれば完成します。
最新の個人事業主向け会計ソフトでは、記帳の際に補助簿を選択する必要すらありません。 もっと帳簿づけ作業が簡単になっています(詳しくは青色申告対応の会計ソフト一覧)。
簿記に関する理解を深めるに越したことはありませんが、 仕訳帳、総勘定元帳、損益計算書、貸借対照表など、帳簿書類や決算書の仕組みは一朝一夕で理解できるものではありません。
帳簿づけ初心者の個人事業主は、実際に会計ソフトを使ってみながら理解を深めていく事をおすすめします。 コンピューターにできることは任せて、まずは必要最低限の作業を進めながら会計の学習をしましょう。