青色申告の記帳方式は3種類!- 簡易簿記・現金式簡易簿記・複式簿記

更新日 2021年1月07日

3種類の青色申告を比較

青色申告の記帳方式には、大きく「簡易簿記」「現金式簡易簿記」「複式簿記」の3種類があります。55万円か65万円の特別控除を受けるには、複式簿記による帳簿づけが必須です。

【青色申告】記帳方式ごとの違い

簡易簿記 現金式簡易簿記 複式簿記
特別控除額 10万円控除 10万円控除 55万円控除
(または65万円控除)
記帳方法 発生主義 現金主義 発生主義
申請書 青色申告承認申請書 青色申告承認申請書(兼)現金主義の所得計算による旨の届出書 青色申告承認申請書
所得要件 なし 前々年の所得が300万以下 なし
確定申告書類
  • 青色申告決算書(一般用)
  • 確定申告書B
  • 添付書類
  • 青色申告決算書(現金主義用)
  • 確定申告書B
  • 添付書類
  • 青色申告決算書(一般用)
  • 確定申告書B
  • 添付書類
帳簿
  • 現金出納帳
  • 売掛帳
  • 買掛帳
  • 固定資産台帳
  • 経費帳

(標準簡易帳簿)

現金出納帳のみ。
(現金以外の取引がある場合はその帳簿も必要)
  • 総勘定元帳
  • 仕訳帳

必要に応じて以下の帳簿も
  • 現金出納帳
  • 預金出納帳
  • 買掛帳
  • 売掛帳
  • 固定資産台帳
  • 給与台帳
    など

特別控除額

青色申告者は、控除額10万円 or 55万円 or 65万円の青色申告特別控除を受けられます。ただ、55万円・65万円の控除には「複式簿記で記帳をすること」という要件が含まれているので、簡易簿記・現金式簡易簿記では10万円の控除しか適用できません。

記帳方法

白色申告も青色申告も、基本的には「発生主義」による記帳が義務づけられています。ただ、青色申告の場合、所得要件を満たして所定の申請書を提出すれば「現金主義」による簡易的な記帳が認められます。
>> 発生主義と現金主義の違い

申請書

青色申告を選択する際は、通常「所得税の青色申告承認申請書」と呼ばれる申請書を提出します。 現金主義による記帳(現金式簡易簿記)を採用したい場合のみ、「所得税の青色申告承認申請書(兼)現金主義の所得計算による旨の届出書」を提出しましょう。

これらの申請書はいちど提出すればOKです。申告のたびに申請書を提出する必要はありません。 ただし、申請書には提出期限があるので注意しましょう。
>> 青色申告承認申請書の提出期限について

所得要件

現金式簡易簿記を選択できるのは、前々年の不動産所得と事業所得の合計が「300万円以下」の事業者だけです(収入 - 必要経費 = 所得)。そのほか、青色申告の記帳方式に関して所得要件はありません。

確定申告で提出する書類

青色申告では、主に「青色申告決算書」と「確定申告書B」を提出します。青色申告決算書については、現金式簡易簿記を選択する場合のみ「現金主義用」の様式を使いましょう。その他の場合は、基本的に「一般用」でOKです(農業や不動産業には専用の様式がある)。

一般用の青色申告決算書は4ページ構成です。4ページ目の「貸借対照表」は、複式簿記で記帳をしている場合のみ記入します。

1ページ2ページ3ページ4ページ
令和2年分以降用 所得税青色申告決算書1ページ目 令和2年分以降用 所得税青色申告決算書2ページ目 令和2年分以降用 所得税青色申告決算書3ページ目 令和2年分以降用 所得税青色申告決算書4ページ目

ちなみに「確定申告書B」は、どの記帳方式でも同じ様式を使用します。また、本人確認書類のコピーや所得控除の証明書などの「添付書類」もあわせて提出します。

帳簿

基本的には上表の通りですが、事業に関係しない帳簿を作る必要はありません。 例えば、あなたの事業で掛け売りをすることがなければ「売掛帳」を作る必要はありません。
>> 55万円・65万円の特別控除を受けるために必要な帳簿について

納税額を計算してみた - 控除額ごとの比較

10万円・55万円・65万円の特別控除では、実際の納税額にどのくらいの差が出るのでしょうか? 特別控除以外は同じ条件で、所得税額の比較をしてみましょう。

所得税の計算方法
収入 − 必要経費 − 青色申告特別控除 − 所得控除 = 課税所得金額
課税所得金額 × 税率 − 控除額 − 税額控除 = 所得税額


>> 所得税の計算方法について詳しく

上記の「税率」と「控除額」は、「課税所得金額」に応じて異なります。詳しくは、以下の速算表を参照してください。

課税所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え 330万円以下10%97,500円
330万円を超え 695万円以下20%427,500円
695万円を超え 900万円以下23%636,000円
900万円を超え 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え 4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

(平成27年分以降の所得税率)

ここで「収入700万円・必要経費200万円・所得控除120万円」と仮定し、所得税額を計算してみます。

青色申告特別控除が10万円の場合

700万 − 200万円 − 10万円 − 120万円 = 370万円
370万円 × 20% − 427,500円 = 312,500円(所得税額)

青色申告特別控除が55万円の場合

700万 − 200万円 − 55万円 − 120万円 = 325万円
325万円 × 10% − 97,500円 = 227,500円(所得税額)

青色申告特別控除が65万円の場合

700万 − 200万円 − 65万円 − 120万円 = 315万円
315万円 × 10% − 97,500円 = 217,500円(所得税額)

10万円控除の場合、所得税額は「312,500円」になりました。 対して、55万円控除の場合は「227,500円」、65万円控除の場合は「217,500円」と減少していきます。10万円控除と65万円控除を比較すると、所得税を「95,000円」抑えられるということです。

なお、平成25年から令和19年までの間は、これに加えて2.1%の復興特別所得税が加算されます。 (所得税の100円未満を切り捨てしたものに2.1%をかける)

>> 【年収別で納税額の違い】白色・青色10万円・青色55万円・青色65万円
>> 青色申告対応 - 個人事業用の会計ソフト
>> 青色申告で55万円・65万円控除を受けるために必要な帳簿の種類