青色申告での帳簿づけ - 複式簿記と領収証等の保存

更新日 2021年4月16日

青色申告での帳簿づけ

青色申告をするには、事前に税務署へ「所得税の青色申告承認申請書」を提出しておく必要があります。この詳細については「青色申告とは」の記事をご参照ください。

青色申告の帳簿づけと書類保管について

2020年分の確定申告から、青色申告特別控除の控除額は10万円・55万円・65万円の3段階になりました。10万円と65万円の2段階なのは、2019年分の所得までです。

本記事では、青色申告で55万円・65万円の控除を受けるために必要な帳簿づけなどについて説明します。確定申告書類を作成するまでの会計業務をシンプルにまとめると、下記の通りです。

  1. 発生主義で複式簿記をつける
  2. 帳簿や領収書などを保管しておく

発生主義とは「お金の収入や支出のタイミング」には関係なく、 「収入や支出の事実が発生した時点」の日付で、それらを計上する会計方法のことを指します。

逆に「現金の収入や支出のタイミング」で記録する方法を、現金主義と呼びます。 青色申告で55万円控除・65万円控除を受けるには、現金主義ではなく、発生主義による方法で帳簿づけをする必要があります。 >> 発生主義と現金主義の違い

また「単式簿記」ではなく「複式簿記」で帳簿づけを行う必要があります。 後述の会計ソフトを使えば、自動的に複式簿記による帳簿づけが可能です。 >> 単式簿記と複式簿記の違い

1. 発生主義で複式簿記をつける

青色申告で55万円・65万円の控除を受けるには、主要簿と呼ばれる「仕訳帳」「総勘定元帳」という帳簿を作る必要があります。 「総勘定元帳」は、略して「元帳」とも呼ばれます。

主要簿(仕訳帳・総勘定元帳)

仕訳帳総勘定元帳
すべての取引を日付順に記録した帳簿すべての取引を勘定科目ごとにまとめた帳簿

主要簿のほかには、補助簿と呼ばれる「現金出納帳」「預金出納帳」「売掛帳」などがあります。 補助簿は、主要簿の内容をおぎなう帳簿です。事業内容や取引方法によって、使用する補助簿は異なります。 (例えば、売掛金や買掛金が発生することがなければ、売掛帳や買掛帳を作成する必要はありません。)

帳簿づけの方法(従来の会計ソフト)

では、具体的に何をすればよいのか?まずは、従来の会計ソフトを例に説明します。 会計ソフトを使えば、「仕訳帳」と「総勘定元帳」は最終的に自動で完成するので、 個人事業主がそれらの帳簿に入力する必要はありません。

ユーザーは何をするかというと、先ほどの「補助簿」たちに入力していくわけです。 例えば、事業に関係した預金の出し入れがあれば「預金出納帳」に、 何か事業で使うものを現金で買ったり売ったりしたのなら「現金出納帳」に入力をします。

そうして、補助簿に入力していれば、ソフトが自動で「仕訳帳」や「総勘定元帳」に反映してくれます。 これで「仕訳帳」と「総勘定元帳」は、最終的に自動で出来上がります。

帳簿づけの方法(クラウド型の会計ソフト)

クラウド型の会計ソフトでは、さらに簡単に帳簿づけができます。クラウド型の会計ソフトは会計初心者でも扱いやすく、従来のインストール型からの乗り換えも増え、主流となりつつあります。

クラウド型の会計ソフトとは?
従来の会計ソフトは「インストール型」で、パソコンにインストールして使うタイプ。 新しい「クラウド型」は、ネットから自分のアカウントでログインして使用するタイプ。 パソコンだけでなく、スマホやタブレット端末からも利用できる。
>> クラウド型とインストール型の違いをもっと詳しく

クラウド型会計ソフトでは、ユーザーは入力する補助簿を選ぶ必要すらありません。メインの入力画面に必要事項を入力すれば、必要な帳簿が自動作成されます。ここに入力すれば、補助簿だけでなく、主要簿である仕訳帳と総勘定元帳も自動で出来上がります。

やよいの青色申告オンラインの取引入力画面

>> やよいの青色申告 オンライン

ちなみに、会計ソフトを使わず手書きで記帳していく場合には、「仕訳帳」に記入し、「仕訳帳」の結果を「総勘定元帳」に転記します。 また、必要に応じて補助簿への記帳を行います。

帳簿に書き込む方法は非常に面倒ですし、十分な簿記の知識も必要なので、手書きによる帳簿づけは全くおすすめできません。 帳簿づけは、会計ソフトを使えばかなり簡単になります。会計初心者の方には特に、青色申告に対応した会計ソフトの利用をおすすめします。

>> 青色申告対応の会計ソフト

2. 帳簿や領収書などを保管しておく

作成した帳簿は、原則的には紙の形で保管しておく必要があります。 とはいえ、全てをプリントアウトしておくのは大変なので、少なくとも主要簿である仕訳帳と総勘定元帳は、プリントアウトして保管しておきましょう。帳簿や決算関係の書類は、7年間保存しておく義務があります。

帳簿・書類の保存期間(青色申告)

帳簿・書類 保存期間
帳簿 (仕訳帳や総勘定元帳など) 7年
決算関係書類 (貸借対照表、損益計算書、棚卸表など)
現金預金取引等の関係書類 (領収書、請求書、預金通帳など)
※前々年分の所得が300万円以下の場合は5年
その他の書類 (見積書、注文書、納品書など)5年

なお、個人事業の場合は、事業主個人の口座と事業の口座をひとまとめにしていてもOKです。 つまり、ひとつの口座を事業用とプライベートで混同しても問題はありません。 (問題はありませんが、個人用口座と事業用口座は、分けておいたほうが何かとラクにはなります。)

65万円控除をねらうには - 電子申告 or 電子帳簿保存

2020年分の確定申告から、65万円の青色申告特別控除に新たな要件が加わりました。65万円控除を受けるには、従来の要件を満たした上で「e-Taxによる電子申告」か「主要簿の電子帳簿保存」のどちらかを行う必要があります。

青色申告特別控除の改正点

おすすめは「電子申告」です。「電子帳簿保存」は厳しいルールが定められており、手間がかかります。単に会計ソフトで帳簿を作成しそれを保存しているだけでは、電子帳簿保存の要件を満たしません。 >> 電子申告のおおまかな流れ

e-Tax(イータックス)とは
e-Taxとは、インターネットを介して国税に関わる手続きを行うシステム。国税庁が運営しており、手続きをすれば誰でも利用できる。e-Taxを利用してネットで申告(電子申告)を行えば、青色申告特別控除の新要件をクリアしたことになる。

ちなみに、白色申告や10万円の青色申告特別控除については、これまでと変わりありません。
>> 青色申告特別控除の改正をもっと詳しく【2020年分の確定申告から】

まとめ - 時系列で見てみよう

個人事業は、1月が会計期間の始まりで、12月を会計期間の終わり(決算月)にするのが原則です。 1月1日~12月31日の間は、売上や経費をできるだけこまめに会計ソフトへ記録しながら過ごしましょう。

年末までちゃんと帳簿づけをしていれば、確定申告書類の作成に必要なデータが整います。 「帳簿づけをこまめに行っていなかったヨ」という方は、溜まってしまった証憑書類(領収書や請求書など)をもとに、会計ソフトへ売上や経費の入力を行いましょう。

個人事業の会計期間と確定申告期間

翌年の1月~2月の間に、確定申告で提出する書類を準備しておきましょう。 そして、2月中旬~3月中旬の確定申告期間中に、管轄の税務署へ確定申告書類を提出します。

書類の準備といっても、きちんとソフトに帳簿づけしていれば、その結果をもとに確定申告書類の大部分を自動作成してくれます。 それをプリンターで印刷するか、書類に書き写して提出すればOKです。

2021年(令和3年)の確定申告期間は、2月16日(火)~4月15日(木)でした(新型コロナの影響で期間が延長された)。 提出が遅れると、期限後申告として納める税金を加算される等の罰則があります。 何をどう提出するかについては「確定申告で提出する必要書類」を参考にしてください。

>> 青色申告対応でおすすめの会計ソフト一覧
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>> 個人事業の青色申告に関する情報まとめ