借方・貸方とは?複式簿記の仕訳を分かりやすく!

更新日 2021年1月07日

借方と貸方を分かりやすく

借方・貸方は、理解しにくいクセモノなので、なるべくシンプルに説明します。 まず、借方・貸方という言葉の意味を考える必要はありません。 単純に「左が借方、右が貸方」ということを知っていればOKです。

借方(左)貸方(右)

このページでは、青色申告55万円または65万円控除を目指す人が理解しておくべき「複式簿記」について解説しています。 白色申告、あるいは青色申告10万円控除の場合は、簡易な簿記(単式簿記)でOKです。簡易な簿記であれば、このページの内容を理解する必要はありません。

青色申告特別控除の改正 - 令和2年分から
2020年分の確定申告(2021年2月16日〜4月15日に行う確定申告)から、青色申告特別控除の改正が適用された。 これにより、青色申告特別控除の控除額は10万円・55万円・65万円の3段階になった。 >> 青色申告特別控除の改正点

損益計算書と貸借対照表の構成

取引の内容を、借方と貸方に分けることを「仕訳」と呼びます。 この仕訳を理解するためには「損益計算書」と「貸借対照表」の構成を、まず暗記しておきましょう。 ひとつひとつの取引を正しく仕訳していくと、最終的に損益計算書と貸借対照表が正しく完成します。

貸借対照表でいえば、左にくるのが「資産」です。右に「負債」と「資本」が配置されています。 これらのポジションは決まっているものなので、暗記するしかありません。

貸借対照表(バランスシート)

資産
(現金、預金、売掛金など)
負債
(買掛金、未払金など)
資本
(元入金など)

資産の中には、「現金」や「預金」が含まれます。負債には、「買掛金」や「未払金」が含まれています。 この配置を丸暗記しておくと、仕訳がカンタンになります。

実際にはもっと多くの勘定科目がありますが、いきなりすべてを覚える必要は全くありません。 本ページでは、特に重要なものをピックアップしています。

損益計算書

損益計算書は、1年間の「収益」「費用」「利益(もしくは損失)」に関する明細です。 右の「収益」とは、主に売上高のことです。この収益から費用を差し引いたものが、利益ですね。
収益 − 費用 = 利益

損益計算書

費用
(交通費、消耗品費など)
収益
(売上高)
利益

ちなみに、収益よりも費用のほうが多くなってしまう場合、利益は出ません。 この場合は、損失が出ます。いわゆる赤字ですね。

損益計算書(赤字の場合)

費用
(交通費、消耗品費など)
収益
(売上高)
損失

上記の通り、損益計算書は収益や費用の内訳を表します。売上高がいくらあって、交通費がいくら、消耗品費がいくら、ということが分かるわけです。つまり、損益計算書を見れば「どのようにお金が入り、どのようにお金が出たのか」が分かるようになっています。

貸借対照表

次に、もう一度「貸借対照表」を見てみましょう。貸借対照表で示すのは、基本的に期末時点での「資産」「負債」「資本」の状況です。個人事業でいうと、期末は12月31日です。

貸借対照表(バランスシート)

資産
(現金、預金、売掛金など)
負債
(買掛金、未払金など)
資本
(元入金など)

貸借対照表は、必ず「資産 = 負債 + 資本」となります。左側が資産、右側が負債+資本です。 この左右が必ず一致するので「バランスシート」とも呼ばれます。 (左は「運用の結果」、右は「資金を調達するための方法」とも言えます。)

ちなみに元入金(もといれきん)とは、法人でいう資本金のようなもので、 個人事業に特有の科目です。開業前に用意した準備資金は、この元入金にカウントします。

青色申告決算書のページ構成も確認しておこう

青色申告者が確定申告で提出するものに「青色申告決算書」があります。 青色申告決算書は全4ページ構成で、1ページ目は先ほどの「損益計算書」です。2~3ページ目には、売上や経費の詳細を記入します。そして、4ページ目が「貸借対照表」です。

青色申告決算書のページ構成

ページ1ページ2ページ3ページ4
損益計算書売上や経費の詳細経費の詳細貸借対照表

※ 製造業等の場合は、ページ4に製造原価の記入

個人事業の会計期間は、1月1日~12月31日と決まっています。 青色申告で提出する貸借対照表は、通常1月1日時点と12月31日時点、それぞれの「資産」「負債」「資本」を表したものです。その会計期間が始まる時の状況と、そこから1年後の状況を見比べることができるわけです。

ちなみに、青色申告でも10万円控除の場合は、4ページ目の貸借対照表を作成する必要はありません。 白色申告の場合は、そもそも青色申告決算書ではなく「収支内訳書」を提出します。 これは2ページ構成で、青色申告よりもシンプルです。

仕訳の方法 - 取引内容を借方と貸方に分ける

先ほどの「損益計算書」と「貸借対照表」の構成を、まずは暗記しましょう。 そのうえで、仕訳をするときには「増えたらそのまま、減ったら逆側につける」 これを覚えておけばOKです。

例えば、資産である「現金」は、貸借対照表の左側にありましたね。 もう一度、貸借対照表を確認してみましょう↓

貸借対照表(バランスシート)

資産
現金、預金、売掛金など)
負債
(買掛金、未払金など)
資本
(元入金など)

もし取引によって現金が増えたら、「増えたらそのまま、減ったら逆側につける」にしたがって、増えた現金をそのまま機械的に左側へ記載します。もし取引によって現金が減ったら、逆の右側へ現金を記載します。

仕訳の例 - 売上高100円を現金で得た

「売上高100円を現金で得た」という例で、仕訳を見てみましょう。 現金は資産に含まれるものであり、左側に位置していましたね。 なので、現金が増えたのであれば、機械的に現金を左側につけます。 すると、現金を得た理由の「売上高」が自動的に右側にきます。

仕訳例1) 売上高100円を現金で得た

借方貸方
現金 100売上高 100

確認のため「損益計算書」も見てみると、収益である売上高の位置(右)と一致しています。

損益計算書

費用
(交通費、消耗品費など)
収益
売上高
利益

仕訳の例 - 交通費200円を現金で支払った

次に「交通費200円を現金で支払った」という取引を仕訳してみましょう。現金は資産なので、増えたら左側にくるのですが、今回は現金が減ってしまいます。 なので「増えたらそのまま、減ったら逆側につける」にしたがって、現金を機械的に右側につけます。 そして、現金が減った理由の交通費を左につけます。

仕訳例2) 交通費200円を現金で支払った

借方貸方
交通費 200現金 200

一応、損益計算書も確認してみましょう。費用である「交通費」は左に位置していますね。 「交通費という費用が増えた」ので、そのまま左の位置で合っています。

損益計算書

費用
交通費、消耗品費など)
収益
(売上高)
利益

仕訳の例(掛け売りの場合)

最後にちょっとした応用編で、掛け売りの場合です。つまり、取引発生日(売上が確定した日)と、実際にお金を支払ってもらう日付が異なる場合です。この場合は、取引発生日と実際にお金が動く日付で、原則としては計2回帳簿づけします。 >> この詳細は「発生主義」について

例3) 売上高300円を掛け売りした場合

日付借方貸方
3月15日売掛金 300売上高 300

まず、掛け売りが発生した日付で、売掛金(将来入るお金としての資産)を帳簿づけします。 売掛金は「資産」に含まれるので、増えた売掛金は左につけます。そして、売掛金の理由としての売上高は右につけます。

日付借方貸方
4月30日現金 300売掛金 300

次に、売掛金を回収する日づけで、実際に現金が増えるので左に現金をつけます。 そして、現金が増えた理由としての売掛金を右につけます。 「売掛金は、現金に化けることによって減る」わけなので、本来とは逆の右につけるのです。

ここまでおさえれば、取引の内容を借方と貸方に分ける「仕訳」については、その基本を理解したと言ってよいでしょう。 あとは実践です。実際に仕訳を行っていきながら、個別的な疑問を順番に解消していくことで、取引を借方と貸方に分ける作業がスムーズになっていきます。

>> 単式簿記と複式簿記の違い - 簡易な簿記と正規の簿記
>> 個人事業の簿記・帳簿づけに関するまとめ