複合仕訳の例や単一仕訳との違いについて
更新日 2024年7月16日
複合仕訳とは?
複合仕訳とは、複数の行でひとつの取引を表すことです。 「1対多(1:N)」あるいは「多対多(N:N)」の場合です。 「1対1」で済む取引の仕訳は、単一仕訳(単純仕訳)と呼びます。 複合仕訳を手書きで行う場合は、「振替伝票」に記帳します。 >> 複式簿記の仕訳をおさらい
個人事業主の経理において、よくある複合仕訳の例としては下記のようなものが挙げられます。
- 経費を按分する場合
- 従業員の給与を支払う場合
- 料金を振込する際に手数料を負担する場合
会計ソフトの仕様上、もし複合仕訳ができない場合には、 単一仕訳で「諸口」という勘定科目を使い、全てを1対1の取引として入力します。 ちなみに、「諸口」の勘定科目がない会計ソフトもあります。 その場合でも複合仕訳はできるはずですが、諸口という勘定科目を新たに作っても構いません。
- 諸口(しょくち)とは?
- 借方・貸方のどちらかに、2つ以上の勘定科目がある場合に使う表現。 諸口という科目は「まとめて書いてま〜す」ほどの意味で、 単につなぎのために使われる言葉としてとらえておけばよい。
最新のクラウド会計ソフトであれば、 複合仕訳をすることができます。もちろん「諸口」の勘定科目を使うことも可能です。
複合仕訳の例 ①
広告用ポスターの印刷料金を振込する際、その振込手数料をこちらで負担する場合には、以下のように記帳します。 これが2行の複合仕訳です。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
20XX年5月31日 | 広告宣伝費 30,000 | 普通預金 30,200 | ポスター印刷料 |
支払手数料 200 |
この取引を、諸口を使って入力すると以下のようになります。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
20XX年5月31日 | 諸口 30,200 | 普通預金 30,200 | ポスター印刷料 |
広告宣伝費 30,000 | 諸口 30,000 | ||
支払手数料 200 | 諸口 200 |
複合仕訳の例 ②
自動車税50,000円を現金で支払った場合を見てみましょう。この自動車は仕事で80%、私用で20%利用しているとします。 事業と私用で使う自動車の自動車税は按分をして、一部を租税公課として経費に、一部を事業主貸としてプライベートな支出として計上します。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
20XX年5月31日 | 租税公課 40,000 | 現金 50,000 | 自動車税 |
事業主貸 10,000 |
これを諸口を用いて表すと、以下のようになります。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
20XX年5月31日 | 諸口 50,000 | 現金 50,000 | 自動車税 |
租税公課 40,000 | 諸口 40,000 | ||
事業主貸 10,000 | 諸口 10,000 |
あるいは、以下のように仕訳をしても構いません。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
20XX年5月31日 | 租税公課 50,000 | 現金 50,000 | 自動車税 |
事業主貸 10,000 | 租税公課 10,000 |
クラウド会計ソフトの複合仕訳
例えば「やよいの青色申告 オンライン」では、複合仕訳による帳簿づけが可能です。「追加」のボタンで行を増やして、1対1だけでなく、N対Nの複合仕訳を行うことができます。
(売掛金10万円から振込手数料300円が差し引かれて入金された場合の仕訳)
個人事業用の会計ソフト「マネーフォワード クラウド確定申告」でも同様に、複合仕訳が可能です。
(マネーフォワード クラウド確定申告 > 手動で仕訳 > 振替伝票入力)
こちらも「行追加」のボタンを押すことで、複数行にわたる仕訳を行うことができます。
>> 個人事業用の会計ソフト一覧
>> 確定申告書類の書き方【個人事業主向け】
>> 個人事業主の帳簿づけ・簿記に関する情報まとめ