確定申告の医療費控除について

医療費控除とは、自分、または自分と生計をともにしている家族のために支払った医療費を、
所得から控除できる制度のことを指します。
簡単に言うと「医療費をたくさん支払うことになってしまった個人や家庭のために、
税金を少なくしてあげるよ」という仕組みです。
自分の医療費だけでなく、生計を共にしている家族の分も医療費控除の対象になります。
医療費控除は所得控除のひとつで、
個人事業主や会社員、アルバイト・パートの方などが対象となります。
医療費控除の必要書類
医療費控除を受けるためには、以下の書類を準備しましょう。
書類 | 備考 |
---|---|
確定申告書 | 確定申告書は税務署に置いてあります。 個人事業主は「確定申告書B」を使います。 会社員やパートの方は、基本的に「確定申告書A」を使います。 >> 確定申告書AとBの違い |
医療費の明細書 | 「医療費の明細書」は税務署に置いてあります。これに個別の医療費を記入していきます。 >> 医療費の明細書について |
交通費の記録 | 通院に関する交通費の記録(通院のための電車代やバス代) |
源泉徴収票 | 給与所得がある方(会社員やアルバイトなど)は会社からもらう源泉徴収票を用意しましょう。個人事業主は必要ありません。 |
領収書など | 医療費やお薬代を支払った際にもらう領収書や、証明書などを捨てずにとっておきましょう。2017年分(平成29年分)の確定申告から、提出の必要はなくなりましたが、5年間保管しておく必要があります |
後述しますが、医療費控除では通院のために支払った公共の交通機関(電車やバスなど)の交通費も控除の対象になります。
出し忘れていた医療費を申告して税金が戻ってくる場合には、
国から還付金を振り込んでもらうための銀行口座も必要です。
税務署へ行って申告書を作成する場合は、印鑑と銀行通帳も持っていくと良いでしょう。
後述の通り、1年間の総所得に応じて計算方法がかわるので、
給与所得者の方は会社からもらえる「源泉徴収票」を用意して所得を確認しましょう。
医療費控除の計算方法
医療控除の計算方法は、
1年間の総所得金額が、200万円以上か200万円未満であるかによって異なります。
(個人事業主の場合は「収入 − 経費 = 所得」)
会社員の方は、会社にもらう源泉徴収票を見て自分の所得を確認しましょう。
源泉徴収票に記載されている「給与所得控除後の金額」が所得となります。
- 総所得が200万円以上の場合の計算式
- 1年間で払った医療費 − 保険金等で補填される金額 − 10万円 = 医療費控除額
- 総所得が200万円未満の場合の計算式
- 1年間で払った医療費 − 保険金等で補填される金額 − 総所得の5% = 医療費控除額
計算式の中の「保険金等で補填される金額」とは、
支払う医療費を補うために、保険会社から入院給付金等を受け取った場合などの金額です。
>> 保険金等で補填される金額とは?
医療費控除の計算と「医療費の明細書」については以下で詳しくまとめています。
>> 医療費控除の計算方法と計算例、医療費の明細書について
医療費控除の対象期間と申告期限について
医療費控除の申告期限については、
毎年確定申告を出す個人事業主と、会社員(給与所得者)に切り分けて考える必要があります。
個人事業主の場合
個人事業主の場合は、1月1日~12月31日までの会計結果を、
翌年の2月中旬~3月中旬に確定申告します。
この確定申告書の中に医療費控除の記入欄があるので、そこに医療費控除の金額を記入します。
「医療費控除の明細書」に必要事項を記入して、確定申告書と一緒に提出します。
医療費控除のために何か別の確定申告書を作成するわけではなく、
「確定申告書B」の中の所得控除のひとつが、医療費控除なのです。
「以前に確定申告は出したが医療費控除について記入し忘れていた!」という場合、
医療費控除を追加記入して再提出するのであれば「更正の請求」に当てはまります。
この場合は法定申告期限日から5年間が、医療費控除を出せる期間になります。
(平成22年分以前のものは法定申告期限から1年以内。
法改正により平成23年分以降は期限が延びました。)

つまり、2018年の場合は3月15日が法定申告期限日なので、
2023年3月15日が更正の請求をする期限日になります。
給与所得者(会社員・アルバイト・パートなど)の場合
一方、給与所得者の場合には「還付申告」をすることで医療費控除が受けられます。
還付申告は、還付のための申告書を提出できる日から5年内であればいつでもOKです。
つまり2017年1年間分の医療費控除をうけるには、
2018年1月1日から5年以内、つまり2022年12月31日までに申告すればOKです。
このように、還付申告を出せる期間も5年と長いので、
過去に医療費控除を出しそびれた年があれば、今からでも還付申告できる可能性があります。
医療費控除の対象範囲について
医療費控除は、病院や歯医者にかかった時の診察料や治療費、薬代、
指圧などのマッサージ費用などが対象となります。
しかし、その目的に応じて適用の対象となる場合と、対象にならない場合があります。
例えば、インフルエンザを治すための診察料・薬代は対象になりますが、
インフルエンザを予防するための予防接種は対象になりません。
基本的な考え方としては、病状の治療や療養に関するものが当てはまり、
病気の予防や健康増進を目的としたものは当てはまりません。
あるいは、通院のための電車賃やバス代は医療費控除の対象となりますが、
自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車料金は対象外とされています。
医療費控除の対象になる | 医療費控除の対象にならない |
---|---|
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|
自分で判断するのが難しいものに関しては税理士や税務署員に相談の上、
個別具体的に判定する必要があります。
また、治療費は常識的な範囲内であることも要件のひとつです。
医療費控除の対象になるもの、対象にならないものの主な例については、
以下のページにまとめているので合わせてご覧下さい。
>> 医療費控除の対象・対象外について
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