税金の仕訳方法・勘定科目 - 個人事業主が納める税金

更新日 2022年9月30日

税金の仕訳方法・勘定科目

事業の税金は「租税公課」 事業主個人の税金は「事業主貸」

個人事業主の税金は、種類によって経費にできる・できないが異なります。経費にできるものは「租税公課」、経費にできないものは「事業主貸」の勘定科目で処理します。どちらも消費税区分は「不課税」です(消費税の免税事業者は気にしなくてよい)。

個人事業主が納める税金や保険料(主な例)

経費にできる 経費にできない
租税公課」として
必要経費に計上する
事業用資金から納付した場合のみ
事業主貸」として処理する
  • 個人事業税
  • 固定資産税
  • 自動車税
  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 印紙税
  • 商工会議所の会費
  • 同業者組合の組合費
  • 所得税
  • 住民税
  • 予定納税
  • 国民健康保険
  • 国民年金
  • 小規模企業共済掛金
  • 罰則的な税金(延滞税や加算税)

経費にできない税金をプライベートの口座から納めた場合は、なにも記帳しなくて構いません。「事業主貸」と記帳するのは、あくまで事業用口座などから納めた場合だけです。ですから、事業とプライベートの口座はハッキリ分けておくことをオススメします。

ちなみに、個人事業主向けのクラウド会計ソフトを使えば、勘定科目が頭に入っていなくても帳簿付けができます。勘定科目を一覧から選択できるうえ、それぞれにわかりやすいガイド文がついているので、初心者でも迷うことはないでしょう。

所得控除の対象になる保険など

事業主の国民年金国民健康保険についても、 租税公課として経費にはできません。これらを納付したことを帳簿づけする場合も、所得税などと同様「事業主貸」で処理します。 ただし、これらは「社会保険料控除」の対象なので、確定申告の際、納付した金額を忘れずに申告しましょう。

確定申告の際は、申告書に社会保険料控除の金額などを記入し、控除証明書を添付します。これにより、納付した全額が社会保険料控除として、所得から控除されます。

ちなみに、納税者が任意で加入する「確定拠出年金」や「小規模企業共済」なども、帳簿づけにおいては所得税などと同じ扱いです。 帳簿づけをする場合には「事業主貸」の勘定科目で記帳しましょう。ただ、控除の種類はそれぞれ以下のように異なります。

控除の種類と具体例

控除の種類控除の概要と具体例
社会保険料控除 公的な保険料を納めた場合の控除
例)国民年金国民健康保険国民年金基金付加年金
小規模企業共済等掛金控除 指定された共済や個人型年金などを支払った場合の控除
例)小規模企業共済確定拠出年金
生命保険料控除 納税者が任意で保険会社と契約し、一定の保険料を支払った場合の控除
例)民間の生命保険、民間の介護医療保険、民間の個人年金
地震保険料控除 納税者が任意で保険会社と契約し、一定の地震保険料を支払った場合の控除
例)民間の地震保険

>> 所得控除の一覧表

なお、所得税と住民税は、所得控除の対象ではありません。

「租税公課」の仕訳例

「経費にできる税金」を納めたら、納付日に「租税公課」の勘定科目で記帳しましょう。消費税区分は「不課税(対象外)」です。

例)個人事業税10万円をコンビニで現金納付した

日付 借方 貸方 摘要
20XX年8月20日 租税公課
100,000
現金
100,000
個人事業税
納付

上記のように、個人事業税は全額経費にできます。しかし、固定資産税や自動車税などは、事業での使用割合に応じて家事按分が必要です。その場合は、もう少し複雑な仕訳をします(詳細は後述)。

会計ソフトで簡単入力 - 租税公課

租税公課の帳簿付け(freee会計の記帳例)

※ 画面は「freee会計」のもの

会計ソフトでは、家事按分の処理が年末にまとめて行えるので、ひとまず納付額をそのまま入力してOKです。

「事業主貸」の仕訳例

「経費にできない税金」を事業用の銀行口座などから納付したら、納付日に「事業主貸」の勘定科目で記帳しましょう。消費税区分は「不課税(対象外)」です。

例)所得税5万円を事業用口座から振替納付した

日付 借方 貸方 摘要
20XX年4月21日 事業主貸
50,000
普通預金
50,000
所得税納付

上記は「事業用の口座」から所得税を納めたときの仕訳例です。プライベートの口座から所得税を納付した場合には、そのお金の流れは事業と一切関係がないので、帳簿付けも不要です。

会計ソフトで簡単入力 - 事業主貸


事業主貸の帳簿付け(freee会計の記帳例)

※ 画面は「freee会計」のもの

個人事業主向けの会計ソフトを使えば、初心者でも簡単に「事業主貸」の記帳ができます。「借方・貸方どっちだっけ?」と迷うこともありません。とくに「事業主“貸”」は名称も紛らわしいので、会計ソフトで自動処理するのがオススメです。

租税公課として経費計上できる税金も、按分を忘れずに

前述したとおり、個人事業税はまるまる租税公課として経費計上できます。 ただし、固定資産税や自動車税などは、100%事業用のものでなければ、利用用途の割合によって「家事按分」する必要があります。他の経費を按分するのと同じ考え方です。

例えば、自動車を事業用として60%、家庭用として40%使っているのであれば、 自動車税も60%を「租税公課」として経費計上、残り40%を「事業主貸」で処理します。

日付 借方 貸方 摘要
20XX年5月31日 租税公課 27,000 預金 45,000 自動車税
家事按分60%
事業主貸 18,000

もちろん、按分の比率が「なんとなく」ではダメで、客観的に納得のいく数字でなくてはなりません。自動車の場合、たとえば走行距離などをもとに、仕事とプライベートにおける使用割合の区別をつけます。

消費税の仕訳・勘定科目について

消費税の「課税事業者」に該当する個人事業主は、原則として毎年3月末までに「消費税の確定申告」を行います。この申告で、事業に関わる消費税を税務署に納付します(または還付を受ける)。

消費税の課税事業者とは?
前々年の売上が1,000万円超の個人事業主などは「課税事業者」に該当し、消費税の納付義務を負う。逆に、売上などが基準以下の個人事業主は「免税事業者」と見なされ、消費税の納付を免除されている。
>> 消費税の免税事業者・課税事業者について詳しく

消費税の仕訳方法は、帳簿付けの方式(税込経理方式 or 税抜経理方式)によって、 以下のように異なります。

消費税の仕訳方法 - 納付・還付

税込経理方式 税抜経理方式
消費税の納付 租税公課
納付額を必要経費とする
未払消費税等
納付時まで負債とする
消費税の還付 雑収入
還付額を事業収入とする
未収消費税等
還付時まで資産とする

太字は勘定科目、細字は税務上の区分を表す

どちらの経理方式でも、消費税の確定申告は非常にめんどくさいです。日々の帳簿付けにおいても、消費税区分(課税・非課税・不課税・免税)を毎回正しく記帳しておく必要があります。

会計ソフトで簡単入力 - 消費税区分


消費税区分の選択(freee会計の記帳例)

※ 画面は「freee会計」のもの

会計ソフトを使えば、上記のように消費税区分を自動で推測してくれるので、自分でいちいち調べる手間が省けます。さらに、大手メーカーのクラウド会計ソフトなら、消費税の自動集計や申告書作成にも対応しています。

>> 個人事業主が納める主な税金の納付時期や計算方法
>> 個人事業2年目以降の税金納付スケジュール
>> 個人事業主向けの会計ソフトまとめ【比較一覧表】