税金の仕訳方法・勘定科目 - 個人事業主が納める税金

更新日 2021年1月13日

税金の仕訳方法・勘定科目

事業の税金は「租税公課」 事業主個人の税金は「事業主貸」

個人事業や事業主個人に関わる税金を納付した時に、それぞれどの勘定科目で仕訳をすればよいのか、主なものをまとめました。

「租税公課」として経費にできる支出の例「事業主貸」として処理する支出の例
  • 個人事業税
  • 固定資産税
  • 自動車税
  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 印紙税
  • 商工会議所の会費
  • 同業者組合の組合費
  • 所得税
  • 住民税
  • 予定納税
  • 国民健康保険
  • 国民年金
  • 罰則的な意味合いの税金
    (延滞税や加算税、罰金など)

個人事業税など、事業の支出にかかる税金は「租税公課」の勘定科目で経費計上できます。 この場合の消費税区分は「不課税」です。租税公課についての詳細は、以下のページを参考にして下さい。
>> 租税公課とは?個人事業での租税公課として認められるものの種類など

逆に、所得税や住民税など、事業主個人に課される税金は経費にできません。 よって、このような税金を納付した際には、帳簿づけをする必要がありません。 事業用の銀行口座から納付した場合など、やむをえず記帳する場合には「事業主貸」の勘定科目で処理すればOKです。 なお、所得税や住民税が還付された場合には「事業主借」の勘定科目で処理します。
>> 事業主貸・事業主借とは?

所得控除の対象になる保険など

事業主の国民年金国民健康保険についても、 租税公課として経費にはできません。これらを納付したことを帳簿づけする場合も、所得税などと同様「事業主貸」で処理します。 ただし、これらは「社会保険料控除」の対象なので、確定申告の際、納付した金額を忘れずに申告しましょう。

確定申告の際、「確定申告書B」に社会保険料控除の金額などを記入し、控除証明書を添付します。これにより、納付した全額が社会保険料控除として、所得から控除されます。

ちなみに、納税者が任意で加入する「確定拠出年金」や「小規模企業共済」なども、帳簿づけにおいては所得税などと同じ扱いです。 帳簿づけをする場合には「事業主貸」の勘定科目で記帳しましょう。ただ、控除の種類はそれぞれ以下のように異なります。

控除の種類と該当する保険等

控除の種類控除の概要と具体例
社会保険料控除 公的な保険料を納めた場合の控除
例)国民年金国民健康保険国民年金基金付加年金
小規模企業共済等掛金控除 指定された共済や個人型年金などを支払った場合の控除
例)小規模企業共済確定拠出年金
生命保険料控除 納税者が任意で保険会社と契約し、一定の保険料を支払った場合の控除
例)民間の生命保険、民間の介護医療保険、民間の個人年金
地震保険料控除 納税者が任意で保険会社と契約し、一定の地震保険料を支払った場合の控除
例)民間の地震保険

>> 所得控除の一覧表

なお、所得税と住民税は、所得控除の対象ではありません。

複式簿記での仕訳例

税金を納めたときの帳簿づけ例をみていきましょう。例1は、経費にできない税金を納めたときの帳簿づけ例。例2は、経費にできる税金を納めたときの帳簿づけ例です。いずれも複式簿記の仕訳例です(単式簿記と複式簿記の違い)。

例1)所得税20万円を事業用口座から振替納付した

所得税は、事業主個人にかかる税金であり、帳簿づけをするのであれば「事業主貸」で処理します。事業用の銀行口座から所得税を納付した場合には、以下のように仕訳します。

日付借方貸方摘要
20XX年4月21日事業主貸 200,000普通預金 200,000所得税納付

所得税の納付期限日は、確定申告の最終期限日と同じ日で、原則3月15日です。 ただし、振替納付にすると、上記の通り4月中旬に銀行口座から振替されます。 振替納付をするには、事前申請が必要です。>> 所得税の納付方法

例2)個人事業税10万円をコンビニで現金納付した

個人事業税など、経費にカウントできる税金を納めた場合は、「租税公課」の勘定科目で記帳します。租税公課は経費の勘定科目なので、この場合は納めた税金を全額経費として計上することになります。

日付借方貸方摘要
20XX年8月20日租税公課 100,000現金 100,000個人事業税納付

租税公課として経費計上できる税金も、按分を忘れずに

上述の個人事業税は、まるまる租税公課として経費計上できます。 しかし、固定資産税や自動車税などは、100%事業用のものでなければ、利用用途の割合によって「家事按分」する必要があります。他の経費を按分するのと同じ考え方です。

例えば、自動車を事業用として60%、家庭用として40%使っているのであれば、 自動車税も60%を「租税公課」として経費計上、残り40%を「事業主貸」で処理します。

日付借方貸方摘要
20XX年5月31日租税公課 27,000預金 45,000自動車税
家事按分40%
事業主貸 18,000

もちろん、按分の比率はなんとなくではダメで、客観的に納得のいく設定でなくてはなりません。自動車の場合は、走行距離などをもとに、仕事とプライベートにおける使用割合の区別をつけます。

消費税の仕訳・勘定科目について

事業者が税務署へ納付する消費税については「税込経理方式」をとるか「税抜経理方式」をとるかによって、 仕訳の仕方が異なります。当サイトの仕訳は「税込経理方式」で説明しています。

  • 税込経理方式とは → 売上高や仕入高に消費税を含めて経理する方法
  • 税抜経理方式とは → 売上高や仕入高に消費税を含めず、区分して経理する方法

消費税については、そもそも納税する必要がない「免税事業者」である個人事業主も多いです。 例えば「年間の売上はずっと1,000万円以下だよ〜」という規模の個人事業主は、売上と一緒に預かった消費税を税務署へ納める必要はないので、 このあたりの内容は読み飛ばして構いません。

課税事業者は、税込経理方式を採用するか、税抜経理方式を採用するかを自分で選択できますが、消費税の免税事業者は、税込経理方式で仕訳をします。>> 免税事業者と課税事業者の違い

税込経理方式税抜経理方式
売上などに消費税を含むので、事業の損益が消費税によって影響されるが、税抜き計算の手間が省ける特徴事業の損益は消費税によって影響されないが、税抜き計算の手間がかかる
売上や仕入は消費税を含めた額で計上する経理方法売上に関わる消費税は「仮受消費税」
仕入れ等に関わる消費税は「仮払消費税」の勘定科目で、消費税を区別して計上する
消費税を納付する場合は「租税公課」として必要経費にする

消費税が還付される場合は「雑収入」として収入にする
仕訳納付する場合は、仮受消費税から仮払消費税を引いた金額を「未払消費税」で計上する

還付される場合は、仮払消費税から仮受消費税を引いた金額を「未収消費税」で計上する

なお、税抜経理方式の場合、消費税等の端数処理の関係により、未払消費税(もしくは未収消費税)の金額が確定申告で計算した納付金額(もしくは還付金額)と一致しない場合があります。この場合は、差額を「雑収入(もしくは雑損失)」で処理します。

個人事業で納める主な税金の種類、それぞれの税金の納付時期については、 以下のページをご覧ください。

>> 個人事業主が納める主な税金の納付時期や計算方法
>> 個人事業2年目以降の税金納付スケジュール
>> 事業主貸・事業主借って何だっけ?