個人事業の消費税 - 免税事業者と課税事業者の違いなど

更新日 2021年6月15日

個人事業の消費税について

免税事業者 - 消費税を納付しなくてよい事業者

まず、開業してから2年間は基本的に「免税事業者」でいられるので、消費税の納付は免除されます。免税事業者とは、消費税を納付する義務がない事業者のことです。このように、開業して間もない個人事業主は、売上と一緒に預かった消費税を税務署へ納付する義務がありません。

また、もともと事業運営をしている人でも、 前々年の課税売上高が1,000万円を超えていなければ、免税事業者でいられます。

例えば、2021年分の課税売上高が1,200万円になった場合は、2年後の2023年に課税事業者となり、2023年分の消費税は納めることになります。この場合、以下のようになります。

2021年分免税事業者(消費税を納める必要なし)
2022年分免税事業者(消費税を納める必要なし)
2023年分課税事業者(消費税を納める必要あり)

特定期間の判定について

前々年の課税売上高が1,000万円を超えなかった場合でも、 特定期間だけで課税売上高1,000万を超え、なおかつ、この期間の給与等の支払い金額も1,000万円を超えた場合には、 翌年に課税事業者となります。(特定期間とは、個人事業者の場合、前年の1月1日~6月30日)

例えば、2021年1月1日~6月30日の期間の課税売上高が2,500万円となり、 さらに、この期間の従業員への給与などの支払い金額が1,200万円となった場合です。 この場合は、どちらも特定期間の金額が1,000万円を超えているので、 翌年の2022年に課税事業者となり、2022年分の消費税を納付することになります。

前年の上半期だけで課税売上高が1,000万を超えた場合であっても、 その期間に支払った給与等の金額が1,000万円を超えていない場合は、 免税事業者を選択することができます。 つまり、課税売上高と給与等の支払い額、どちらかが1,000万円以下であれば、免税事業者を選択できるということです。 >> 特定期間の課税売上高による免税事業者の判定 - 国税庁

個人事業において、個人事業主本人に対する給与という考え方はしないので、 従業員を雇っていない場合には、必然的に、特定期間の給与等支払い額も0円ということになります。 よって、一人で事業運営している個人事業主は、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合でも、 給与の判定によって、免税事業者を選択できます。

特定期間と消費税の例

2021年1月1日~6月30日(特定期間)の状況2022年の消費税について
課税売上高・給与等ともに1,000万円を超えた場合課税事業者になる
課税売上高のみ1,000万円を超えた場合免税事業者の選択も可能
給与等の支払い額のみ1,000万円を超えた場合免税事業者の選択も可能
どちらも1,000万円を超えていない場合免税事業者
(あえて課税事業者になる手続きもあり)

2020年の課税売上高が、1,000万円以下ということが前提

基本的には多くの事業者が、免税事業者のままでいるほうが得をします。 なので、免税事業者の選択が可能な場合は、多くの事業者が免税事業者を選択します。

しかし、たとえば輸出業などで、受け取る消費税よりも支払う消費税の方が多くなる事業者は、 消費税を還付してもらうために、あえて課税事業者を選択することがあります。

免税事業者が消費税を請求してよいのか?

免税事業者といえども、消費税を請求して問題ありません。 9,800円(税込)などの表示で商品を売っても構わないということです。

免税事業者の場合、商品代金と共に預かった消費税は後で税務署に納付する必要がないので、 そのまま個人事業主のふところに入ることになります(消費税分も所得税がかかりますが。)

このことは「益税問題」と呼ばれ、問題視されています。 ただ、2023年から導入されるインボイス制度によって、免税事業者が徐々に商売をしにくくなるので、是正されていく方向とは言えます。
>> 消費増税からインボイス制度への完全移行まで

課税事業者 - 消費税を納付する事業者

課税売上高が1,000万円を超えると、その翌々年に課税事業者となり、消費税を納める義務が生じます。 課税事業者は、3月31日までに消費税を納付します。 >> 税金の納付時期について

先述の通り、前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合は、課税事業者となることが確定します。 ただし、その後に売上がすぐれずに課税売上高1,000万円以下に戻ってしまった場合には、また免税事業者に戻ることができます。

いったん課税事業者になったからといって、その後ずーっと消費税を納付するわけではありません。 あくまでも前々年と特定期間の課税売上高を基準にして、売上が伸び悩んでいたら免税事業者に戻ることもできるのです。

上の記述で何度か「課税売上高」と表現したのですが、消費税がかからないものもあります↓

免税のもの例)輸出するもの、国際輸送など
非課税のもの例)切手や銀行利息など
不課税のもの例)国外取引や寄付など

>> 消費税の課税区分【課税・免税・非課税・不課税】の違い

課税事業者が消費税を納付した場合の仕訳については、 税込経理方式の場合と、税抜経理方式の場合で仕訳の仕方が異なります。
>> 消費税を納付した場合の仕訳について

納付する消費税の基本的な計算方法

消費税は、売上と共に受け取った消費税を全て納税するわけではなく、 仕入れや経費などで支払った消費税を差し引いた金額を納税します(仕入税額控除)。

消費税の基本的な計算式
受け取った消費税 − 支払った消費税 = 消費税の納税額

例えば、材料を10,000円(税込11,000円)で仕入れ、商品として20,000円(税込22,000円)で販売した場合で見てみましょう。

この場合、商品を販売した時に、消費者から2,000円の消費税を預かります。 しかし、仕入れの際に1,000円の消費税を支払っているので、これを差し引いて納税額を計算します。

2,000 − 1,000 = 1,000円

この場合、事業者が税務署に納付する消費税の金額は1,000円です。 これを1年分の取引に置き換えて、消費税額を算出し納税しましょう。 ただし先述の通り、免税事業者は税務署に消費税を納める必要がありません。

上記は、消費税の基本的な計算方法です。 状況により色々な計算方法があるので、詳しくは以下のページを参考にして下さい。
>> 消費税の計算方法について

>> 消費税の課税事業者になったら何をする?
>> 納付した税金の仕訳・勘定科目をおさらい
>> 軽減税率制度に関わる個人事業主の会計業務まとめ