電子申告のおおまかな流れ - e-Taxの仕組みを把握しておこう
更新日 2023年2月07日
所得税の電子申告とは、端的に言うと“申告データを「e-Tax」へ送信すること”です。ただ、その方法は一つではありません。本記事では、個人事業主が行う電子申告について、おおまかな流れを説明します。
- 電子申告のおおまかな流れ
- ① 確定申告書等作成コーナーでデータを打ち込む場合
- ② 会計ソフトからデータを出力する場合
- 添付書類は郵送で提出する?
- 納付手続きは任意の方法で
- まとめ - 確定申告書等作成コーナーがおすすめ!
電子申告のおおまかな流れ
所得税の電子申告をごく簡単に説明すると、電子申告用のデータを作成して「e-Tax」へ送信するという流れになります。まず、どうやってデータを作成するかによって、全体の流れが大きく変わってきます。
申告データの作成方法は、主に「確定申告書等作成コーナーで打ち込む方法」と「会計ソフトから出力する方法」の2つに分けられます。
なお「e-Tax受付システム」は、オンラインの申告窓口のようなものだと思っておいてください。ここに申告データを送信すれば、電子申告はひとまず完了です。
どの方法で電子申告をするべき?
初心者には、ひとまず「確定申告書等作成コーナー」の利用をおすすめします。データ作成に少し手間がかかりますが、あとはそのまま送信するだけなので、手順が分かりやすいです。なお「ID・パスワード方式」なら、マイナンバーカードは必要ありません。
一方、会計ソフトを使っている場合は、ソフトからそのまま電子申告するのが断然ラクです。ただ、ソフトによって対応状況が異なる場合もあるので注意してください。
>> 個人事業用の会計ソフト一覧
以下では、それぞれの方法について、データ送信までの大まかな流れを説明します。
① 確定申告書等作成コーナーでデータを打ち込む場合
「確定申告書等作成コーナー」とは、国税庁が公開するウェブサイトの名称です。本来は書類作成用のサイトですが、打ち込んだデータをそのままe-Taxへ送信することもできます。
確定申告書等作成コーナーからデータを送信するためには、「マイナンバーカード方式」か「ID・パスワード方式」のどちらかで認証を行う必要があります。
マイナンバーカード方式
マイナンバーカード方式では、マイナンバーカードに内蔵された「電子証明書」を読み取って認証を行います。事前の手続きなどは特に必要ありません。ただ、カードを読み取るための準備が少し面倒なので、初回は手間がかかります。
ID・パスワード方式
ID・パスワード方式では、あらかじめ税務署で発行しておいたID(利用者識別番号)とパスワード(暗証番号)を使って認証を行います。この方法なら、マイナンバーカードがなくても大丈夫です。
ちなみにID・パスワード方式は、マイナンバーカードが普及するまでの暫定的な手段という扱いです。現時点では問題なく選択できますが、いずれはマイナンバーカード方式によるe-Taxの利用が主流になると思われます。
>> ID・パスワード方式とマイナンバーカード方式の違い
② 会計ソフトからデータを出力する場合
会計ソフトから出力した申告データは、「e-Taxソフト」や「e-Taxソフト(WEB版)」を使って送信します。会計ソフトによっては、メーカーが独自に提供するツールでデータを送信することも可能です。
ただし、この方法でデータ送信をするには、マイナンバーカード(電子証明書)の読み取りによる認証が必須になります。電子証明書なしで電子申告ができるのは、確定申告書等作成コーナーを使う場合だけだということです。
インストール型の「e-Taxソフト」は、機能は豊富ですが非常に使いづらいのが欠点です。個人事業主の電子申告なら「e-Taxソフト(WEB版)」や会計ソフト独自の申告ツールの機能で十分なので、基本的にはそれらを利用するのがよいでしょう。
e-Taxソフト | 電子申告や電子申請に関わる様々な機能を使える、Windows向けのインストール型ソフト。 |
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e-Taxソフト (WEB版) | ブラウザ上でe-Taxソフトの機能の一部を使えるソフト。比較的シンプルな操作画面で、取り込んだデータの送信を行える。 |
独自の申告ツール | 弥生の「確定申告e-Taxオンライン」やfreeeの「電子申告アプリ」など。会計ソフトに近い操作画面でデータの送信を行える。 |
ちなみに、インストール型の「e-Taxソフト」では、申告データの作成も可能です。ただ、わざわざ「e-Taxソフト」でデータを作成するメリットはほとんど無いので、本記事では説明を省略しています。
添付書類は郵送で提出する?
電子申告では、控除に関わる証明書の提出を省略できます。ひとまず、確定申告書等作成コーナーを利用する場合について言えば、書類の郵送などが必要になることはほとんどありません。
提出省略の対象になる主な書類
- 社会保険料控除の証明書
- 生命保険料控除の証明書
- 寄附金控除の証明書
- 小規模企業共済等掛金控除の証明書
- 医療費控除の明細書
- セルフメディケーション税制の明細書
ただし、住宅ローン控除に関わる証明書など、一部の書類は提出を省略できません。とはいえ、そのような書類も画像データでの提出が認められています。紙で提出が必須となるのは、割印などが必要なごく一部の書類のみです。
>> 電子申告における添付書類の扱いについて詳しく
納付手続きは任意の方法で
申告データの送信が済んだら、下記いずれかの方法で税金の納付を行いましょう。選べる納付方法は、書面で確定申告をした場合と同様です。電子申告をしたからと言って、必ずしも電子納税する必要はありません。
ダイレクト納付 | 届出をした銀行口座から納付する方法。 事前に専用の届出が必要。指定した日時での振替も可能。 |
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登録方式の電子納税 | インターネットバンキングやATMから納付する方法。 e-Taxで事前登録をし、通達された「納付区分番号」を入力し納付する |
入力方式の電子納税 | インターネットバンキングやATMから納付する方法。 e-Taxで事前登録を行わず「納付目的コード」を調べて入力し納付する |
スマホアプリ納付 | 専用サイトを介してスマホ決済アプリで納付する方法。 PayPay・d払い・au PAYなどが利用可能。 |
クレジットカード納付 | 専用サイトを介してカード払いで納付する方法。 手数料が高く、1万円ごとに税込83円かかる。 |
コンビニ納付 | コンビニのレジで専用の納付書を使って納付する方法。
納付額が30万円以下の際に利用可能(納付書1枚につき)。 |
振替納税 | 所定の振替日に口座振替で納付する方法。 例年、所得税の振替日は4月中旬。 |
窓口納付 | 税務署や銀行で納付書を使って納付する方法。 納付時に領収証書が発行されるのはこの方法だけ。 |
電子申告をした場合は、「ダイレクト納付」と「登録方式」の手続きが少しだけラクになります。とはいえ、手続きの手間が大きく変わることはありません。慣れた方法があるなら、引き続きその方法を選んでOKです。
>> 国税の納付方法について
まとめ - 確定申告書等作成コーナーがおすすめ!
所得税の電子申告は、作成した申告データを「e-Tax受付システム」へ送信することで完了します。まずは、「確定申告書等作成コーナー」と市販の会計ソフトのどちらでデータを作成するか決めましょう。それに応じて、データ送信の方法が変わってきます。
初心者には、確定申告書等作成コーナーを使う方法がおすすめです。特に「ID・パスワード方式」を利用する場合は、面倒な事前準備がほとんど発生しません。添付書類のほとんどを省略できるというメリットもあります。
会計ソフトを使っている場合は、ソフトからそのまま電子申告ができるか確認しましょう。弥生・freee・マネーフォワードなどの大手クラウド会計ソフトなら、ごく簡単な手順で電子申告ができます。
>> 確定申告書等作成コーナーを使って電子申告する手順
>> 個人事業用の会計ソフト一覧
>> マイナンバーカードの作成方法