事業主貸・事業主借とは - 個人事業の帳簿付け

更新日 2020年7月17日

事業主貸と事業主借

事業主貸・事業主借とは?

「事業主貸」と「事業主借」は、個人事業に特有の勘定科目です。 法人会計にはない勘定科目です。

  • 事業のお金を「事業主個人に貸す」場合は、事業主貸(ジギョウヌシカシ)
  • 事業のお金を「事業主個人に借りる」場合は、事業主借(ジギョウヌシカリ)

これは、あくまでお金の流れを示すだけのものです。 「貸」「借」という文字がついていますが、貸し借りしたお金を戻す必要はありません。 後ほど具体例を出して、言葉の意味を説明していきます。

個人事業用の会計ソフトを使っている場合、事業主貸と事業主借の金額は、年をまたぐ際に自動で計算されて「元入金」という勘定科目へと集約されます。個人事業の決算日(12月31日)で相殺されて、翌年1月1日には、事業主貸も事業主借も0からスタートするということです。

事業主貸と事業主借の覚え方

最初のうちは、どっちが「貸」でどっちが「借」だっけ?と、 お金の方向がどちらへ向かうのか、こんがらがってしまう事があるかもしれません。


事業主貸と事業主借

特に決まった覚え方はありませんが、難しく考えず、間へ「に」をつけることだけ覚えておきましょう。 これでお金の流れが分かります。お金の流れさえ分かれば十分です。

  • 「事業主貸」 事業主に貸す(お金を事業主に貸す)
  • 「事業主借」 事業主に借りる(お金を事業主に借りる)

事業主貸と事業主借の使用するケース

事業主貸(事業主に貸す)

事業用のお金を、事業主個人の生活費やプライベートな出費にあてた時、 事業主個人の税金を支払った場合などに、「事業主貸」の勘定科目を利用します。 (納めた税金は「租税公課」の勘定科目で経費計上できるものと、事業主のプライベートな出費として「事業主貸」の勘定科目で処理するものがあります。>> 個人事業の税金の仕訳・勘定科目について

このような場合に「事業主貸」の勘定科目を使う

  • 事業用の口座から、生活費のためのお金をおろした
  • 事業用の口座から、所得税や住民税を振替納付した
  • 事業用のクレジットカードで生活用品を買った

事業主借(事業主に借りる)

事業主個人のポケットマネーから事業用の費用を払った場合や、 事業用口座に事業主のプライベートなお金を充当した場合などに「事業主借」の勘定科目を利用します。

このような場合に「事業主借」の勘定科目を使う

  • 事業主個人のポケットマネーを事業用口座に充当した
  • 事業主個人用のクレジットカードで事務用品を買った

事業主貸と事業主借の仕訳例(複式簿記での帳簿づけ)

事業用の預金口座から、事業主の生活費のために5万円おろした場合、 下記のように「事業主貸」で仕訳すれば、それだけでOKです。

日付借方貸方摘要
20XX年5月1日事業主貸 50,000預金 50,000生活費をおろした

逆に、事業主が生活費として持っていたお金を事業用の口座に入金した場合は、 「事業主借」の勘定科目を利用して下記のように仕訳します。

日付借方貸方摘要
20XX年7月1日預金 30,000事業主借 30,000生活費を事業用口座へ

事業主のプライベートなお金である3万円を事業用口座へ充当したという意味の帳簿づけです。 「借」という言葉がついていますが、先述の通り、この3万円をどこかのタイミングで事業主へ返す必要はありません。

家事按分の帳簿づけで使う事業主貸

支出の一部を必要経費に計上し、残りの部分を事業主のプライベートな出費として扱うことを「家事按分(または、単に按分)」と呼びます。この家事按分を行う際に「事業主貸」の勘定科目を利用することになります。

例えば、自宅兼事務所の家賃を「事業3:私用7」の割合で按分している場合で見ていきましょう。 この場合、家賃10万円のうち、30%にあたる3万円を地代家賃として必要経費に計上し、 70%にあたる7万円は「事業主貸」としてプライベートな支出として処理します。

日付借方貸方摘要
20XX年4月30日地代家賃 30,000預金 100,000自宅兼事務所の家賃
事業主貸 70,000

これで、家賃として支払った10万円のうち、3万円は必要経費として計上され、 残り7万円は事業主のプライベートな支出として扱うという意味の帳簿づけになります。 ちなみに、上記のような仕訳を「複合仕訳」と呼びます。 複合仕訳ではなく、下記のように仕訳しても問題ありません。

日付借方貸方摘要
20XX年4月30日地代家賃 30,000預金 30,000自宅兼事務所の家賃
20XX年4月30日事業主貸 70,000預金 70,000自宅兼事務所の家賃

繰り返しになりますが、この7万円を事業主が事業へ返す必要はありません。 事業主貸と事業主借の金額は、個人事業の期末である12月31日から、期首である1月1日へ変わるタイミングで、「元入金」へと集約します。 個人事業用の会計ソフトを使っていれば、年更新のボタンを押すことでそれが自動計算されます。

>> 「元入金」の詳細 - 事業主貸・事業主借との関係
>> 個人事業用の会計ソフト一覧
>> 個人事業主の帳簿づけに関するまとめ