退職所得とは? 退職所得とは? - 退職所得に含まれるもの 退職所得の計算方法 - 退職所得控除の計算例 退職所得にかかる税金の計算例 退職所得を確定申告した方が良い場合 まとめ 退職所得とは? - 退職所得に含まれるもの 退職所得とは、一般的に会社を辞める際に受け取る退職金のことをいいます。退職金そのもの以外にも、退職したことにより支払われる様々な一時金も、退職所得に含まれます。 退職所得になるもの 退職により、勤務先から受け取る退職金 退職により支払われる社会保険制度による一時金 退職年金契約に基づいて、生命保険会社や信託会社から受け取る退職一時金 解雇予告による手当や、退職者が弁済を受ける未払賃金 退職所得の計算方法 - 退職所得控除の計算例 退職所得は以下の計算式で算出します。 退職所得の計算方法 (収入金額 − 退職所得控除)× 1/2 = 退職所得 収入金額 退職所得は、受け取る際に源泉徴収されています。 この場合の「収入金額」は、税引き前の額面です。(手取り額 + 税金 = 収入金額) 退職所得控除 退職所得控除は、勤続年数によって区分され、以下のように算出します。 勤続年数退職所得控除額 20年以下40万円 × 勤続年数 (計算結果が80万円に満たない場合には、80万円) 20年超800万円 + 70万円 × (勤続年数 – 20年) 例えば、勤続15年の場合は、40万円 × 15年 = 600万円 この場合、600万円が退職所得控除額となります。 勤続25年の場合には、800万円 + 70万円 × (25年 – 20年) = 1,150万円 この場合は、1,150万円が退職所得控除額となります。 退職所得にかかる税金の計算例 退職所得は、基本的に他の所得と分けて計算する申告分離課税の対象です。 確定申告の必要性について 会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合は、会社が所得税額などを計算し、差し引かれた金額が支給されるため、確定申告の必要はありません。「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合は、確定申告をして、所得税の精算をする必要があります。 「退職所得の受給に関する申告書」とは? 「退職所得の受給に関する申告書」とは、支給されたものが確かに「退職金」であると証明するための書類です。 退職金は、退職所得控除や退職所得の計算方法などによって通常の給与などに比べると税務上、優遇されています。 申告書は、税金を軽減するために不可欠なものなので、必ず提出しましょう。 ちなみに「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった場合には、 収入額に対して20.42%が源泉徴収されてしまいます。 国税庁ウェブサイト - 退職所得の受給に関する申告 退職金にかかる所得税の計算例 前述した計算方法によって算出された「退職所得」に対して、所得税が課税されます。 所得税率についてはこちら 例えば、勤続30年で退職金が2,500万円だった場合、 まず、退職所得控除額を計算します。 800万円 + 70万円 × (30年 – 20年) = 1,500万円 この場合の退職所得額は、500万円です。 (2,500万円 – 1,500万円) × 1/2 = 500万円 500万円の所得税率は20%、課税控除額は427,500円なので、 500万円 × 20% - 427,500円 = 572,500円 これに、復興特別所得税の2.1%を引くと、 572,500円 – (572,500円 × 2.1%) = 560,478円 退職金2,500万円に対する所得税額は、560,478円ということになります。 退職金にかかる住民税 給与所得などの場合、住民税は前年の所得に対して課税をする「前年課税」が原則です。 しかし、退職金は支払いの際に「住民税」も差し引かれています。 ですから、翌年に退職金にかかる住民税の納付はありません。 住民税は、一律下記の計算式で算出されます。 退職所得にかかる住民税 退職所得 × 10% (市町村税6% + 都道府県民税4%) 先ほどの例でいうと、退職所得が500万円だったので、 500万円 × 10% = 50万円が住民税となります。 退職金の手取り金額 退職金の手取り金額 退職金の手取り金額 収入金額 – (所得税 + 住民税) = 退職金の手取り金額 先ほどの例でいうと、 2,500万円 – (560,478円 + 500,000円) = 23,939,522円が手取り金額になります。 退職所得を確定申告した方がいい場合 「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合でも、確定申告をした方がいい場合があります。 年の途中で退職した場合 退職した年の所得が少ない場合や、退職後に再就職をしていない場合は、 所得控除が、その年の所得から控除できないことがあります。 確定申告をすることによって、源泉徴収された税金が戻ってくる場合があります。 他の所得で赤字があった場合 退職後に事業を始めたり、不動産収入などがある場合、 それらの所得に赤字が出れば、退職所得と損益通算ができます。 ただし、まずは不動産所得や事業所得の赤字を給与所得などで損益通算しなければなりません。 その上で赤字が残った場合に、退職所得との通算ができます。 まとめ 退職金は「会社を定年まで勤め上げた人の退職後の生活資金である」という考え方が基本になっています。 そのため、退職所得控除などの特例により、なるべく税金を軽減する措置がとられています。 税金の特例を受けるためにも、退職をする際には必ず「退職所得の受給に関する申告書」を提出しましょう。 また、退職金は申告分離課税です。基本的には、確定申告をする必要はありません。 ただし、その年の所得が少ない人や、他の所得で赤字がある人などは、 確定申告をすることによって納めた税金が戻ってくる場合があります。 >> 10種類の所得について