配偶者控除の控除額や改正点 - 2020年分からの所得要件など

更新日 2024年9月09日

配偶者控除

個人事業主向けに、配偶者控除の適用条件や控除額について詳しく解説します。「配偶者控除」と「配偶者特別控除」を、同時に受けることはできません。配偶者特別控除は、配偶者控除を受けられない場合の控除です。

配偶者控除とは?

配偶者控除とは、納税者(確定申告をする本人)に控除対象の配偶者がいる場合に受けられる控除です。「配偶者がいる方を税金面で優遇してあげよう」という内容の控除です。

個人事業主のあなたに妻か夫がいる場合、後述の要件を満たせば、最高38万円の配偶者控除を受けることができます。 これによってあなたが納める所得税や住民税が少なくなります。

似たような控除に「扶養控除」がありますが、 配偶者控除と扶養控除を同時に重複して受けることはできません。 どちらにも当てはまる場合は、配偶者控除が優先されます。 また、配偶者控除は夫婦の間でお互いに受けることはできません。

控除対象になる配偶者の条件

所得税法上の控除対象配偶者とは、その年の12月31日時点で、以下4つの条件すべてに当てはまる人です。 納税者の妻か夫が、下記の条件すべてに当てはまる必要があるということです。

  1. 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の場合は該当しない)
  2. 納税者と生計を共にしていること
  3. 青色申告者の事業専従者・白色申告者の事業専従者でないこと
    (青色専従者でも、その年に給与を一度も支払われていない場合はOK)
  4. 年間の合計所得金額が48万円以下であること
     (給与収入のみの場合は、給与収入が103万円以下であること。)

1. 民法の規定による配偶者であること

納税者とその配偶者が、婚姻届を提出して法的に結婚を認められた関係である必要があります。 事実婚では認められません。

2. 納税者と生計を一緒にしていること

納税者と配偶者が生計を共にしている必要があります。ただ、必ずしも同居をしている必要はありません。 仕事の都合などで別の場所に住んでいても、仕送りなどで生活費を共有していればOKです。

3. 青色申告者の事業専従者・白色申告者の事業専従者でないこと

青色申告者の事業専従者 or 白色申告者の事業専従者である場合には、配偶者控除や配偶者特別控除を受けることができません。 「事業専従者」とは、かんたんにいうと事業を手伝う親族のことです。 >> 専従者として給与をもらうと配偶者控除を受けられなくなる

4. 年間の合計所得金額が48万円以下であること
(給与収入のみの場合は、給与が103万円以下であること。)

配偶者の合計所得金額が、48万円以下である必要があります。 配偶者の収入が給与収入のみなら、配偶者の「給与収入の総額」が103万円以下である必要があります(給与収入の総額は、保険料や税金を差し引く前の金額)。

「妻の稼ぎはパート収入だけだよ」といった場合は、48万円という数字を気にする必要はなく、103万円を超えるかどうかだけ気にしておけばよいというわけです。とはいえ103万円を超えても、配偶者に関する控除がスパッとなくなるわけではありません。 そのような方のために「配偶者特別控除」が用意されています。

配偶者控除の控除額 - 0円・13万円・26万円・38万円の4段階

納税者本人の合計所得金額と、控除額の関係をまとめると下表のとおりです。 個人事業が専業であれば、下表の「給与所得者の場合は...」という部分は無視して構いません。

納税者本人の合計所得金額と配偶者控除額

確定申告をする本人の合計所得金額控除額
1,000万円超
給与所得者の場合は1,220万円超
控除なし
950万円超〜1,000万円以下
給与所得者の場合は1,170万円超〜1,220万円以下
13万円
900万円超〜950万円以下
給与所得者の場合は1,120万円超〜1,170万円以下
26万円
900万円以下
給与所得者の場合は1,120万円以下
38万円

個人事業主の場合、合計所得が900万円以下の場合には満額の38万円が適用されます。
(収入 − 経費 = 所得)

たとえば「私の所得は500万円くらいだよ」という家庭には、今回の改正は関係しません。 個人事業主で所得900万円超えを達成するのは難しいことなので、多くの家庭にとっては安心の改正と言えます。

ちなみに、控除対象の配偶者が老人(その年の12月31日時点で70歳以上)の場合は、控除額が少し多くなります。 この場合は「控除なし、16万円、32万円、48万円」の4段階となります。

>> 基礎控除と青色申告特別控除の改正【2020年分から】
>> 扶養控除について
>> 個人事業主の所得控除一覧へ