個人事業主・フリーランスの屋号

更新日 2024年7月25日

個人事業主の屋号について

個人事業主として事業運営を始める前に「屋号(やごう)」を決めておきましょう。屋号があれば、名刺や領収書・請求書といった各種印刷物や、ウェブサイトでの運営者情報などにそれを記載することができます。

個人事業における屋号とは?屋号がもたらす3つのメリット

個人事業における屋号とは、営業する上で自己を表すための名称です。株式会社などの法人でいうところの会社名にあたります。業種や事業内容によっては、屋号をつけるメリットがあります。

屋号がもたらす主なメリット

  1. 事業内容がすぐ相手に伝わる
  2. 屋号名義の銀行口座がつくれる
  3. 社会的な信頼がアップする

屋号を考えたら「個人事業の開業・廃業等届出書」の用紙に屋号の記入欄があるので、そこに記入します。屋号の登録・申請は、これだけでOKです。「個人事業の開業・廃業等届出書」については「開業届の出し方」を参考にしてください。

メリット① 事業内容がすぐ相手に伝わる

屋号は単なる事業の名称というだけでなく、営業ツールとしての側面もあります。どんな事業を営んでいるかが伝わる名称をつければ、営業活動がスムーズになります。

営業ツールとして活用する際の屋号例

たとえばデザイナーの場合「○○デザイン事務所の山田です」ではなく「○○Webデザイン事務所の山田です」と名乗れば、デザインのなかでもWebデザインに特化していることがすぐにわかります。

ただ、これは事業内容がフォーカスされている場合です。開業時点で事業内容が定まっていなかったり、将来的に幅広い事業展開をめざしていたりするのであれば、抽象的な屋号にしておきましょう(変更はいつでも可能)。

なお、ペンネームですでに活動していて、その名前が業界で浸透しているのであれば、そのペンネームを屋号にしてもいいでしょう。

メリット② 屋号名義の銀行口座がつくれる

屋号をつくっておけば「屋号+個人名」の名義で、銀行口座を開設できます。プライベートな口座とは別に事業用の口座があると、お金の管理もスムーズに行えます。

個人事業主でも通帳に屋号名を記載できる

屋号付きの口座なら、取引先から入金処理などを受けるときに屋号名だけを表示するよう設定することができます。個人名を伝えなくて済むので、不特定多数に口座の情報を公開する必要のある事業者は、屋号付き口座を利用していることが多いです。

屋号付き口座を開設できる主な銀行

  • 三菱UFJ銀行
  • みずほ銀行
  • 三井住友銀行
  • 楽天銀行
  • PayPay銀行

3大メガバンクはもちろんのこと、楽天銀行やPayPay銀行といった「ネット銀行」でも屋号付き口座を開設できます。口座開設に必要な書類などは銀行によって異なるので、よく確認してから申し込みましょう。

メリット③ 社会的な信頼がアップする

個人事業は、法人と比べると社会的な信用においてハンデがあります。業界によっては法人との取引しか行っていない企業もあります。

消費者を相手としたサービスにおいても、特に個人名で活動していると事業の実態が見えづらいことなどから商品やサービスの購入を敬遠されることはあるでしょう。しかし、屋号を掲げることによって、相手にきちんとした印象を与えることができます。

信頼度アップが見込める屋号の例

  • 〇〇事務所
  • 〇〇オフィス
  • 〇〇企画
  • 〇〇商店
  • 〇〇工業
  • 〇〇グループ

上記のように、「事務所」や「オフィス」などの名称を盛り込むと良いです。お硬いイメージや誠実な印象を演出したい場合は、参考にしてください。

なお、屋号の決め方・ネーミングのポイントでも紹介していますが、「会社」や「銀行」など、会社組織や金融機関と誤認されるような名称を使うことは禁止されています。
例)株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、法人、財団、銀行、労働金庫

屋号と商号の違い - 個人の商号登記は任意、法人は義務

個人事業の「屋号」と「商号」は異なります。法人の場合、会社設立する際に商号登記をする必要がありますが、個人事業の場合、商号の登記は任意です。

商号とは
商号とは、営業を行うにあたって自己を表示するために使用する名称。登録された商号は、同一の市町村内(同一の法務局の管轄内)で、他人が同じ事業目的で同一の商号を利用することを排除することができる。

個人事業主が開業届に記入する「屋号」には、上記のような法的保護がありません。もし名称の使用を占有したければ、商号登記という手続きが必要になります。商号登記をする場合には、登記料・収入印紙代として3万円が必要になります。

法人である場合には、商号登記が必要です。しかし、個人事業主が商号登記をする義務はありません。大多数の個人事業主はそこまでしませんので、事業を営む上で特に気にならなければ、商号登記までする必要はありません。

近場で似た名称の事業所がないかチェック

同一地区内で、同じような名称をつかっているお店がないかくらいはチェックしておきましょう。たとえば、飲食店を開業する場合などは、近くに同じ名前の店舗がないか調べるなどの確認はしておくべきです。法務局に行けば、無料で屋号調査をすることもできます。

屋号のポイント

最後に、屋号に関しておさえておきたいポイントを簡単にまとめておきます。屋号は絶対につけないといけないものではありません。屋号なしで事業を始めることもできます。ただ、本ページで紹介したようなメリットを受けられそうなら、屋号をつけるとよいです。商号とは違って、屋号をつけるだけならお金もかかりません。

屋号のポイント

  • 任意なので、無理につける必要はない
  • 開業届に屋号を記入すれば、それだけで登録は完了する
  • 屋号を変更したくなったら、次の確定申告で新しい屋号を記入すればOK
  • 仕事によっては、屋号をつけることで営業面のメリットがある
  • 事業ごとに屋号を設定することも可能

なお、確定申告書には「屋号」の横に「雅号(がごう)」という言葉が並んでいますが、この「雅号」は画家・書家などが本名以外につける名称のことを指します。

新規開業時に屋号をつけて個人事業をスタートする場合には「開業届」に屋号の記入欄があるので、そこに自分で決めた屋号を記入しましょう。

>> 屋号の決め方・ネーミングのポイント
>> 屋号を口座名義にできるFREENANCE
>> 開業届の書き方 - 個人事業を始める時に提出する書類
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