会計ソフトから出力したデータで電子申告する方法【e-Tax】
更新日 2020年11月06日

本記事では、市販の会計ソフトから出力したデータを使って、電子申告を行う手順について説明します。出力したデータを国税庁へ送信する方法はいくつかありますが、どの場合でもマイナンバーカードの利用が必須です。>> 個人事業の会計ソフト一覧
- 電子申告のおおまかな流れ
- 【事前準備】e-Taxの利用開始手続き
- データの作成・出力
- 送信方法① e-Taxソフトを使う場合
- 送信方法② e-Taxソフト(WEB版)を使う場合
- 送信方法③ 会計ソフトの独自ツールを使う場合
- 添付書類の扱いについて
- まとめ - 申告の流れと注意点
電子申告のおおまかな流れ
多くの会計ソフトでは、ソフトで作成した確定申告書類のデータを、電子申告用に出力できます。出力したデータを「e-Taxソフト」などに取り込んで、国税庁(e-Tax受付システム)に送信することになります。電子申告はこれで完了です。

データの送信には、必ず「e-Taxソフト」「e-Taxソフト(WEB版)」「会計ソフトの独自ツール」のどれかを使います。特徴はそれぞれ以下のとおりです。
e-Taxソフト | Windowsパソコン用のインストール型ソフト 使い勝手が悪いため、個人事業ではあまり使わない |
---|---|
e-Taxソフト(WEB版) | e-Taxソフトの一部機能を利用できるウェブサイト OSを問わず使えるうえ、e-Taxソフトより断然扱いやすい |
会計ソフトの独自ツール | 会計ソフトのメーカーが独自に開発・提供するソフト 仕様はメーカーごとに異なるが、いちばん使いやすい |
基本的には「e-Taxソフト(WEB版)」か「独自ツール」を使うのがおすすめです。特に「独自ツール」なら、会計ソフトで申告データを作って、そのままカンタンな流れで送信まで済ませられます。
しかし、「e-Taxソフト(WEB版)」と「独自ツール」に未対応の会計ソフトもあります。そのため、本記事では「e-Taxソフト」を使う手順も簡単に触れておきます。
マイナンバーカードとICカードリーダーが必須
会計ソフトから出力したデータで電子申告を行う際は、マイナンバーカード(電子証明書)と、それを読み取るためのカードリーダーが必須です。マイナンバーカード無しで電子申告をしたい場合は「確定申告書等作成コーナー」を利用しましょう。
>> 確定申告書等作成コーナーから電子申告をする手順
【事前準備】e-Taxの利用開始手続き
始めにe-Taxの利用開始手続きを済ませておくと、後々スムーズです。「マイナンバーカード方式」の手順を踏めば、本来必要な「開始届出書」の提出を省略して、簡単にe-Taxの利用登録ができます。
マイナンバーカード方式によるe-Taxの利用開始
e-Tax公式サイトのトップページから「e-Tax受付システム」にアクセスしましょう。そこで「マイナンバーカードの読み取り」を選択し、必要なセットアップを済ませれば、実際にカードの読み取りを行えます。
① e-Tax受付システムへアクセス | ② マイナンバーカードの読取 | ③ 利用者情報の入力 | ④ 利用者識別番号 の取得 |
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カードを読み取ったら、あとは指示に従って必要事項を入力するだけです。最終的に「利用者識別番号」を取得して、e-Taxの利用開始手続きは完了です。
独自ツールもあらかじめインストールしておこう
会計ソフトの「独自ツール」を使って申告データを送信したい場合は、そちらの準備も済ませておきましょう。クラウド会計ソフトでも、電子申告用のツールはインストール型が基本です。各メーカーの公式サイトからダウンロードできます。
データの作成・出力
会計ソフトでは、確定申告書類を作る前後に、提出方法を選択するのが一般的です。表現はソフトごとに異なりますが、そこで「電子申告」なり「e-Tax」なりを選択すれば、電子申告用の形式でデータが出力されます。
たとえば、クラウド会計ソフトの「freee」では、申告書類を作り始める際に以下のような選択肢が表示されます。
ここで「国税庁システムで電子申告」を選んでおけば、「e-Taxソフト」と「e-Taxソフト(WEB版)」に取り込める形式で申告データが出力されるわけです。
ちなみに「freeeで電子申告」を選ぶと、freee独自の「電子申告アプリ」というツールを使って申告データの送信を行う流れになります。
対応状況は会計ソフトごとに異なる
どの送信媒体に向けて申告データを出力できるかは、会計ソフトごとに異なります。大手3社が提供するクラウド会計ソフトの対応状況は、それぞれ以下の通りです。
弥生 | freee | マネーフォワード | |
---|---|---|---|
e-Taxソフト | ○ | ○ | ○ |
e-Taxソフト(WEB版) | ○ | △ (非推奨) | ☓ |
独自ツール | △ (Windowsのみ) | ○ | ☓ |
「e-Taxソフト(WEB版)」と「独自ツール」は使いやすいのですが、会計ソフトの対応状況がまちまちです。「e-Taxソフト」しか使えない場合はどうしても手間がかかるので、使っている会計ソフトの仕様を確認しておきましょう。
送信方法① e-Taxソフトを使う場合
e-Taxソフトは、e-Taxの公式サイトからダウンロードできます。先述の通り、これはWindows専用ソフトです。「共通プログラム」と「税目プログラム」の2つがありますが、両方をインストールしないと所得税の電子申告はできません。
「共通プログラム」のインストール | 「税目プログラム」の追加インストール |
---|---|
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インストールしたら、初回のみ「利用者ファイルの作成」や「利用者情報の登録」など、アカウント作成のような作業が必要になります。それらが済んだら、会計ソフトから出力したデータを取り込めます。
① 利用者ファイル の作成 | ② 利用者情報の登録 | ③ 申告データの取込 | ④ 申告データの送信 |
---|---|---|---|
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申告データを送信すると、すぐに送信結果が表示されます。問題なく送信できていれば、電子申告は完了です。電子納税を選択する場合は、ソフト内のメッセージボックスに届く「受付結果」から納付手続きを行いましょう。
送信方法② e-Taxソフト(WEB版)を使う場合
e-Taxソフト(WEB版)は、ソフトをダウンロードしなくても、ブラウザ上で利用できます。WindowsでもMacでも利用可能です。公式ページからログインしたら「申告・申請」のメニューに進み、「作成済みデータの利用」を選択しましょう。ここで、会計ソフトから出力した申告データを取り込めます。
① ログイン | ② 申告・申請メニュー | ③ 申告データの取込 | ④ 申告データの送信 |
---|---|---|---|
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申告データを取り込んだら、あとは「電子署名の付与」を行って送信するだけです。送信が完了したら、「送信結果・お知らせ」のメニューから送信結果を確認できます。なお、電子納税をする場合は、その後に届く通知から手続きを行いましょう。
送信方法③ 会計ソフトの独自ツールを使う場合
独自ツールの仕様は会計ソフトによって異なりますが、データ作成から送信までの流れはあまり変わりません。本記事ではクラウド会計ソフト「freee」の「電子申告アプリ」を例に説明します。
「電子申告アプリ」は、あらかじめインストールを済ませていれば、確定申告書類の作成画面からそのまま起動できます。このとき、データの移動は自動的に行われ、ユーザーが出力や入力の操作を行う必要はありません。
① 独自ツールの インストール | ② 提出方法の選択 | ③ 電子署名の 付与・送信 | ④ 受付結果の確認 |
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初回利用時には各種の設定が必要になりますが、それ以降は非常にシンプルな操作でデータ送信を行えます。
ただし現状では、電子納税の手続き(納付情報登録依頼の送信)を「電子申告アプリ」から行うことはできません。「ダイレクト納付」か「登録方式」の電子納税を選択したい場合は、e-Taxソフト(WEB版)などにログインして手続きを進めましょう。
添付書類の扱いについて
電子申告では、添付書類(控除証明書など)の記載内容も、申告データと一緒に入力して送信できる場合があります。記載内容を入力できる添付書類は、別途で紙を提示・提出する必要がありません。
ただし、記載内容を入力できない書類については、たとえ電子申告をしても、郵送などで別途提出しなくてはなりません。本記事で説明した方法で電子申告を行う場合、提出を省略できる書類は、会計ソフトの対応状況によって異なります。
内容を入力できる書類 | 内容を入力できない書類 |
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別途での提示・提出は不要 | 窓口や郵送で提示・提出する必要あり |
ソフトの対応状況は、各メーカーの公式サイトなどで公開されています。また、確定申告書類の作成画面でも注意書きが表示されたりします。それに従って、不足のない申告を行いましょう。
e-Taxソフトならほとんどの書類が省略可能
e-Taxソフトで追加の操作を行えば、会計ソフトから取り込んだ申告データに、あらゆる添付書類のデータを付加できます。e-Taxソフトでデータ送信を行う際は、基本的に郵送等の手間がかからないということです。
>> 電子申告によって添付を省略できる第三者作成書類
まとめ - 申告の流れと注意点
会計ソフトから出力した申告データは、e-Taxソフトなどを介して国税庁(e-Tax受付システム)に送信します。どの媒体を介してデータを送信するかは自由ですが、初心者にはe-Taxソフト(WEB版)か、会計ソフトの独自ツールが使いやすいです。

なお、会計ソフトから出力したデータで電子申告をする際には、以下のような点に気をつけましょう。
会計ソフトのデータで電子申告をする際の注意点
- マイナンバーカードとカードリーダーが必須
- e-Taxの利用開始手続きも必須
- インストール型のe-TaxソフトはWindowsパソコンでしか使えない
- e-Taxソフト(WEB版)に未対応の会計ソフトもある
- 独自の送信ツールを提供していない会計ソフトもある
- 省略できる添付書類は会計ソフトの対応状況によって異なる
ちなみに、会計ソフトのデータを「確定申告書等作成コーナー」で手打ちして電子申告を行う、というのも方法のひとつです。出力したデータをそのまま送信することはできませんが、事前準備などの手間を考えると、そちらの方が手っ取り早い場合もあります。