配当所得とは?確定申告の必要性・3つの課税方法

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更新日 2021年2月15日

配当所得とは

配当所得とは?

配当所得とは、株主や出資者が法人から受ける利益の配当などのことです。 身近な例では「株の配当金」がこれにあたります。会社が利益を出した時に、株主へ還元するお金が配当金です。

配当所得の具体例

  • 上場株式の配当金
  • 非上場株式の配当金
  • 株式投資信託の分配金

多くの人にとって身近なのは、上場株式の配当金や投資信託の分配金ではないでしょうか。 本記事では、主に上場株式の配当金に焦点をあて、配当所得の説明を進めていきます。

確定申告の必要性について

上場株の配当金は、あらかじめ税金が差し引かれた上で支払われます。 基本的には、受け取るときにあらかじめ20.315%が源泉徴収されています。

源泉徴収の内訳
所得税と復興特別所得税(15.315%) + 住民税(5%)= 20.315%

証券会社で口座を開設する際に「特定口座(源泉徴収あり)」や「特定口座(源泉徴収なし)」の選択肢がありますが、 あれは株式の売買益に関することで、配当金はどちらを選んでも源泉徴収されます。

配当所得の課税について

配当金は源泉徴収された上で受け取るので、その他の理由で確定申告の義務がなければ、確定申告をする必要はありません(確定申告不要制度)。

ただ、一定の条件を満たすと確定申告をした方がいい場合もあります。 配当所得に関する3つの選択肢について、ざっくり一言でいうと下記のようになります。

  • 確定申告不要制度 → 確定申告の必要がなくラクチン
  • 総合課税 → 確定申告の必要があるが、総所得が低い人は税金面で得をする
  • 申告分離課税 → 確定申告の必要があるが、株の譲渡損と損益通算できる

配当所得を総合課税で申告する場合、その他の所得(事業所得や給与所得など)と合算した上で、所得税額を算出します。 申告分離課税で申告する場合は、上場株式の譲渡損失と損益通算できます(詳細は後述)。

総合課税を選ぶメリット

総合課税を選んだ場合、配当所得とその他の所得を合算し、所得税に「累進税率」が適用されます。この場合だけ「配当控除」を適用できます。

配当控除とは?
配当控除は「総合課税」を選択した場合にだけ受けられる税額控除。 控除額は、配当所得以外の所得との合計額によって異なる。

もし確定申告をしなければ、配当所得の20.315%が源泉徴収されたままになります。しかし総所得金額が低い場合、税率が20.315%よりも低くなります。さらに配当控除も適用できますから、総合課税で申告したほうが得になります。

総合課税を選択するメリット

  • 所得税で累進課税が適用される(課税総所得が低いと有利)
  • 配当控除を適用できる(外国株については配当控除ではなく、外国税額控除)
  • 借入金利子の控除ができる
    (ここでいう借入金利子とは、株を買うために借金した場合の利子のこと)

申告分離課税を選ぶメリット

その年に株式の売買で損失が出たら「申告分離課税」での確定申告を検討しましょう。申告分離課税の税率は、源泉徴収の税率と同様「20.315%」です。

例えば、株の配当金で50万円を受け取り、株の売買で30万円の損失があった場合、利益の50万円から30万円の損失を引くことができます(損益通算)。 このように損益を通算することによって、差益のみに課税されるという点が、申告分離課税のメリットです。

また、損益通算をして損失の方が大きくなれば、マイナス分を3年間繰り越すことができます。

申告分離課税を選択するメリット

  • 株の譲渡損を配当金と損益通算できる
  • 借入金利子の控除ができる

まとめ

上場株式の配当金は、源泉徴収されて支払われるので、これについて確定申告をする必要はありません。 ただし、課税総所得が低い場合には「総合課税」で確定申告したほうが税金面で有利になります。

上場株式の配当金について

確定申告不要制度総合課税申告分離課税
確定申告不要必要必要
配当控除なしありなし
借入金利子の控除なしありあり
売却損との損益通算不可不可可能

株式の売買で損失が出た場合は「申告分離課税」で確定申告することで、その損失と配当金を損益通算することができます。

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