白色申告の帳簿付け方法と書類の保存期間【個人事業主の会計】
更新日 2024年8月19日
個人事業主やフリーランス向けに、白色申告の帳簿付け方法と、帳簿・書類の保存期間を解説します。白色申告でも帳簿づけは義務です。ただ、簡易的な記帳方法が認められている部分もあるので、青色申告よりは少しラクです。
白色申告の帳簿付けとは?
白色申告の記帳業務【ポイント】
- 日々の取引を「単式簿記」で帳簿付けする
- 1年分の帳簿をもとに、翌年2月16日〜3月15日に確定申告をする
- 確定申告のあとも、帳簿・領収書・銀行通帳などを保管しておく
白色申告の帳簿付けでは、日々の売上や経費について下記の4項目を記録していきます。帳簿付けの形式は「単式簿記」でOKです。単式簿記は、家計簿やお小遣い帳のようなシンプルな記帳方式です。
売上や経費の証拠になる書類(請求書や領収書など)は、捨てずに保管しておきましょう。これらの証憑書類は、作成した帳簿とあわせて、最大7年間にわたって保存しておく必要があります(保存期間の詳細は後述)。
白色申告の帳簿付け方法【単式簿記の記帳方法】
白色申告の個人事業主は、取引の「日付・科目・収支の金額・摘要」を、帳簿付けしておく必要があります。 そして、最終的には1月1日〜12月31日までの期間で会計情報をまとめます(新規開業した年は、開業日から12月31日までの期間)。
必要な情報が記帳されていれば、手書きで帳簿付けをしても構いません。
ただ、手書きの帳簿付けはかなり面倒なので、個人事業主向けの会計ソフトを使うのがおすすめです。
会計ソフトと使えば、ほとんど簿記の知識がなくても何とかなります。
>> 白色申告におすすめの会計ソフト【比較一覧表】
帳簿付けの「科目」ってなに?
帳簿付けの際には、その収支を「消耗品費」「旅費交通費」「広告宣伝費」などの勘定科目に分類して記帳します。そして最終的には、確定申告の提出書類に、科目ごとの合計額を書くことになります。初心者には少し分かりづらい部分ですが、会計ソフトでは用意されたメニューから科目が選択できるようになっています。
>> 個人事業主が使う必要経費の勘定科目一覧
会計ソフトによる帳簿付けの具体例
会計ソフトを使って帳簿づけする場合は、おおよそ以下のように操作します。 今回は、個人事業で利用するパソコンを「8万円」で購入した場合の記帳例を見てみましょう。
パソコン(8万円)を現金で購入した場合の帳簿づけ例
1 取引の種類 | 2 内容と金額 | 3 日付 | 4 摘要 |
---|---|---|---|
支出から現金を選択 | 「備品・消耗品費」の科目を選んで、金額を入力 | カレンダーから、購入した日付を選択 | 摘要欄に「業務用パソコン」と入力 |
上記は白色申告対応の会計ソフト「マネーフォワード クラウド確定申告」での帳簿づけ例です。 シンプルで分かりやすいソフトなので、会計初心者には特におすすめです。
上記の通り、4ステップで帳簿づけが完了します。
あとは同じように売上や経費を入力していけば、必要な帳簿が自動で作成されます。このソフト1本で、帳簿づけから確定申告書類の作成まで対応しています。
>> マネーフォワード クラウド確定申告の詳細レビュー
帳簿や書類の保存期間・保存方法【領収書や請求書など】
帳簿や領収書などの書類は、最大7年間保存しておく義務があります。 事業に関する入出金がある銀行通帳もとっておきましょう。 なお、個人事業の場合は、自分の個人口座と事業口座をひとまとめにしていても構いません。 (個人用口座と事業用口座は、分けたほうが色々とラクになりますが。)
白色申告のために作成した帳簿などの保存期間については、以下の年数が定められています。 事業に関係した帳簿や領収書、銀行通帳などはしっかり保管しておきましょう。
帳簿や書類の保管期間(白色申告の個人事業主)
帳簿・書類 | 保存期間 |
---|---|
収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) | 7年 |
その他の補助的な帳簿(任意帳簿) | 5年 |
書類(領収書や請求書、納品書、送り状、棚卸表、預金通帳など) |
定められている保存期間からも分かる通り、国税局は最長7年分さかのぼって税務調査できます。 税務調査が入る場合には、その求めに応じて保管しておいた書類を提示します。
翌年2月中旬〜3月中旬の期間に確定申告する
帳簿づけした内容から1年間の売上や経費を計算し、確定申告の提出書類を作成します。 白色申告の会計ソフトで帳簿づけをしていれば、確定申告書類の大部分はソフトが自動作成してくれます。 ユーザーは、ソフトのガイドにしたがって必要箇所を埋めていくだけです。
会計ソフトで作成した確定申告書は、印刷すればそのまま税務署へ提出できます。大手のクラウド会計ソフトなら、ソフト上からオンライン提出(電子申告)できる場合も多いです。
作成した書類は、原則2月16日〜3月15日の確定申告期間中に税務署へ提出します (その年の土日祝日と期日が重なる場合は、後ろに日程がずれます)。
作成した「帳簿」は、確定申告で提出するわけではありません。 確定申告で提出するのは、この帳簿の内容をもとに作成した確定申告書類です。 白色申告で何を提出するかについては「白色申告で提出する必要書類」を参考にして下さい。
ちなみに従来は、白色申告の個人事業主で、事業所得などの合計が300万円以下の人には帳簿付けの義務がありませんでした。しかし、2014年以降は、白色申告をするすべての個人事業主に「帳簿付け」と「帳簿・書類の保存」が義務付けられました。
まとめ - 会計ソフトで帳簿づけする流れ
1月1日〜12月31日の間は、日々の売上や経費を会計ソフトに記録しておきましょう。
白色申告用の会計ソフトには、しっかりした老舗メーカーが提供しているものでも無料で使えるソフトがあります。
>> ずっと無料で使える「やよいの白色申告 オンライン」
帳簿や、帳簿づけの根拠になる領収書や預金通帳などは、一定期間保管しておく義務があります。 書類によって定められている保存期間が異なりますが、どの書類も7年間とっておけば間違いないです。
1年分の会計情報を全て会計ソフトに入力したら、あとは確定申告書類の作成です。 これも白色申告用の会計ソフトを利用していれば、ソフトの案内にしたがって進めば簡単に作成できるはずです。 ソフトで作成したデータをプリントアウトすれば、そのまま税務署への提出用として利用できます。
- 1月1日〜12月31日は会計ソフトに帳簿づけ
- 帳簿や、帳簿づけの根拠になる領収書などは保管しておく
- 翌年2月16日〜3月15日の確定申告期間に確定申告する
例年、確定申告期間は2月16日〜3月15日です(期日が土日祝日と重なる場合は翌平日)。この期間内に、確定申告書類を税務署に提出します。
>> 白色申告の帳簿づけ具体例 - 売上と経費の記帳
>> 白色申告で提出する確定申告書類
>> 白色申告用の会計ソフト【一覧表】