e-Taxとは?システムの全体像を分かりやすく解説

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更新日 2020年5月01日

イータックスとは?

「e-Tax(イータックス)」とは、国税庁が運営する「国税電子申告・納税システム」の呼称です。本記事では、このシステムの全体像を分かりやすく説明します。

e-Taxの全体像

所得税の電子申告や電子納税など、国税の電子手続きには、必ず「e-Tax」と呼ばれるシステムを利用します。e-Taxを取り巻く全体像をざっくり整理すると、下図のようになります。

e-Taxの全体像(国税の電子申告)

本記事ではひとまず、上図の点線で囲った範囲を「e-Tax」という大きなシステムとして扱います。ただ、国税庁の説明では「e-Tax受付システム」だけを指して「e-Tax」と呼んでいる場合もあるので注意しましょう。

個人の電子申告には、ウェブ上の「確定申告書等作成コーナー」を利用するのがおすすめです。e-Taxとは別のシステムですが「e-Tax受付システム」にデータを送信できます。(詳細は後述)

以降は、上図で示した個々のシステムについて説明していきます。それぞれの大まかな仕組みを把握しておきましょう。

e-Tax受付システムについて

「e-Tax受付システム」は、いわば国税庁の“オンライン窓口”です。利用者は、このシステムに電子申告のデータを送信したり、このシステムを介して税務署から通知を受け取ったりします。

ただ、「e-Tax受付システム」へ直接アクセスする場面は多くありません。基本的に、データの送信や通知の確認は「e-Taxソフト」などを介して行います。

e-Tax受付システムの利用経路(電子申告)

ちなみに、e-Tax公式サイトのトップページには、「e-Tax受付システム」へ直接アクセスできるボタンがあります。しかし、そこからは通知の確認などの簡単な手続きしか行えず、データを直接アップロードしたりできるわけではありません。

① e-Taxソフト

「e-Taxソフト」は、Windows用のインストール型ソフトです。国税の手続きに関わる様々なデータを作成して、「e-Tax受付システム」へ送信することができます。

個人事業でe-Taxソフトを使う場面

e-Taxソフトは豊富な機能が特徴ですが、使い勝手が悪いため個人事業ではあまり使いません。ただ、少し細かい話をすると、外部から取り込んだ申告データを“編集してから”送信できるのはe-Taxソフトだけです。

もし「会計ソフトから出力したデータに、第三表・第四表を追加して送信したい!」という場合は、e-Taxソフトを使うしかありません。これは稀なケースですが、この他の場面でわざわざe-Taxソフトを使う必要性は低いです。

e-Taxソフトの主な機能

  • 申告データの作成(所得税、消費税、法人税、贈与税、相続税、酒税など)
  • 作成した申告データの送信
  • 外部から取り込んだ申告データの送信
  • 納付情報登録依頼の送信(電子納税の手続き)
  • 申請書や届出書の作成と送信
  • 国税庁からの通知の確認

② e-Taxソフト(WEB版)

「e-Taxソフト(WEB版)」は、簡単に言うと、e-Taxソフトの機能の一部を使えるウェブサイトです。ブラウザ上で操作できるため、ソフト自体をダウンロードする必要がありません。ただ、電子申告に利用する際は関連ソフトのインストールが必要になります。

個人事業でe-Taxソフト(WEB版)を使う場面

e-Taxソフト(WEB版)では、基本的に電子申告のデータが作れません。そのため、会計ソフトで作ったデータを「e-Tax受付システム」へ送信するのが主な役割になります。

ちなみに、インストール型のe-Taxソフトにも同じ機能がありますが、WEB版のほうが断然使いやすいです。ただし、e-Taxソフト(WEB版)用にデータを出力できない会計ソフトもあるので注意しましょう。

e-Taxソフト(WEB版)の主な機能

  • 外部から取り込んだ申告データの送信
  • 納付情報登録依頼の送信(電子納税の手続き)
  • 一部の申請書や届出書の作成と送信
  • 国税庁からの通知の確認

③ e-Taxソフト(SP版)

「e-Taxソフト(SP版)」は、e-Taxソフト(WEB版)のスマホバージョンです。スマートフォン用に最適化された操作画面で、通知確認などの簡単な機能が利用できます。まだまだ発展途中といった状態なので、現時点でわざわざ使う必要性はほとんどありません。

個人事業でe-Taxソフト(SP版)を使う場面

e-Taxソフト(SP版)で電子申告を行うことはできません。使う場面と言ったら、出先で通知の確認や、電子納税の手続きを行うときくらいでしょう。

ちなみに「e-Taxアプリ」というスマホアプリも存在しますが、これはスマホでマイナンバーカードの情報を読み取る時に使うものです。e-Taxソフト(SP版)とは別物で、こちらも利用する機会は非常に限られています。

e-Taxソフト(WEB版)の主な機能

  • 納付情報登録依頼の送信(電子納税の手続き)
  • ごく一部の申請書や届出書の作成と送信
  • 国税庁からの通知の確認

確定申告書等作成コーナーとは?

確定申告書等作成コーナー」は、国税の申告書類をブラウザ上で作成できるシステム(およびウェブサイト)です。e-Taxとは別個のシステムですが、作成した書類のデータを「e-Tax受付システム」へ送信することができます。

個人事業で確定申告書等作成コーナーを使う場面

所得税と消費税の電子申告は、確定申告書等作成コーナーから行うのがおすすめです。e-Taxのややこしい部分へ踏み入らずに電子申告を済ませられるため、多くの個人事業主が利用しています。

「e-Taxソフト」等と異なり、会計ソフトのデータを取り込むことはできませんが、申告内容を手入力するのも大した手間ではありません。ちなみに作成コーナーからなら、マイナンバーカードなしで電子申告を行うこともできます(ID・パスワード方式)。

確定申告書等作成コーナーの主な機能

  • 申告データの作成(所得税、消費税、贈与税)
  • 作成した申告データの送信

まとめ - e-Tax利用時のポイント

e-Taxは「e-Tax受付システム」を中心とした、複数のシステムの集合体だと考えましょう。国税の電子申告や電子納税には必ずe-Taxを利用しますが、どのシステムを介して「e-Tax受付システム」にアクセスするかは自由です。

e-Tax受付システムの利用経路(電子申告)

「e-Tax受付システム」を取り巻く各システムの機能は、以下のようにそれぞれ異なります。機能の数で比べれば、インストール型の「e-Taxソフト」がダントツです。しかし、使い勝手が悪く、個人事業での利用には向いていません。

各システムの主な機能

e-Taxソフトe-Taxソフト(WEB版)e-Taxソフト(SP版)
・申告データの作成
・申告データの取込み
・申告データの送信
・電子納税の手続き
・申請や届出
・通知の確認
・申告データの取込み
・申告データの送信
・電子納税の手続き
・申請や届出(一部)
・通知の確認
・電子納税の手続き
・申請や届出(ごく一部)
・通知の確認

ちなみに、所得税の申告データは、ウェブ上の「確定申告書等作成コーナー」でも作成・送信が可能です。事前準備や操作が比較的カンタンなので、個人事業主の電子申告には、ひとまず確定申告書等作成コーナーの利用をおすすめします。

しかし、確定申告書等作成コーナーでは、外部から申告データを取り込むことができません。会計ソフトのデータをそのまま電子申告に活用したい場合は「e-Taxソフト(WEB版)」を使いましょう。ただ、事前準備がちょっと複雑なので、中級者向きだと言えます。

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