元入金(もといれきん)

個人事業の元入金

元入金(モトイレキン)とは?

個人事業の「元入金」とは、法人でいうところの資本金にあたるものです。 開業するにあたって事業主が用意した開業資金・準備金を「元入金」として帳簿づけします。 資本金との大きな違いは、毎年金額が変わるという点です。

資産
(現金、預金、売掛金、固定資産など)
負債
(買掛金、未払金など)
資本
元入金、事業主借など)

貸借対照表の位置でいうと、右下に資本があります。 個人事業における資本とは、元入金や事業主借のことを指します。 ちなみに、法人会計で元入金の勘定科目はありません。

開業時の仕訳方法

事業を運営するために準備していたお金を、元入金の勘定科目を用いて記帳します。 例えば、事業主が用意した100万円を事業用口座にいれて事業をスタートする場合、下記のように仕訳します。

日付借方貸方摘要
2019年3月25日預金 1,000,000元入金 1,000,000開業資金

これで事業用口座に入金した100万円で事業を始めるということになります。 ひとまず事業用口座は用意せず、100万円の現金をもとにスタートするということであれば、下記のように記帳します。 預金か現金かの違いで、ほとんど変わりません。

日付借方貸方摘要
2019年3月25日現金 1,000,000元入金 1,000,000開業資金

この後、期中(会計期間の途中)に、元入金の勘定科目を使って記帳をすることはありません。 これ以降は、会計年度が変わるときにだけ、元入金を計算することになります。

元入金の計算方法

元入金の金額は、期首(1月1日)と期末(12月31日)では変わりません。 年度をまたぐときだけ(12月31日→1月1日)に更新される数字です。 同じ年度の期首と期末は同じ金額であるものなので、例えば2019年12月31日と2020年1月1日のどちらかの日付で帳簿づけをするのであれば、2020年1月1日に帳簿づけしましょう。

翌期の元入金の算出について
今期の元入金 + 所得 + 事業主借 − 事業主貸 = 翌期の元入金
(ここでいう所得は、青色申告特別控除前の所得)

この計算により、事業主貸や事業主借は年度をまたぐときに元入金へと集約されます。
(>> 事業主貸・事業主借とは

個人事業用の会計ソフトを使っていれば、年度をまたぐときの繰越処理は自動で行われます。 自分で元入金の計算をして帳簿づけする必要はありません。 上記の計算はソフトが行ってくれて、自動で翌期首(1月1日)の元入金が算出されます。

期中には事業主のポケットマネーから事業にお金を移動しても、元入金の勘定科目は使いません。その時には「事業主借」の勘定科目を使います。会計ソフトを使っている場合、元入金の勘定科目を使って自ら帳簿付けをするのは、新規開業時のみです。

元入金って、マイナスになってもいいの?

元入金はマイナスになっても問題ありません。 事業がうまくいっていない時や、事業主の生活費がかさんでいる場合にマイナスになることはあります。

元入金がマイナスということは、 赤字であったり、利益の多くを事業主の生活費に使ってしまったということです。

1年間を終えて所得が多くなった場合には、基本的に翌期首(1月1日)の元入金は増えることになります。 しかし、「事業主貸」が多い場合には元入金の金額は少なくなります。 新しい年度を迎えるたびに、元入金の金額が多くなっていくのが理想的な状態です。

元入金の仕訳例と計算例

例えば、開業した時に事業主の全財産300万円を事業用の銀行口座にいれて、 個人事業を1月にスタートしたとしましょう。この場合は下記のように記帳します。

元入金 - 開業時の仕訳例

日付借方貸方摘要
2019年1月10日預金 3,000,000元入金 3,000,000開業資金

その後、事業主は生活費のために毎月20万円を事業用口座から引き落とすとします。 そして、その年の年間所得(利益)は500万円になったとしましょう。

この場合、事業のためのお金として最初に用意したのが300万円(元入金)
事業主の生活費として20万円×12ヶ月分 = 240万円(事業主貸)
売上 − 経費 = 500万円(所得)
これらを先ほどの式(翌期の元入金の算出について)に当てはめてみます。

翌期の元入金の算出について
今期の元入金 + 所得 + 事業主借 − 事業主貸 = 翌期の元入金
(ここでいう所得は、青色申告特別控除前の所得)

300万円 + 500万円 + 0 − 240万円 = 560万円
この場合、翌期の元入金は560万円でスタートするということです。

これは順調な例ですね。1年間事業を運営して事業主の生活が維持でき、 なおかつ事業資本である元入金が事業開始時から260万円増えたわけです。

ただし、事業主貸の分だけ元入金は減少しますので、 「元入金の金額 = 儲け」という訳ではありません。 事業が好調でも、同時に事業主個人の生活が派手な場合、翌期の元入金は少なくなるわけです。

元入金と事業主借について

そういえば開業当初の準備金を「事業主借」で処理してしまっていた、という場合でも問題ありません。 年度をまたぐときに会計ソフトが自動で繰り越し処理をしてくれて、翌期の元入金へと反映されます。

先ほどの例で言えば、最初に用意した300万円が「今期の元入金」であれ「事業主借」であれ、 翌期の元入金の金額に違いはないわけです。いま一度、計算式を確認してみましょう。

翌期の元入金の算出について
今期の元入金 + 所得 + 事業主借 − 事業主貸 = 翌期の元入金
(ここでいう所得は、青色申告特別控除前の所得)

開始資金を元入金として計上した場合 → 300万円 + 500万円 + 0 − 240万円 = 560万円
開始資金を事業主借として計上した場合 → 0 + 500万円 + 300万円 − 240万円 = 560万円

どちらにしても翌期の元入金は560万円になるので問題ありません。 本来であれば開業当初の資金は「元入金」の勘定科目で処理しますが、 「事業主借」にしてしまったとしても気にするほどのミスではありません。

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