扶養控除 - 扶養親族の年齢や控除額について

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更新日 2020年10月19日

扶養控除

扶養控除とは、納税者に「控除対象扶養親族」がいる場合に受けられる控除です。 本記事では「扶養親族」や「控除対象扶養親族」の定義を詳しくみていきながら、この扶養控除について説明しています。

「扶養親族」とは?

扶養控除を理解するため、まずは「扶養親族」の定義を確認しておきましょう。 所得税法上の「扶養親族」は、その年の12月31日時点で以下4つの要件全てに当てはまる人です。

  1. 「配偶者以外の親族」 or 「里子」 or 「市町村長から養護を委託された老人」
  2. 納税者と生計を一にしている
  3. 年間の合計所得金額が48万円以下
     (収入が給与のみの場合は、給与収入が103万円以下)
  4. 青色申告専従者 or 白色専従者ではない

「控除対象扶養親族」とは、上記の要件に加えて、その年12月31日時点で16歳以上に該当する人です。 納税者に、この「控除対象扶養親族」がいる場合に、扶養控除を受けられます。 控除額は基本的に38万円ですが、後述の通り、扶養親族の年齢によって金額が異なります。

以上の要件を、順番に詳しく見ていきましょう。

1. 配偶者以外の親族 or 里子 or 市町村長から養護を委託された老人

この1については、「配偶者以外の親族」に当てはまる場合が多いはずです。 つまり、配偶者(妻もしくは夫)以外の親族のことです。配偶者には「配偶者控除」が用意されているので、扶養控除の対象にはなりません。

親族とは?
法律上の親族とは「6親等内の血族、もしくは3親等内の姻族」とされている。 血族とは、その名の通り血縁関係にある親戚だが、必ずしも実際に血のつながりがある必要はない。

例えば、養子縁組をした場合には、養子や養親が法律上の血族となる。 あるいは、生物学的に血のつながりがあっても、法律上で血族と認められない場合もある。

「姻族」とは、結婚によってできた親戚のことを指す。 例えば、夫からみた妻の両親や兄弟姉妹、祖父母は姻族に該当する。

つまり、本人から見て、祖父母、父母、兄弟姉妹、子供、孫、あるいは配偶者の父母や兄弟姉妹、祖父母などをはじめとして、 多くの血族・姻族の方がこの定義にあてはまります。

親等血族関係の例
1親等父、母、息子、娘
2親等祖父母、兄弟姉妹、孫
3親等曾祖父母(そうそふぼ)、曾孫(ひまご、そうそん)、甥、姪、叔父、叔母
4親等高祖父母(こうそふぼ)、玄孫(やしゃご)

難しい言葉が出てきましたが、多くの場合は、納税者の子供(16歳以上であること)が当てはまるでしょう。高齢で働けなくなった親や、おじいちゃんおばあちゃんも当てはまります。

2. 納税者と生計を一にしている

納税者である個人事業主と生計を一緒にしている必要はありますが、 必ずしも納税者と扶養親族が同居している必要はありません。

例えば、遠方でひとり暮らしをしながら大学に通っている息子がいる場合、 仕送りなどを通じて生計を一緒にしているのであれば、この要件を満たします。

3. 年間の合計所得金額が48万円以下

合計所得とは、事業所得や給与所得など、さまざまな所得を合計したものです。 ただ、扶養親族はアルバイトやパートなどで給与収入だけを得ているケースがほとんどでしょう。 この場合、下記のような給与収入の金額で考えます。

扶養親族の収入が給与のみの場合は、年間の給与収入が「103万円以下」の場合に対象となります。 これは実際に振り込まれた手取りの金額ではなく、税金を差し引く前の総支給額です(交通費は含みません)。源泉徴収票でいうと「支払金額」のことです。

これがいわゆる「103万円の壁」です。

例えば、個人事業主のあなたに、生計をともにしている息子がいるとします。 この息子が、アルバイトをしている場合、 息子の1年間の給与収入が103万円を超えると、個人事業主のあなたは、扶養控除が受けられません。 ちなみに年間103万円は、月平均でいうと約8万6,000円です。

4. 青色申告専従者 or 白色専従者ではない

青色申告専従者白色申告専従者とは、簡単に言うと個人事業主の事業を手伝ってくれている家族従業員のことです。親族が個人事業を手伝っていて、給料をもらっている場合は扶養控除の対象になりません。

青色申告専従者への給与は「専従者給与」として経費にすることができます。 これは青色申告の特典です。 白色申告専従者への給与は経費にすることができませんが、 一定額まで白色申告専従者控除として、控除の対象とすることができます。 こういった制度が用意されているため、青色申告専従者・白色申告専従者は扶養控除の対象になりません。

ただし、青色申告専従者であっても、その年に給料を一度も支払われていないという場合であれば扶養控除の対象に入ります。

扶養親族の年齢と控除額について

扶養控除の控除額は、基本的には38万円ですが、扶養親族の年齢によって控除額が異なります。

扶養親族の区分控除額
一般の扶養対象扶養親族
(その年12月31日現在の年齢が16歳以上)
38万円
特定扶養親族
(その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満)
63万円
老人扶養親族で同居老親等以外の者
(その年12月31日現在の年齢が70歳以上)
48万円
老人扶養親族で同居老親等
(その年12月31日現在の年齢が70歳以上)
58万円

扶養控除において「特定扶養親族」が定義されているのは、大学生や専門学校生の子どもがいて、教育費がかさむ時期の税負担を軽減するためです。

「同居老親等」とは、納税者か配偶者の父母で、常に同居している人のことを指します。 老人ホームなどに入所している場合は、同居に該当しません。

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