個人事業主の消費税はいつから払う?免税事業者・課税事業者の条件

更新日 2026年9月10日

個人事業主の消費税はいつから払う?免税事業者・課税事業者の条件

個人事業主は消費税をいつから払う?

個人事業主は、下記のいずれかに該当すると「課税事業者」になり、消費税の申告が必要になります。逆に、どれにも当てはまらない場合は「免税事業者」となり、消費税の納付を免除してもらえます。

個人事業主が課税事業者になる条件

  • 前々年の課税売上が1,000万円を超えた
  • 前年1~6月の「課税売上」と「支払った給与等」がどちらも1,000万円を超えた
  • インボイス発行事業者として登録した
  • 任意で課税事業者になる届け出をした

※ 相続によって課税事業者になるケース等は除外しています

課税事業者になったら、毎年3月末までに「消費税申告」をして消費税を納めます(還付される場合もある)。「あなたは今年から課税事業者ですよ」という通知が必ず届くわけではないので、いつから納めるべきか自分で判断する必要があります。

消費税はいつから払う?具体例まとめ

2026年の課税売上高が1,000万円を超えた2028年分から納める
2026年1月~6月の課税売上と
給与等支払額が1,000万円を超えた
2027年分から納める
2026年中にインボイス登録をした2026年分から納める
(登録前の分は納付不要)
2026年のあいだに
任意で課税事業者になる届け出をした
(2026年開業の場合)
2026年分から納める
2026年のあいだに
任意で課税事業者になる届け出をした
(2025年以前に開業していた場合)
2027年分から納める

上表の「2028年分から納める」とは、2028年中の取引が消費税申告の対象になるという意味です。2028年分の消費税は、2029年の3月末までに申告・納付します。したがって、実際に初めて消費税申告を行うのは2029年です。

ここからは、課税事業者になるケースについて、それぞれの判定方法や「いつから払うか?」を詳しく解説していきます。

① 前々年の課税売上が1,000万円を超えた場合

1年間の課税売上高が1,000万円を超えたら、その翌々年から課税事業者になります。たとえば、2026年の課税売上が1,000万円を超えたら、2028年から課税事業者になるので、2029年の3月末までに「2028年分」の消費税申告をする必要があります。

課税売上高とは
課税売上高とは、消費税がかかる取引による売上のこと。一般的な商品販売やサービス提供による売上は、ほとんど課税売上高に含まれると考えてOK。土地の売却収入や住宅の家賃など、非課税取引による収入は含まれない。

開業から2年間は、そもそも「前々年の売上」が存在しないので、この要件を気にする必要はありません。ただ、3年目以降はこの要件に引っかかって課税事業者になる可能性があります。

② 前年1~6月の課税売上などが1,000万円を超えた場合

1月1日~6月30日の「課税売上高」と「給与等支払額」が両方とも1,000万円を超えたら、その翌年から課税事業者になります。2026年1月~6月の課税売上と給与等支払額がどちらも1,000万円を超えたら、2027年から課税事業者になるということです。

この要件に該当するのは、課税売上高と給与等支払額が両方とも1,000万円を超えた場合だけです。たとえば、課税売上高が1,000万円を超えても、給与等支払額が1,000万円以下なら、この要件に引っかかることはありません。

ちなみに、ここでいう「給与等支払額」とは、従業員や青色事業専従者に支払った給与・賞与・手当などのことです。もちろん、そもそも誰も雇っていなければ0円です。個人事業主の場合、給与等支払額が半年で1,000万円を超えるケースはかなり稀でしょう。

③ インボイス発行事業者として登録した場合

インボイス発行事業者として登録すると、その日から課税事業者になります。このとき、売上規模は関係ありません。開業したばかりでまだ売上がゼロでも、インボイス登録をしたら課税事業者になります。

たとえば、2026年5月10日にインボイス登録をしたら、その日から課税事業者になり、2027年3月末までに「2026年分」の消費税申告をします。この場合、消費税の申告対象になるのは、登録日から年末までの「2026年5月10日~12月31日」の取引です。

④ 任意で課税事業者になる届出をした場合

あくまでレアケースですが、任意で課税事業者になったほうがお得な場合もあります。その場合は、「消費税課税事業者選択届出書」を提出すれば課税事業者になれます。

任意で課税事業者になったほうがよいケース(主な例)

  • 店舗の内装工事や高額な設備の購入を予定している
  • 商品の売上よりも仕入費用が大きくなる見込みがある
  • 海外への輸出取引が多い

「売上にかかる消費税」より「仕入れや経費で支払う消費税」のほうが多かった年は、課税事業者なら消費税の還付を受けられます。ですから、上記のようなケースでは、前述した①~③に該当しなくても、任意で課税事業者になったほうがお得なわけです。

「消費税課税事業者選択届出書」を提出すると、下記のタイミングから課税事業者になります。

開業年の12月31日までに
提出した場合
開業2年目以降に提出した場合
開業年から課税事業者になれる提出した翌年から
課税事業者になれる

たとえば、2026年に開業して12月31日までに届出書を出せば、2026年分から課税事業者になれます(2026年分を2027年に申告をする)。一方、開業2年目以降の事業者が2026年中に提出したら、2027年分から課税事業者になります(2027年分を2028年に申告をする)。

免税事業者でも消費税分を請求していい?

  • 免税事業者でも消費税相当額を請求してOK
  • 請求書にも、本体価格と消費税相当額を分けて記載してよい

免税事業者だからといって、消費税に相当する金額を請求しちゃダメ!というルールはありません。ですから、免税事業者でも「本体価格 + 10%」の金額を請求してOKです。(もちろん、消費税相当額を請求しなくてもよいです)

免税事業者の場合、消費税分として請求した金額を納付する必要はありません。本体価格と区別せずに、売上の一部として扱います。たとえば「本体価格10万円 + 消費税分1万円」を受け取ったら、合計11万円をそのまま売上として計上します。

課税事業者になったら必要なこと

  1. 消費税の計算方法を決める
  2. 消費税の税率や取引区分を記録する
  3. 消費税の申告・納付をする

① 消費税の計算方法を決める

まずは、消費税申告の際に採用する計算方法を決めておきましょう。実際に消費税申告をするのはまだ先ですが、どの計算方法を使うかによって、帳簿付け方法が変わってきます。

消費税の計算方法

本則課税全員が使える計算方法
売上にかかる消費税から、経費で支払った消費税を引いて計算する
簡易課税課税売上が一定以下の事業者が使える計算方法
売上にかかる消費税と「みなし仕入率」を使って計算する
2割特例インボイス登録で課税事業者になった人が使える計算方法
売上にかかる消費税の20%を納付額とする

基本の計算方法は「本則課税」ですが、一定の条件を満たせば「簡易課税」や「2割特例」を選択できます。ただし、簡易課税を利用するには、原則として適用を受けたい年の前年12月31日までに届出書を提出しなければなりません。
>> 消費税の簡易課税制度とは?条件・デメリット・本則課税との違いなど

② 消費税を区分して帳簿を付ける

課税事業者になったら、売上や経費にかかる消費税の「税率」と「取引区分」が分かるように記帳します。

税率については、標準税率の10%と軽減税率の8%を区別しておけばOKです。消費税申告のとき、それぞれを別々に集計できるようにしておきましょう。

取引区分については、その取引が「課税取引・非課税取引・不課税取引・免税取引」のいずれに該当するか分かるようにしておきましょう。こちらも、それぞれの取引金額を別々に集計できるようにしておくことが重要です。

課税取引消費税がかかる取引
商品の販売、サービスの提供など
非課税取引消費税の性質になじまない取引
土地の売却、住宅の貸付けなど
不課税取引消費税の対象外となる取引
従業員への給与、寄付金など
免税取引消費税が免除される取引
商品の輸出など

>> 消費税の課税区分を詳しく【課税・免税・非課税・不課税】

③ 消費税の申告・納付をする

課税事業者は、毎年3月31日までに「消費税申告」をします。消費税申告では、前年分の取引に関わる消費税を集計して、納付する消費税額を計算します。消費税申告が済んだら、申告した税額を実際に納付します。(還付を受けられる場合もあります)

消費税申告では、ごく簡単に言うと「1年間に受け取った消費税 - 1年間に支払った消費税 = 納税額」という計算をします。ただ、簡易課税制度や2割特例を適用する場合は、もう少し簡単な計算式になります。
>> 消費税の基本的な計算方法を詳しく【本則課税】

個人事業主の消費税に関する疑問【Q&A】

開業から2年間は必ず免税事業者でいられる?
多くの場合、開業から2年間は免税事業者でいられます。ただし、インボイス登録をした場合は、開業直後でもその時点から課税事業者になります。また、開業年の1月~6月の「課税売上高」と「給与等支払額」が1,000万円を超えた場合は、2年目から課税事業者になります。
白色申告と青色申告で消費税の条件は変わる?
所得税について白色申告と青色申告のどちらを選んでいても、消費税の課税事業者になる条件は同じです。
課税事業者になったら免税事業者に戻れない?
課税事業者になったあとでも、条件を満たせば免税事業者に戻れます。たとえば、売上が1,000万円を超えて課税事業者になった場合は、その後の基準期間における課税売上が1,000万円以下になれば免税事業者に戻れます。ただし、インボイス登録をしている場合は、インボイス登録の取消手続きも必要です。
副業の売上も1,000万円の判定に含まれる?
基本的には、副業の売上も1,000万円の判定に含まれます。本業と副業の課税売上高を合計して、1,000万円を超えたら課税事業者になります。ただし、副業といっても、会社やアルバイトの給与などは課税売上に含まれません。
課税事業者になると税務署から通知が届く?
税務署から消費税に関する案内が届く場合もありますが、通知が必ず届くわけではありません。売上などの条件を確認し、自分で判断する必要があります。

>> 消費税の課税事業者になったら何をする?
>> 消費税の基本的な計算方法【本則課税】
>> 消費税の簡易課税制度とは?条件・デメリット・本則課税との違いなど