白色申告・青色申告の経費 - 個人事業主の経費について

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更新日 2020年8月07日

個人事業主の経費

プライベート用と事業用の両方で使うものは按分する

事業用とプライベート用で同じものを使っている場合には、用途の割合に応じて按分し、支払った費用の一部を経費にできます。個人事業主が仕事でも使っているものなら、下記のような費用を按分してその一部を経費計上します。

按分して経費計上する支出の例

家賃、電話料金、電気料金、ネット料金、自動車など

たとえば、1台の携帯電話を事業用とプライベート両方で使っている場合には、 携帯料金の請求金額全てを経費にするのではなく、使用状況に基づいて、請求金額の何割かを「通信費」として計上します。 これを経費の按分と言います。

按分(あんぶん)についての詳細は、下記ページをご覧下さい。
>> 按分とは?地代家賃での按分例・方法など

個人事業の経費の種類

経費の種類のことを「勘定科目」と呼びます。 事業で物を買ったりサービスを利用したら、適当な勘定科目にふりわけて経費計上します。 白色申告でも青色申告でも、計上できる経費に上限はありません。 個人事業を営む上で必要な費用であれば、いくらでも経費にすることができます。

たとえば先ほど挙げた費用は、それぞれ下記の勘定科目にふりわけて経費計上します。

家賃電話料金電気料金
地代家賃通信費水道光熱費

個人事業用の会計ソフトでは、個人事業の会計に必要な勘定科目があらかじめ用意されています。 ユーザーが経費を入力する際に、ソフトの中の勘定科目から選択する形になります。
>> 個人事業の会計ソフト一覧

勘定科目は、どれを選択すれば良いのか判断に困ることもあるでしょう。 勘定科目の一覧とそれぞれの概要については、以下のページにまとめたので参考にしてみて下さい。
>> 個人事業で使う経費の種類一覧

普通のレシートでもOK?クレジットカードの明細は?

経費に計上するには、宛名や但し書きが記載されている領収証をもらわなければならないと思っている人もいるかもしれません。 しかし、これらが記載されていない普通のレシートでも、経費の証拠として扱えます。

何の用途で使ったか、事業用かプライベート用か、これらの判別がつきづらいものに関しては、 レシートに用途を書き込んでおいたり、後から見て理解できるメモをつけておくことをおすすめします。 飲食代は、誰と飲食をしたかなどのメモを領収書の裏面にでも加えておくと、税務調査の対策になります。

クレジットカードの明細書も、証憑としての効力があります。 ただし、これだけでは不十分とされる可能性もあるので、 必要に応じて明細にメモを書き込んでおいたり、領収書や納品書があれば一緒に保管しておくのがベストです。 ウェブ明細を利用している場合は、プリントアウトして保管しましょう。

ひとつの領収書に事業用で買ったものとプライベート用で買ったものが混同してしまっている場合には、 事業用で買ったものにマーカーを引くなりして分かりやすくしておきましょう。

いずれにしても、何のための経費なのか、私用ではなく事業用の支出か、 これらを税務署員にたずねられた場合に、信憑性のある説明をできるかが重要です。

領収書をもらえない場合はどうする?

電車で短い距離の移動など、領収書がもらえない場合があります。 このような場合は「出金伝票」を書いておけばOKです。 出金伝票は安価で販売されているので、1セットだけでも買っておくとよいです。

コクヨの出金伝票

出金伝票を書くことを「出金伝票を起こす」と言います。 たとえば、電車移動の交通費について出金伝票を起こす場合には、以下のような記載をしていればOKです。

項目記入例
日付20XX年3月15日
勘定科目旅費交通費
摘要新宿駅 - 東京駅 A社との打ち合わせ 往復料金
金額388円

移動のたびにいちいち出金伝票を手書きで起こすのは面倒という場合には、 エクセルなどで上記のような項目を入力して、ある程度まとめて出力するという方法でもOKです。 旅費交通費の場合には、日付や金額に加えて、行き先や目的などを明確化しておくのがポイントです。

ちなみに、Suicaなどの電子マネーは交通費だけでなく物品購入にも利用できるので、SuicaやPASMOのチャージの際に発行される領収書を交通費の証拠として利用することはできません。
>> 領収書がない経費の処理についての詳細

領収書って確定申告で提出するの?

確定申告の際に、貯まった領収書やレシートを提出するわけではありません。 ただし、領収書は税務調査に入られた時などのために、一定期間は保管しておく義務があります。

白色申告の場合青色申告の場合
法定帳簿(収入金額や必要経費を記載した帳簿)7年帳簿(仕訳帳や総勘定元帳など)7年
任意帳簿(経理の効率化などのために事業主が任意で作成した帳簿)5年決算関係書類(貸借対照表や損益計算書など)7年
その他の書類(領収書や請求書、預金通帳、見積書、納品書など)5年現金預金取引等の関係書類(領収書、請求書、預金通帳など)7年
その他の書類(見積書、注文書、納品書など)5年

このように、白色申告の場合と青色申告の場合で、各種書類の保存期間が異なります。
>> 白色申告と青色申告の違い

白色申告の場合、領収書は「その他の書類」に含まれるので5年間、青色申告の場合は「現金預金取引等の関係書類」に領収書が当てまるので7年間保存しておくことになります。 帳簿や領収書などの保存期間の詳細については、下記ページを参考にして下さい。
>> 白色申告・青色申告での帳簿の保存期間と保存方法

>> 個人事業の必要経費【一覧表】
>> 個人事業主が確定申告で提出する書類
>> 経費を計上するタイミング - 発生主義と現金主義