「少額減価償却資産の特例」とは?仕訳方法・一括償却資産との違いなど

更新日 2021年5月18日

「少額減価償却資産の特例」とは?

「少額減価償却資産の特例」とは?

青色申告者は「取得価額30万円未満のものであれば、全額をその年の経費にできる特例」を活用することができます。 これが「少額減価償却資産の特例」です。

  • この特例を適用できるのは青色申告者のみ
  • 資産の取得価額が30万円未満なら全額その年の経費にできる
  • 1年あたりの合計限度額は300万円
  • 青色申告決算書の減価償却欄に必要事項を記載する
  • 2022年(令和4年)3月31日までの間に取得したものが対象
    (令和2年度の税制改正により、期限が延長された)

「取得価額」とは、その資産を得るために支払った合計額です。 購入の際に手数料や送料がかかったのであれば、その金額も含めたものが取得価額ということです。

なお、似たようなものに「一括償却資産」の償却がありますが、これは「20万円未満のものを3年」で均等償却する方法です。本記事の最後で、償却方法の違いを比較表にまとめています。

少額減価償却資産の帳簿づけ・仕訳例

30万円未満の少額減価償却資産を取得した場合、下記のように仕訳します。 25万円のパソコンを、現金購入した場合で記帳方法をみていきましょう。まず、購入日で以下のように仕訳します。

日時借方貸方摘要
20XX年7月1日工具器具備品 250,000現金 250,000パソコン

「工具器具備品」とは、家具や機械などを資産計上するための勘定科目です。 パソコンは器具備品の中に含まれます。 この時点では、資産として計上したに過ぎず、まだ経費にはなっていません。

工具器具備品の例

棚、デスク、ディスプレイ、コピー機、エアコン、テレビ、その他オフィス機器など

そして次に、決算日の日付で以下のように振替仕訳をします。 個人事業の決算日は原則12月31日なので、この日付で下記の帳簿づけを行いましょう。 これで、その年の減価償却費として経費計上したことになります(即時償却)。

日時借方貸方摘要
20XX年12月31日減価償却費 250,000工具器具備品 250,000パソコン 少額減価償却資産の特例により即時償却

なお、今回は「取得時にまず資産計上し、年末に経費へ振替仕訳する方法」で記帳例を紹介しましたが、取得時に「消耗品費」などの科目で経費計上する方法でも構いません。この場合はとくに、少額減価償却資産の特例を利用したことが分かるよう記帳しておきましょう。

この特例の合計限度額は300万円

この特例の合計限度額は300万円なので注意しましょう。 30万円未満のものであれば、いくらでも一括でその年の経費にできるわけではないということです。

その年の途中に新規開業した場合などで、会計期間が1年未満の年は、 300万円を12ヶ月で割って、月数をかけた金額が限度額となります。

例えば、8月1日に新規開業した場合は、年末までに5ヶ月間事業を運営することになります。 この場合の合計限度額は、下記の計算結果の通り、125万円になります。

300万円 ÷ 12ヶ月 × 5ヶ月 = 125万円

ちなみに、たとえ30万円未満の資産を購入しても、使わず放置していたものはその年の減価償却費に計上することができません。 購入してから、事業運営のために利用していることも要件のひとつです。

取得価額に応じた償却方法を整理

資産の取得価額に応じて、選択できる償却方法が異なります。 なお、取得価額が10万円未満のものは消耗品費として経費計上します。

減価償却資産一括償却資産少額減価償却資産
取得価額10万円〜10万円〜20万円10万円〜30万円
償却定額法が基本3年で均等償却全額その年で償却
合計限度額制限なし制限なし300万円
申告方法白色申告・青色申告白色申告・青色申告青色申告のみ
固定資産税対象対象外対象

「〜」は「以上〜未満」

少額減価償却資産の特例によって計上した資産も、通常の減価償却で処理する資産と同じく、固定資産税の対象となります。

固定資産税の対象から外れるのは、一括償却資産のみです。 ただ、固定資産税は免税点150万円未満であれば課されないので、 たとえば事業用資産として一般的な価格のパソコンを3〜4台もっている程度であれば、気にする必要はありません。

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