総合課税の所得について

総合課税の所得

総合課税の対象になる所得一覧

所得税の課税方法には、大きく分けて総合課税と分離課税があります。 総合課税とは、対象となる所得を合計して所得税の金額を算出する課税方法のことをいいます。 総合課税の対象となる所得は、以下の通りです。

総合課税の対象になる所得

分離課税の所得は、他の所得と合算をせず、分離して税金を計算します。 上記のように、原則的に総合課税の対象になる所得であっても、その一部は分離課税の対象になっていることがあります。 所得によっては、原則的には総合課税とされていながらも、実質的にそのほとんどが分離課税の対象であったりします。

所得の中でも「退職所得」と「山林所得」は、その全てが分離課税の対象です。 上記8つの所得とは切り離し、異なった計算方法で所得を算出することになっています。

分離課税について

分離課税には、申告分離課税と源泉分離課税があります。 どちらも、総合課税の対象となる所得と切り離して税金を考える点では同じです。

申告分離課税

申告分離課税とは?
申告分離課税の対象になる所得は、他の所得金額と合計せず、分離して独自に税額を計算する。 そして、確定申告によりその税額を納めることとなる。

源泉分離課税

源泉分離課税とは?
源泉分離課税の対象になる所得は、申告分離課税と同じように、他の所得とは全く分けて考える。 所得を支払う者(発注者)が、その所得の支払いの際に一定の税率で所得税を源泉徴収し、それだけで所得税の納税が完結するというもの。

この2つの言葉は、個別の所得について考える上で避けて通れないので、 それぞれの意味を理解しておきましょう。

>> 分離課税に関する詳細はこちら

利子所得 - ほとんどは源泉分離課税

利子所得とは、預金や公社債の利子などのことを差します。利子所得は、所得税法上は総合課税となっていますが、そのほとんどは源泉分離課税の対象になっています。 つまり、基本的にはその支払いを受ける際にあらかじめ税金が源泉徴収され、納税が完結しています。

多くの個人事業主に関係するのは、銀行口座につく利息です。 銀行などの預金にかかる利息は「源泉分離課税の対象になる利子所得」です。 あらかじめ20.315%の税金が差し引かれた金額が、口座に振り込まれています。

銀行口座にお金を預けていると、たまに利息がつきますね。 この利息は税金が差し引かれたものが振り込まれるので、 雑収入などとして帳簿づけすると、二重で税金がとられてしまいます。 そうならないよう「事業主借」の勘定科目で仕訳をします。

>> 預金利息の仕訳に関する詳細

配当所得 - 確定申告不要制度や申告分離課税を選択できる

配当所得に当てはまる主なものは、株の配当や、投資信託の分配金などです。配当所得も、所得税法上では原則的に総合課税です。しかし、一定の要件を満たせば、確定申告不要制度か申告分離課税を選ぶことができます。

確定申告不要制度を選択した場合

これは「株の配当などによる収入は源泉徴収されているので、申告はしなくてもよい」という制度です。対象となるのは、以下の場合です。

  • 上場株式の配当金などを受け取る場合 (持ち株割合が3%以上の大株主を除く)
  • 非上場株式の配当金が年間10万円以下の場合

申告分離課税を選択した場合

上場株式などの配当金については、総合課税か申告分離課税を選ぶことができます。申告分離課税を選択した場合は、総合課税から除外されます。申告分離課税を選択した場合は、株や株式投信の損失と、上場株式等の配当を損益通算できます。

不動産所得

不動産所得とは、土地や建物などの貸し付けによる所得のことです。不動産所得は、その全てが総合課税の対象になります。

不動産所得に該当するもの

  • 土地や建物などの不動産の貸付け
  • 地上権など、不動産の上にある権利の設定や貸付け
  • 船舶や航空機の貸付け

事業所得・譲渡所得に該当するものを除く

例えば、マンションの一室を購入して、その部屋を貸して家賃収入を得ている場合。これが不動産所得に該当します。

事業所得 - 基本的に総合課税

事業所得とは、事業から生まれる利益のことです。多くの個人事業主にとってメインとなる所得は、この事業所得です。事業所得のほとんどは、総合課税の対象です。ただし、事業所得のうち「株式などの譲渡に関わる所得」については、「申告分離課税」の対象になります。

株式などの譲渡に関わる所得は、譲渡所得・事業所得・雑所得の3つに区分されます。 「株式などの譲渡が、営利を目的として継続的に行われているかどうか」という実質にもとづく判定を原則としつつ、 以下のように簡略化された区分も設けられています。

株式譲渡による所得の区分

  • 上場株式などで、所有期間が1年を超えるものの譲渡による所得 → 譲渡所得
  • 信用取引等の方法による上場株式等の譲渡など、所有期間1年以下の上場株式などの譲渡による所得 → 事業所得 or 雑所得

給与所得

給与所得とは、勤務先から受け取る給料や賞与などの所得のことです。会社員やパート・アルバイトで働いている人が、勤め先から頂く給料が、給与所得です。給与所得は、その全てが総合課税の対象です。

先述の通り、不動産所得も、その全てが総合課税の対象です。ですので、例えば会社勤めをしている人が、アパートの一室を賃貸に出して不動産所得を得ている場合は、会社からもらっている給与所得と不動産所得を足して合計所得を考える必要があります。

譲渡所得 - 総合課税と申告分離課税

譲渡所得とは、一定の資産を譲渡することによって生じる所得のことを指します。 譲渡所得には、総合課税になるものと申告分離課税になるものがあります。

譲渡所得の中で、総合課税になるものと、申告分離課税になるものの一例は下記の通りです。

譲渡所得の課税について

総合課税の対象申告分離課税の対象
  • 金(ゴールド)、宝石
  • 書画、骨董、美術品
  • 船舶、機械器具
  • ゴルフ会員権
  • 特許権、著作権
  • 鉱業権、漁業権
  • 土地、建物、借地権
  • 株式、特定の公社債

事業用の商品などの棚卸資産や、山林などの譲渡による所得は、譲渡所得にはなりません。

一時所得 - 基本的に総合課税

一時所得とは、懸賞の賞金や競馬の払い戻し金、生命保険の一時金などの所得を指します。これらの一時所得は、基本的に総合課税の対象です。ただし、下記のものは「源泉分離課税」の対象になっています。

源泉分離課税の対象になる一時所得

  • 懸賞つき預貯金などの懸賞金
    (「懸賞つき預貯金」とは、お金を預けておくと抽選で懸賞金が当たる定期預金のこと)
  • 一時払い養老保険や一時払い損害保険などで、一定の要件を満たすものの差益
    (「一時払い」とは、月払いなどではなく、加入時に全ての保険料を一括で払うこと)

雑所得 - 基本的に総合課税

雑所得とは、他の9種類の所得に当たらない所得のことで、 公的年金、知人などに貸したお金の利子、副業の印税などがこれに当たります。 雑所得は基本的に総合課税の対象です。 ただし、所得の内容によって、総合課税・源泉分離課税・申告分離課税の対象に分けられます。

源泉分離課税の対象になる雑所得の例

  • 金貯蓄口座の利益、定期積金などの給付補てん金
    (「金貯蓄口座」とは、ゴールドを貯蓄する口座のこと。「定期積金」とは、信用金庫などで取り扱われている積立型の金融商品。 「給付補てん金」とは、預金でいうところの利息のようなもの)
  • 予約レートを設定している場合の外貨預金の為替差益
    (「為替差益」とは、円高・円安など為替相場の変動による利益)

申告分離課税の対象になる雑所得の例

  • 先物取引やFXの利益
    (「先物取引」とは、価値の変動リスクがある商品などの将来の売買について、 あらかじめ現時点で価格を決めておいて売買の約束をしておく取引のこと。 「FX」とは、外国通貨の売買による差益を目的とした金融商品のこと)
  • 株式などの譲渡に関わる所得
    上述の通り、「株式などの譲渡に関わる所得」は、取引の実質にもとづいて、譲渡所得・事業所得・雑所得の3つに区分される)

総合課税と分離課税

総合課税では、対象となる所得の合計から、所得控除を差し引いた金額が「課税対象の所得金額」になります。この「課税対象の所得金額」に応じた税率をかけて、納付する所得税額を算出していく形になります。>> 所得税の計算方法について

10種類の所得を、ざっくりと総合課税と分離課税に分けると、下記の通りです。

所得の種類課税方法
利子所得原則的には源泉分離課税
配当所得原則的に総合課税だが、確定申告不要制度か申告分離課税を選択可
不動産所得総合課税
事業所得一部を除いて総合課税
給与所得総合課税
退職所得申告分離課税
山林所得申告分離課税
譲渡所得総合課税 or 申告分離課税
一時所得一部を除いて総合課税
雑所得総合課税 or 源泉分離課税 or 申告分離課税

本記事で見てきた通り、同じ種類の所得でも「源泉分離課税」の対象になるものや「申告分離課税」の対象になるものがあります。 分離課税の所得は、総合課税の所得のように合算をしません。文字通り、総合課税の所得とは切り離して計算をし、独自に税金を算出します。

>> 分離課税の詳細 - 源泉分離課税と申告分離課税
>> 10種類の所得をざっくりと理解する