青色申告特別控除とは?適用条件や期限、控除額・納税額の違いなど

更新日 2021年4月16日

青色申告特別控除

個人事業の確定申告には、大きく分けて白色申告と青色申告があります。 特に何も申請をしなければ白色申告となります。青色申告は事前申請の必要がありますが、本ページで紹介する青色申告特別控除など、いくつかの特典が用意されています。

青色申告特別控除とは?

青色申告特別控除は、青色申告者にのみ適用される控除です。控除額は10万円・55万円・65万円の3種類があり、簿記の方法などによって控除額が異なります。

簡易簿記もしくは現金式簡易簿記の場合には10万円控除、複式簿記で正しく記帳すれば55万円控除、さらに電子申告などの要件を満たせば65万円控除が受けられます。
>> 簡易簿記・現金式簡易簿記・複式簿記の違いについて

所得税の計算方法【青色申告特別控除】

新規開業や廃業などで1年間のうちに営業できたのが数ヶ月であったとしても、 青色申告特別控除は月割りなどにはなりません。 たとえば、新規開業で9月から12月までの4ヶ月しか営業していないとしても、 後述の適用条件を満たしていれば、10万円・55万円・65万円いずれかの控除を受けることができます。

青色申告特別控除の改正 - 令和2年分から
2020年分の確定申告(2021年2月16日〜4月15日に行う確定申告)から、青色申告特別控除の改正が適用された。 これにより、青色申告特別控除の控除額は10万円・55万円・65万円の3段階になった。 >> 青色申告特別控除の改正点

青色申告特別控除が適用される税金

青色申告特別控除が適用されることで、個人事業主が納付する所得税・住民税・国民健康保険料の金額が少なくなります。 一方、個人事業税や消費税、国民年金などには青色申告特別控除が関係しません。

青色申告特別控除の適用について

適用される税金の例適用されない税金の例
  • 所得税
  • 住民税
  • 国民健康保険
  • 個人事業税
  • 消費税
  • 国民年金

個人事業で納める主な税金には、個人事業税や消費税がありますが、 これらの計算に青色申告特別控除は適用されません。 また、国民年金も全員一律なので、青色申告特別控除は適用されません。 (国民年金保険料は、だいたい1ヶ月16,000円で一律。)

55万円控除を受けるための要件

青色申告で55万円の特別控除を受けるには、以下に挙げる3つの要件を満たす必要があります。 この要件にひとつでも該当しない青色申告者には、10万円控除が適用されます。

  1. 事業所得か不動産所得を得る事業を営んでいること
  2. 正規の簿記(複式簿記)で記帳していること
  3. 確定申告書類を法定申告期限内に提出すること

青色申告特別控除 - 国税庁

1. 事業所得か不動産所得を得る事業を営んでいること

所得の種類は10種類ほどありますが、その中でも事業所得と不動産所得が生じる事業を営んでいる必要があります。 事業所得とは、事業から生ずる所得のことで、個人事業者の所得はほとんどの場合これに当てはまります。
>> 10種類の所得について

2. 正規の簿記(複式簿記)で記帳していること

青色申告で55万円控除を受けるためには「正規の簿記(複式簿記)」による会計記録が要件となっています。
>> 簡易な簿記(単式簿記)と正規の簿記(複式簿記)の違い

3. 確定申告書類を法定申告期限内に提出すること

複式簿記で記帳した帳簿にもとづき、確定申告書類を作成します。その確定申告書類の所定欄に控除額を記入します。青色申告では、主に「青色申告決算書」と「確定申告書B」を提出することになっていますので、 これらを法定申告期限(原則3月15日)までに提出します。

上記のように、55万円控除を受けるには法定申告期限内の提出が要件となっていますので、期限後申告では55万円控除を受けることができません。(期限後申告でも、10万円控除であれば受けることができます)

65万円控除を受けるための要件【2020年分から】

青色申告特別控除の改正が適用され、65万円控除に新たな要件が加わりました。この改正は、2020年分(令和2年分)の確定申告から適用されています。

青色申告特別控除の変更点 - 令和2年分から

65万円控除を受けるための要件は、55万円の要件を満たしたうえで「e-Taxによる電子申告」か「電子帳簿保存」を行うことです。これを満たさなければ、55万円の控除になります。

青色申告で65万円の特別控除を受けるための新しい要件

要件がひとつ増えるわけですから、納税者にとっては不利な改正といえます。政府の「電子申告やマイナンバーカードをもっと普及させたい」という課題感から、このような改正が行われたようです。

所得税と住民税で具体的にいくら税金が少なくなる?

青色申告特別控除は、あくまで「所得」から差し引かれるものなので、 65万円控除といっても、納める税金がまるまる65万円少なくなるわけではありません。 ということで、具体的にどのくらい納める税金が少なくなるかを見ていきましょう。

下記の表は、課税所得(ざっくり言うと年収)が、200万円・500万円・800万円の場合に、白色申告と青色申告でどれほど納税額の差が出るかを簡易的に示したものです。

白色申告青色申告
10万円控除
青色申告
55万円控除
青色申告
65万円控除
所得金額
200万円
所得税 55,000
住民税 120,000
合計 175,000
所得税 50,000
住民税 110,000
合計 160,000
白色との差額 −15,000
所得税 27,500
住民税 65,000
合計 92,500
白色との差額 −82,500
所得税 22,500
住民税 55,000
合計 77,500
白色との差額 −97,500
500万円332,500
390,000
722,500
312,500
380,000
692,500
−30,000
227,500
335,000
562,500
−160,000
217,500
325,000
542,500
−180,000
800万円872,500
660,000
1,532,500
852,500
650,000
1,502,500
−30,000
762,500
605,000
1,367,500
−165,000
742,500
595,000
1,337,500
−195,000

※ 表の中の「所得金額」は、青色申告特別控除前の金額

状況により多少違いが出るので、白色申告と青色申告で納税額のおおよその差額をつかむイメージでご覧ください。 (売上 − 必要経費 − 各種控除 = 課税所得)

たとえば、課税所得200万円の場合は、白色申告だと所得税と住民税の合計額が「175,000円」となります。一方、青色申告65万円控除を適用すれば、納税額は「77,500円」となります。つまり、この場合では、白色申告よりも約10万円の節税ができるということです。
>> 白色申告・青色申告特別控除10万円・55万円・65万円の納税額の違い

ちなみに、先述の通り「国民健康保険」にも青色申告特別控除が適用されますが、 これはお住まいの自治体によって計算方法が異なります。

>> 基礎控除と青色申告特別控除の改正について
>> 青色申告特別控除の改正点と新要件(2020年分から)
>> 白色申告と青色申告の納税額の違いを詳しく
>> 青色申告の記帳方式を比較