白色申告の帳簿づけ具体例と確定申告までの流れ【個人事業主向け】
更新日 2024年5月01日
個人事業主・フリーランス向けに、白色申告の帳簿付け方法を具体例付きで解説します。白色申告では、ひとまず「収入」と「必要経費」の記帳が必要です。記事の後半では、無料で使える会計ソフトも紹介しているので参考にしてください。
白色申告の帳簿付けとは?
- 白色申告では「収入(売上など)」と「必要経費」の記録が義務
- 具体的には、売上や経費の「日付・金額・内容」などを記録する
- 家計簿やおこづかい帳のような形式でOK(単式簿記)
- 1年分の帳簿付けが終わったら、内容を集計して確定申告をする
- 確定申告のあとも、帳簿は5年~7年にわたって保存しておく
白色申告における帳簿付けとは、要するに「収入と必要経費に関係する取引」を記録する作業です。最終的には、1年分の記帳内容をもとに、確定申告で提出する「収支内訳書」や「確定申告書」を作成します。
白色申告の個人事業主は「単式簿記」という形式で帳簿付けをします。これは、一般的な家計簿などに似た記帳方法です。青色申告で基本となる「複式簿記」と比べると、専門的な知識もそれほど必要ありません。(詳しい記帳方法は後述)
白色申告の帳簿付け方法【単式簿記】
白色申告では、ひとまず「収入」と「必要経費」が整然と記録できていればOKです。青色申告では「〇〇帳と△△帳を作る」などと決まっていますが、白色申告にそのようなルールはありません。
収入や必要経費を帳簿付けする際は、主に「日付・科目・金額・摘要」の4項目を記録しましょう。
白色申告で記帳する内容(単式簿記の例)
日付 | その取引が行われた日付を記入する 報酬を受け取った日付や、経費を支払った日付などを書く |
---|---|
科目 | その取引の内容に適した科目(勘定科目)を記入する 例:売上・仕入・消耗品費・通信費・地代家賃など(経費の勘定科目一覧) |
金額 | その取引による収支の金額を記入する 基本的には「消費税込み」の金額を書く |
摘要 | その取引の内容をざっくり記入する あとから見返したときに取引の概要が分かればよい |
記帳には、表計算ソフト(Excelなど)を使ってもよいですし、昔ながらの紙の帳簿を使ってもよいです。ただ、全ての取引をこのような方法で記帳するのは大変なので、会計ソフトの利用をおすすめします。自動記帳もできる白色申告対応の会計ソフトを活用しましょう。
ここからは、無料で使える会計ソフトの「やよいの白色申告 オンライン 」を例に、会計ソフトで帳簿付けをする流れを解説していきます。
具体例① 収入を記帳するとき
たとえば、フリーランスのデザイナーが、取引先から名刺のデザイン料(売り上げ)を受け取ったときは、以下のように入力します。
【記帳例】70,000円の報酬を口座振込で受け取った
「やよいの白色申告 オンライン 」の帳簿付け画面
パパっと帳簿付けしたいときは、取引日・科目・金額の3つを入力するだけでも大丈夫です。ほとんどの項目は表示される選択肢(プルダウンメニュー)から入力できるので、すべて入力するとしても手間はかかりません。
1日に何件も売上が発生する個人事業主は、白色申告であれば1日分の売上をまとめて記帳してもよいです。たとえば、小売店や飲食店の場合、一客ごとの売上を別々に帳簿付けする必要はありません。
具体例② 必要経費を記帳するとき
たとえば、仕事で使うコピー用紙を購入したときは、下記のように入力して帳簿付けをします。
【記帳例】1,500円の必要経費を現金で支払った
「やよいの白色申告 オンライン 」の帳簿付け画面
必要経費にはたくさんの科目がありますが、基本的に「コレは〇〇費じゃなきゃダメ」という明確なルールはありません。下表のような情報を参考に、常識的な範囲で使い分けができていればOKです。
必要経費の科目(主な例)
旅費交通費 | 移動費や出張時の宿泊費など 例:電車賃、バス代、タクシー代、航空運賃、駐車場代 |
---|---|
通信費 | 通信のために必要な料金 例:インターネット料金、電話料金、切手代、はがき代 |
接待交際費 | 取引先や得意先の接待費用、事業に関わる人との交際費用 例:取引先との飲食代、お得意先へのお祝い金・贈答品 |
消耗品費 | 事業用の備品などの購入費用 例:文房具、伝票、名刺、印鑑、USB、パソコン(10万円未満) |
地代家賃 | オフィスや店舗の賃借料や使用料 例:事務所・店舗家賃、月極駐車場料金、倉庫使用料、土地使用料 |
個人事業主向けの会計ソフトでは、プルダウンメニューから科目を選択できるのが一般的です。ですから、全ての科目を覚えておく必要はありません。その点、手入力 or 手書きで帳簿付けをする際は、科目が頭に入っていないといけないので大変です。
帳簿付けから確定申告までの流れ
1年分の帳簿付けが終わったら、記帳した内容をもとに確定申告の提出書類を作成します。白色申告の主な提出書類は「収支内訳書」と「確定申告書」です。
確定申告で提出する主な書類(白色申告)
収支内訳書 | 確定申告書 |
---|---|
1年間の収入や必要経費を集計して 所得を算出する |
所得から控除などを差し引いて 納税額を算出する |
※ 所得とは、おおよそ「収入 - 必要経費」の金額を指す
会計ソフトを使っていれば、帳簿付けした内容をソフトが自動で集計してくれます。ですから、書類の大部分は自動で作成できてしまいます。たとえば「やよいの白色申告 オンライン」では、以下のような画面で申告書類をサクッと作れます。
確定申告書類の作成画面(やよいの白色申告 オンライン)
収支内訳書の作成画面 | 確定申告書の作成画面 |
---|---|
ちなみに「やよいの白色申告 オンライン」では、そのままオンラインで確定申告書類を提出することもできます(電子申告)。電子申告には、国税庁の「e-Taxソフト」などを使う方法もありますが、それよりも断然ラクです。
帳簿の保存期間・保存方法について
確定申告が終わったあとも、作成した帳簿は一定期間にわたって保存しておく必要があります。保存期間は帳簿によって異なり、下記のように定められています。
帳簿の保存年数 - 白色申告の場合
- 収入と必要経費について記載した帳簿(法定帳簿)……7年間
- その他に任意で作成した帳簿(任意帳簿)………………5年間
実務上は、全ての帳簿を「7年間」保存しておけば間違いがありません。任意で作成したサブ的な帳簿に関しては「5年間」でもOKですが、まとめて管理しておいたほうが分かりやすいです。
帳簿はすべて紙で保存しておくのが基本です。しかし、会計ソフトなどで記帳している場合は、データのまま保存しておける場合もあります。帳簿の電子保存には一定の要件があるので、会計ソフト等の対応状況をよく確認しておきましょう。
まとめ
白色申告の個人事業主にも、帳簿付けをする義務があります。確定申告につながる重要な作業なので、ルールを理解して適切に行いましょう。
帳簿づけのポイント
- 白色申告では「収入」と「必要経費」に関する取引の記録が義務
- 主な記帳事項は、取引の「日付・科目・金額・摘要」の4つ
- 記帳方法は「単式簿記」でOK(一般的な家計簿のような形式)
- 小売店や飲食店などは、1日分の売上をまとめて記帳してもよい
- 確定申告では、1年分の帳簿をもとに「収支内訳書」と「確定申告書」を作る
- 確定申告のあとも、帳簿は「7年間」保存しておこう
白色申告の帳簿付けは、青色申告と比べるとカンタンです。しかし、科目の考え方や1年間の集計作業など、多少は簿記の知識が必要になる場面もあります。ですから、会計初心者の個人事業主には会計ソフトの利用をおすすめします。
本記事で紹介した「やよいの白色申告 オンライン」には、ずっと無料で使える「フリープラン」があります。その他のプランもリーズナブルなので、会計ソフトを試してみたい白色申告者におすすめです。(Windows・Macの両方に対応)
「やよいの白色申告 オンライン」の料金プラン
フリープラン | ベーシックプラン | トータルプラン | |
---|---|---|---|
料金 (税込) |
ずっと無料 | 12,650円/年 (初年度は無料) |
23,100円/年 (初年度は半額) |
帳簿付け | ○ | ○ | ○ |
自動記帳 | ○ | ○ | ○ |
申告書類の作成 | ○ | ○ | ○ |
電子申告(e-Tax) | ○ | ○ | ○ |
ユーザーサポート | なし | ・メール ・チャット ・電話(年10回まで) |
・メール ・チャット ・電話(無制限) ・業務ヘルプデスク |
「ベーシックプラン」と「トータルプラン」は初年度だけ優待価格で利用できるので、最初はサポート対応のある上位プランから使い始めるのがおすすめです。2年目以降、帳簿付けに慣れてきてから「フリープラン」に切り替えれば、あとはずっと無料で使えます。
ちなみに「やよいの白色申告 オンライン」は青色申告に対応していません。が、青色申告対応の「やよいの青色申告 オンライン」にスムーズにデータを移行できます。「そのうち青色申告にしたいなぁ」という個人事業主も安心して使えます。
>> やよいの白色申告 オンライン(公式)
>> 白色申告向けの会計ソフト【比較一覧表】
>> 白色申告も発生主義で記帳する? - 帳簿づけのタイミング