青色申告特別控除の改正点【2020年分の確定申告から】
更新日 2024年8月01日
2020年分(令和2年分)の確定申告から適用が開始された「青色申告特別控除」の改正点についてまとめました。この改正によって、65万円の控除に新たな要件が加わりました。改正後も65万円控除を狙うなら「e-Taxによる電子申告」を行うのがオススメです。
- 65万円控除に加わった新要件
- 控除額ごとの要件 - 10万・55万・65万
- 65万円円控除の新要件① - e-Taxによる電子申告
- 65万円円控除の新要件② - 電子帳簿保存
- まとめ - 改正後の申告で行うこと
65万円控除に加わった新要件
2020年分の確定申告(申告期間は2021年2月16日~4月15日)から、青色申告特別控除で65万円控除を受けるための要件が変更されました。この年分以降、従来の要件を満たすだけでは、55万円の控除しか受けられません。
青色申告特別控除の控除額は、上図のような3パターンになります。65万円の控除を受けるには、従来の要件をクリアした上で「e-Taxによる電子申告」か「電子帳簿保存」のどちらかを行う必要があります。なお、10万円の控除については、変更ありません。
基礎控除も改正される
同じく2020年分の確定申告から「基礎控除」の改正も適用され、控除額が従来の38万円から48万円に増額されました(合計所得が2,400万円以下の場合)。つまり、青色申告特別控除の65万円と合わせれば、納税者にとってはこれまでよりもおトクになるということです。
控除額ごとの要件 - 10万・55万・65万の比較
10万円・55万円・65万円控除、それぞれの主な要件をまとめると下表のようになります。 そもそも青色申告するには、定められた期限内に申請を出す必要があるので、初めての方はその点にも留意して下さい。
主な要件と控除額の比較表
「e-Taxが面倒だから55万円の控除でいいですわ」という個人事業主でも、基礎控除の増額分と合わせれば、この2つのトータルの控除額はこれまでと変わりません。また、これまで青色申告で10万円の控除を受けてきた人は、そのままでも基礎控除の増額分で少しおトクになります。
基礎控除には所得要件が加わりますが、これは合計所得が2,400万円を超える人だけが対象なので、多くの人は改正適用後に満額の48万円控除を受けられます。
65万控除の新要件① - e-Taxによる電子申告
従来の要件をクリアした上で「e-Taxによる電子申告」か「電子帳簿保存」を行えば、改正後も65万円の青色申告特別控除を受けられます。「e-Taxによる電子申告」は「電子帳簿保存」よりも手間が少ないので、65万円控除を狙うならこちらの方法が断然おすすめです。
- e-Tax(イータックス)とは
- e-Taxとは、インターネットを介して国税に関わる手続きを行うシステム。国税庁が運営しており、手続きをすれば誰でも利用できる。e-Taxを利用してネットで申告(電子申告)を行えば、新要件をクリアできるということ。
電子申告の流れは、下記のページにまとめています。
>> 電子申告のおおまかな流れ
65万控除の新要件② - 電子帳簿保存
もうひとつの方法が「電子帳簿保存」です。電子帳簿保存には厳しいルールが定められており、準備に手間がかかるのでこちらはおすすめできません。
- 電子帳簿保存とは
- 電子帳簿保存とは、一定のルールに従って、帳簿などの書類をデータとして保存しておくこと。電子帳簿保存を行う際には「真実性」と「可視性」の確保が義務付けられ、データの改ざんができないような特定の機能を備えたシステムを利用する必要がある。 電子帳簿保存法の要件まとめ - 自営百科
65万円控除の要件になっているのは「仕訳帳と総勘定元帳の電子帳簿保存」ですが、現状、この機能を備えている会計ソフトが多くありません。「会計ソフトならデータが残るから電子帳簿保存できている」というわけではないので注意しましょう。
>> 電子帳簿保存がまだまだ個人事業主におすすめできない理由 - 自営百科
まとめ - 改正後の申告で行うこと
2020年分(令和2年分)の確定申告から、青色申告特別控除が改正され、65万円控除に新たな要件が加わりました。これ以降、従来の要件を満たすだけでは、控除額が55万円になってしまいます。なお、10万円の控除に関しての変更はありません。
65万円控除の新要件
65万円の控除を受けるためには、従来の要件をクリアした上で「e-Taxによる電子申告」か「電子帳簿保存」を行わなくてはなりません。「電子帳簿保存」には厳しいルールがあるので、65万円控除を狙うならひとまず「e-Taxでの電子申告」がオススメです。
2020年分の確定申告からは「基礎控除」も同時に改正されました。この改正により、ほとんどの人は基礎控除額が10万円増え、48万円控除になります。
>> 基礎控除の改正に関する詳細はこちら
>> 青色申告用の会計ソフト一覧はこちら
>> 電子申告のおおまかな流れ
>> 所得控除の一覧表