【個人事業主向け】従業員や専従者に支払う給与の仕訳方法・勘定科目
更新日 2026年8月17日

給与を支払ったときの会計処理【一覧】
| 従業員への給与 | 「給料賃金」として経費計上する |
|---|---|
| 専従者への給与 | 白色申告では「事業主貸」として処理する 青色申告では「専従者給与」として経費計上する |
| 事業主本人の給与 | 「事業主貸」として処理する |
専従者とは、簡単に言うと「事業を手伝ってくれる親族」のことです。専従者への給料は、従業員への給与とは分けて考える必要があります。
なお、厳密にいうと、個人事業主の会計において「個人事業主本人の給与」というものは存在しません。個人事業では、事業の儲けがそのまま事業主本人の取り分になるので、わざわざ「給与」のようには扱わないわけです。詳しくは記事の後半で解説します。
従業員への給与
従業員に支払った給与は「給料賃金」の勘定科目で経費に計上できます。アルバイトやパートなど、雇用形態に関わらず同じように処理してOKです。
給料賃金の仕訳例
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 20XX年5月25日 | 給料賃金 250,000 | 普通預金 233,000 | 山田さん給与 |
| 預り金 6,000 | 所得税 | ||
| 預り金 10,000 | 住民税 | ||
| 預り金 1,000 | 雇用保険料 |
上記の仕訳例は、以下のような内容を示しています。
- 給料賃金として250,000円を経費計上した
- 口座からの実際の出金額は233,000円
- 残りの17,000円は事業主が源泉徴収した
事業主は、従業員の給料から税金や社会保険料を預かっておき、あとで本人の代わりに納めます(このような処理を源泉徴収という)。前述した仕訳例の「預り金」は、この金額を表しています。
>> 従業員に給与を払うときの源泉徴収について詳しく
なお、従業員に給与を支払うには、事前の届出が必要です。給与の支払開始から1ヶ月以内に、税務署へ「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」を提出しましょう。
専従者への給与
専従者とは、簡単に言うと「事業を手伝ってくれる親族」のことです。専従者への給料は、白色申告と青色申告で処理方法が異なります。
専従者への給与の処理方法【白色申告と青色申告の違い】
| 白色申告の場合 | 青色申告の場合 |
|---|---|
| 「事業主貸」で処理する (経費にはできない) |
「専従者給与」で処理する (経費にできる) |
白色申告の場合:「事業主貸」で処理する
白色申告の場合、専従者に支払った給与は必要経費にできません(代わりに専従者控除を受けられる)。ですから、給与を事業用口座から支払った場合は、「事業主貸」の科目で記録しておくのが一般的です。
ちなみに、単式簿記なら無理に「事業主貸」という科目を使う必要はありません。当該の出金について、これは必要経費にはカウントしませんよ、ということが分かるように記録しておけばOKです。
青色申告の場合:「専従者給与」で経費計上する
一方、青色申告の場合は、専従者への給料を「専従者給与」の勘定科目で経費計上できます。こちらの場合は、支払った給料を全額経費にできます。
専従者給与の仕訳例
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 20XX年5月25日 | 専従者給与 200,000円 | 普通預金 157,000円 | 専従者給与の支払い |
| 預り金 5,000円 | 所得税 | ||
| 預り金 8,000円 | 住民税 | ||
| 預り金 30,000円 | 社会保険料 |
専従者給与についても、従業員への給与と同じように源泉徴収が必要です。上記の「預り金」は、源泉徴収した金額を表しています。(金額はあくまで一例です。住民税と社会保険料は徴収不要な場合もあります。)
個人事業主本人の取り分
個人事業では、事業の儲け(所得)がすべて事業主の取り分になります。したがって、「売上のうち〇〇万円を自分の給料にする」というような会計処理は行いません。当然ですが、自分自身への給与を経費にすることもできません。
事業用の口座から生活費をおろしたり、プライベートの口座にお金を移したりした際は、「事業主貸」の勘定科目で記帳しておきましょう。「事業主貸」は必要経費の勘定科目ではなく、「事業のお金をプライベートにまわしたよ」ということを意味する科目です。
事業主貸の仕訳例【事業用口座から生活費をおろすとき】
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 20XX年5月10日 | 事業主貸 200,000 | 普通預金 200,000 | 生活費 |
上記は、事業用口座から生活費20万円を引き落とした場合の仕訳例です。「事業用の口座からプライベートな出費をした」ということを帳簿上で示すため、上記のような仕訳をするわけです。
ちなみに、プライベートなお金を事業に充てるときには「事業主"借"」という勘定科目を使います。たとえば、プライベート用の口座から事業用口座に送金する際は「事業主借」を使うわけです。
まとめ
| 従業員への給料 | 「給料賃金」で経費計上できる |
|---|---|
| 専従者への給料 | 白色申告の場合 「事業主貸」で処理する(経費ではない) 確定申告で専従者控除を受けられる |
| 青色申告の場合 「専従者給与」で経費計上できる |
|
| 事業主本人の取り分 | 「事業主貸」で処理する(経費ではない) |
従業員への給料は、「給料賃金」の科目で経費計上できます。会計ソフトによっては「給与」という科目が用意されていることもありますが、そちらでもOKです。
専従者への給与については、白色申告と青色申告で処理が異なります。白色申告では、そのまま必要経費にできるわけではないので、帳簿上は「事業主貸」として処理しておくのが一般的です。一方、青色申告では「専従者給与」という勘定科目で全額を経費計上できます。専従者の給料を全額経費にできるのは、青色申告のメリットのひとつです。
>> 青色申告のメリット・デメリットをおさらい
個人事業主本人の取り分は、収入から必要経費を差し引いて残った「所得」です。事業用の口座からおろした生活費などは、経費にはできず、「事業主貸」という科目を用いて処理します。
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