基礎控除と青色申告特別控除の改正 - 2020年分から

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更新日 2021年4月16日

基礎控除と青色申告特別控除の改正

2020年分(令和2年分)の確定申告から、控除の金額などについて大きな改正がありました。この改正で、基礎控除は38万円から48万円に増額され、所得制限が加わっています。青色申告特別控除には新しい要件が追加され、電子申告か電子帳簿保存をしないと、65万円控除を受けられません。

2つの主な改正点 - 2020年分(令和2年分)以降

2020年分の確定申告(つまり2021年の2月16日~4月15日に行う確定申告)から、主に以下の2点が変更されました。

  • 基礎控除の額が、従来の38万円から48万円に増額され、所得要件が加わった
  • 65万円の青色申告特別控除を受けるための要件に、新たな項目が追加された

青色申告特別控除65万円の新しい要件を満たさなかった場合、従来の要件をクリアしていても特別控除の額は55万円となります。逆に、基礎控除と青色申告特別控除のどちらも新しい要件をクリアできた場合は、従来と比べて合計で10万円多く控除を受けられます。


基礎控除と青色申告特別控除の改正


基礎控除と青色申告特別控除、それぞれの変更点に関して、以下で詳しく説明します。

基礎控除の変更点

2020年分の確定申告から、所得税の基礎控除が従来の38万円から48万円に増額されました。それと同時に、今まではなかった所得要件が追加されています。従来、基礎控除は全員一律で38万円を控除できました。しかし、改正後は、所得の多い人が不利になっています。

  1. 控除額の変更(一律38万円 → 最高48万円)
  2. 所得要件の追加(合計所得2,400万円超から減額・合計所得2,500万円超の人はゼロに)

1. 基礎控除額の変更

改正前改正後
一律38万円最高48万円

改正後、大半の人には48万円の基礎控除が適用されます。しかし、年間の合計所得が2,400万円を超える人については、下表の通り、基礎控除額が減る仕組みになっています。

2. 所得要件の追加

合計所得金額基礎控除額
2,500万円超0円
2,450万円超 ~ 2,500万円以下16万円
2,400万円超 ~ 2,450万円以下32万円
大半の人はここに当てはまる→ 2,400万円以下48万円

2020年分の確定申告(つまり2021年2月16日〜4月15日に行う確定申告)から「大半の人は基礎控除額が48万円に増額されたが、高所得者は基礎控除額が減ってしまった」ということです。

青色申告特別控除の変更点

2020年分の確定申告から、65万円の青色申告特別控除に新しい要件が追加されました。この要件をクリアしなければ、従来の要件を満たしていても、特別控除額は55万円に減ってしまいます。改正後の控除額は、以下のような3種類に分かれます。

青色申告特別控除の変更点

65万円の新しい要件は、「e-Taxによる電子申告」か「主要簿の電子帳簿保存」のいずれかを行うこと。これは、税務手続きの電子化を促進するための改正です。

【改正後】青色申告特別控除65万の主な要件

新しい要件を加えた、改正後の青色申告65万控除の主な要件は、以下のようになります。

青色申告特別控除65万の主な要件

今後、65万円控除を受けるには「電子申告」か「電子帳簿保存」のどちらかを行う必要があるのですが、 後述のとおり、個人事業主へのおすすめは断然「電子申告」です。 電子帳簿保存を行うためのハードルは高く、非常に手間がかかるのでおすすめできません。

>> 電子帳簿保存がまだまだ個人事業主におすすめできない理由 - 自営百科

青色申告特別控除65万の適用を受けるには

2020年分の確定申告以降、青色申告で65万円の特別控除を受けるためには、従来の要件をクリアした上で、以下2つのどちらか片方を行う必要があります。両方をクリアする必要はありません。

  • e-Taxによる電子申告
  • 主要簿(仕訳帳と総勘定元帳)の電子帳簿保存
e-Tax(イータックス)とは?
「e-Tax」とは、国税に関する手続きをインターネット経由で行えるシステム。国税庁が運営している。市販の会計ソフトから取り込んだデータを送信することもできる。
>> e-Taxとは?システムの全体像を把握しておこう

e-Taxによる電子申告を行う際、基本的には「マイナンバーカード」と、それを読み取る「ICカードリーダー」が必要です(マイナンバーカード方式)。ただ、それらがない場合でも、税務署で事前にIDとパスワードを発行してもらえば、電子申告は可能です(ID・パスワード方式)。

e-Taxによる確定申告

電子帳簿保存について

電子帳簿保存法」とは、簡単にいうと「一定要件をクリアすれば、帳簿をデータの状態で保存しておいていいよ」という制度のことです。しかしこの一定要件が厳しく、単純に会計ソフトで出力したファイルをパソコンで保存しておくだけでは、青色申告特別控除における電子帳簿保存の要件を満たせません。

さらに、電子帳簿保存を行うためには、帳簿を作成する3ヶ月前までに申請書を税務署へ提出する必要があります。原則として、年の途中からの適用はできません(ただ、2020年分の帳簿に限っては、2020年9月30日までに申請を出せば可能でした)。

65万円の特別控除を受けるには「電子申告」か「電子帳簿保存」のどちらか片方で構わないのですが、導入までの手間を考えると「電子申告」の方が断然おすすめです。

>> e-Taxで電子申告するおおまかな流れ
>> 青色申告用の会計ソフト一覧
>> 青色申告特別控除の改正をもっと詳しく