給与所得とは?給与所得控除・特定支出控除の計算方法など

給与所得とは

給与所得とは?

会社員やアルバイトスタッフが、勤務先から受ける給与や賞与などを給与収入といいます。給与収入(税引き前)から、給与所得控除の額を差し引いたものを「給与所得」といいます。

給与所得にふくまれるもの

給与所得にふくまれるものには、現金支給以外に現物支給のものがあります。 勤務先から受ける以下のようなケースについても、給与所得となります。

  • 商品を無償、または実際よりも低い金額でゆずり受けた場合
  • 土地や建物を無償、または低い金額で借りた場合
  • 金銭を無利息、または低い利息で借りた場合

給与所得控除

給与所得控除とは「会社員にとっての必要経費を概算で定めたもの」です。年収によって給与所得控除として控除される金額が異なります。

収入金額と給与所得控除額(平成29年分〜令和元年分)

収入金額給与所得控除額
1,000万円超220万円(上限)
660万円 〜 1,000万円収入金額 × 10% + 120万円
360万円 〜 660万円収入金額 × 20% + 54万円
180万円 〜 360万円収入金額 × 30% + 18万円
180万円以下収入金額 × 40%
65万円に満たない場合は、65万円

「〜」は「超〜以下」

例えば、年収300万円の人の場合、300万円 × 30% + 18万円 = 108万円
上記の計算で、給与所得控除額は108万円だということが分かります。
300万円 − 108万円 = 192万円
よって、給与所得は192万円になります。

特定支出控除

2012年の税制改正で、会社員に認められている経費(給与所得控除)について拡大措置がとられました。これまで認められなかった資格取得費や転居費など、職務に関連する経費の控除ができるようになりました。ただし、基準となるのは、「給与所得控除額」の1/2の金額です。1/2を超えた金額を控除できます。

特定支出控除として認められる経費は、以下の通りです。

  • 通勤のための支出で通常必要であると認められるもの(通勤費)
  • 転勤に必要な支出(転居費)
  • 仕事に直接必要な知識や技術を得るための支出(研修費)
  • 仕事に直接必要な資格を得るための支出(資格取得費)
  • 単身赴任などで勤務地と自宅を行き来するために必要な帰宅旅費(帰宅旅費)
  • 下記の費用のうち65万円までの額で、勤務先が認めた支出(勤務必要経費)
    職務に関連する書籍などの図書費、制服や作業着の衣服費、交際費など

例えば、収入が400万円の会社員で、特定支出額が80万円だった場合。

400万円の給与所得控除額は、
400万円 × 20% + 54万円 = 134万円

特定支出控除が認められるのは、給与控除額の1/2なので、
134万円 × 1/2 = 67万円(控除の基準となる額)

67万円を上回った部分が所得控除されるので、
80万円 – 67万円 = 13万円

なので、この場合は13万円を特別支出控除として控除できます。

特定支出控除は確定申告が必要

特定支出控除を受けるには、確定申告が必要です。申告の際には、勤務先からの「特定支出証明書」を提出しなければなりません。控除の対象となる領収書などをきちんと保管しておき、勤務先に証明書を発行してもらいましょう。 特定支出控除の証明書フォーマットはこちら

給与所得者の年末調整について

給与所得者は、基本的には勤務先で年末調整を行うため、確定申告の必要はありません。ただし、給与所得者でも確定申告をしなければならない人、確定申告をした方がいい人がいます。前述の特定支出控除などを適用したい場合は、確定申告をしなければなりません。 >> 給与所得者の確定申告について

年末調整とは、毎月の給与から差し引かれている所得税を年末に精算することをいいます。所得税は1年間の所得を対象にして確定します。その際に、各家庭の状況に応じて所得控除を受けることができます。

所得控除を受けるためには、年末近くになると勤務先から配布される下記の書類に、必要事項を記入して提出する必要があります。

  • 扶養控除(異動)申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書

年末調整で控除されるもの

年末調整では、14種類ある所得控除の内、雑損控除、医療費控除、寄付金控除を除いた11種類について控除の申告ができます。 14種類の所得控除についてはこちら

住宅借入金特別控除(住宅ローン控除)について

住宅借入金特別控除とは、居住するための住宅を新築したり増改築したときに、金融機関から借り入れたローン返済について一定の控除をする特例制度のことです。これは14種類の所得控除とは位置づけが異なる控除です。

住宅ローンの控除を受ける場合、2年目からは年末調整で受けることができますが、1年目は確定申告が必要になります。確定申告をすると、税務署から「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金特別控除申告書」が送られてきます。

また、借入した金融機関から「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」が送られてきます。これら2つの書類を勤務先に提出することにより、2年目から通常の年末調整で住宅ローンの控除が受けられるようになります。

まとめ

給与所得は、給与所得控除という名目で、収入に応じた一定額が控除されます。また特別支出控除制度が誕生し、単身赴任者が赴任先から自宅を往復する場合の交通費なども、控除の対象になりました。ただし、特別支出控除は「給与支払者が必要と認めたもの」という前提があるので、勤務先からの証明書の提出が不可欠です。

また、給与所得者であれば、毎年必ず経験する年末調整ですが、年末調整で控除できるものと、できないものがあります。控除できなかったものは、確定申告をしなければなりません。

特に住宅借入金特別控除については、初回は確定申告をしなければなりません。書類をそろえたり、手続きをしたりと、なにかと面倒なことがありますが、2年目からは年末調整での控除が、可能になります。住宅借入金特別控除は、一定の条件を満たせば減税という恩恵を受けることができるので、忘れずに利用しましょう。

>> 個人事業の帳簿付けに関する情報まとめ
>> 個人事業用の会計ソフト一覧