確定申告【医療費控除の情報まとめ】やり方や提出期限など
更新日 2024年1月05日
医療費控除とは、納税者、または納税者と生計をともにしている親族のために支払った医療費を、 所得から控除できる制度のことを指します。 簡単に言うと「その年に医療費をたくさん支払うことになってしまった個人や家庭のために、税金を少なくしてあげるよ」という仕組みです。
医療費控除は所得控除のひとつで、 個人事業主・会社員・アルバイト・パートの方などが対象です。
医療費控除の対象範囲
医療費控除の対象は、病院や歯医者にかかった時の診察料・治療費・薬代などです。 ただし、その目的に応じて適用の対象となる場合と、対象にならない場合があります。
たとえば、インフルエンザを治すための診察料・薬代は医療費控除の対象になりますが、 インフルエンザを予防するための予防接種は対象になりません。
基本的には、病状の治療や療養に関するものが対象になり、 病気の予防や健康増進を目的としたものは控除の対象に当てはまりません。 また、治療費が常識的な範囲におさまっていることも要件のひとつです。
医療費控除の対象になる | 医療費控除の対象にならない |
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この表に記載の通り、病院へ通院するための電車賃やバス代は医療費控除の対象となります。 しかし、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車料金は対象外とされています。
このように、細々とした決まりごともありますので、判断が難しいものに関しては税理士や税務署員に相談しましょう。
医療費控除の計算方法
医療控除の計算方法は、1年間の総所得金額が200万円以上か、200万円未満であるかによって異なります。(専業の個人事業主は「収入 − 必要経費 = 所得」)
会社員の場合、会社からもらう「源泉徴収票」を見て自分の所得を確認しましょう。 収入がひとつの会社からだけの会社員であれば「給与所得控除後の金額」が、総所得金額にあたります。
- 総所得が200万円以上の場合の計算式
- 1年間で払った医療費 − 保険金等で補填される金額 − 10万円 = 医療費控除額
- 総所得が200万円未満の場合の計算式
- 1年間で払った医療費 − 保険金等で補填される金額 − 総所得等の5% = 医療費控除額
計算式の中の「保険金等で補填される金額」とは、 支払う医療費を補うために、保険会社から入院給付金等を受け取った場合などの金額です。 >> 保険金等で補填される金額とは?
医療費控除の計算方法については、以下のページで詳しくまとめています。
>> 医療費控除の計算方法と明細書の書き方
医療費控除を受けるために必要な書類
医療費控除を受けるためには、以下の書類を準備しましょう。
書類 | 備考 |
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申告書 | すべての申告者が提出する書類 |
医療費の明細書 | 個別の医療費を記入する書類 >> 医療費の明細書について |
交通費の記録 | 通院に関する交通費の記録(通院のための電車代やバス代) エクセルや手書きで紙にまとめる |
領収書など | 医療費やお薬代を支払った際にもらう領収書や、証明書などを捨てずにとっておく (2017年分から提出は不要になったが、5年間は保管が必要) |
先述の通り、医療費控除では通院のために支払った公共の交通機関(電車やバスなど)の交通費も控除の対象になります。病院へ通った日などが分かれば、その時に支払った交通費の記録も用意しましょう。
医療費控除を適用して税金が還付される場合は、国から還付金を振り込んでもらうことになります。 そのための口座情報を申告書に書くので、もし税務署へ行って申告書を作成する場合は、口座情報の控えか銀行通帳を持参しておくとよいです。
医療費控除の対象期間と申告期限
医療費控除の申告期限については、毎年みずから確定申告を出す個人事業主と、会社員(給与所得者)に切り分けて考える必要があります。
個人事業主の場合
個人事業主の場合は、1月1日~12月31日までの会計結果を、翌年の2月中旬~3月中旬に確定申告します。 この確定申告書の中に医療費控除の記入欄があるので、そこに医療費控除の金額を記入します。 「医療費控除の明細書」に必要事項を記入して、確定申告書と一緒に提出します。
医療費控除のために何か別の確定申告書を作成するわけではありません。確定申告書(第一表)の中の所得控除のひとつが、医療費控除です。ですから該当欄に記入をすればOKです。
「以前に確定申告をしたが医療費控除について記入し忘れていた!」という場合は、その年分の法定申告期限日(原則3月15日)から5年以内なら、改めて医療費控除を申請できます。このような手続きを「更正の請求」といいます。
給与所得者(会社員・アルバイト・パートなど)の場合
給与所得者は「還付申告」をすることで医療費控除が受けられます。 還付申告は、還付のための申告書を提出できる日から5年内であればいつでもOKです。 つまり2023年分の医療費控除をうけるには、2024年1月1日から5年以内、つまり2028年12月31日までに申告すればOKです。
このように、還付申告をできる期間も5年と長いので、 過去に医療費控除を適用しそびれた年があれば、少々遅くなっても還付申告できる可能性があります。
>> 医療費控除の期限・有効期間について
>> セルフメディケーション税制って何?
>> 所得控除の一覧表