減価償却費の仕訳方法【個人事業主向け】一括償却・少額特例も解説
更新日 2026年8月18日

個人事業主の減価償却方法は3種類
個人事業主が減価償却をする方法は主に3種類あり、「取得価額」によって選択できる方法が異なります。取得価額とは、簡単に言うと購入にかかった費用のことです(本体価格だけでなく、手数料や送料なども含めた金額)。
個人事業主が減価償却する方法【比較表】
| 普通に減価償却する | 取得価額10万円以上の資産で選択できる 法定耐用年数に従って少しずつ経費にする |
|---|---|
| 一括償却資産として 3年で均等償却する |
取得価額10万〜20万円の資産で選択できる 3年間で1/3ずつ経費にできる |
| 少額減価償却資産の特例で その年に全額償却する |
取得価額10万〜40万円の資産で選択できる 全額を購入年の経費にできる(青色申告者のみ) |
原則として、10万円以上の備品などを購入したら、その資産の「法定耐用年数」に従って数年かけて経費計上していきます。しかし、40万円未満の資産については、より早く経費化することもできます。そのため、普通に減価償却をするケースは意外と少ないかもしれません。
仕訳例① 普通に減価償却する場合(定額法)
「20万円のパソコンを3月20日に購入してすぐ使い始めた」というケースを想定して解説します。
まず、購入した日付で「工具器具備品」を計上します。工具器具備品とは、パソコンなどの工具・器具を指す「資産」の勘定科目です。
購入時の仕訳例
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月20日 | 工具器具備品 200,000 | 現金 200,000 | パソコン |
工具器具備品という資産が20万円分増えて、現金20万円が減ったという仕訳ですね。すぐには経費計上できないので、いったん資産に計上しておくわけです。
そして、年末にその年の減価償却費を計算します。その年の減価償却費は、下記の計算式で算出します。(計算方法には「定額法」と「定率法」がありますが、今回は個人事業主に一般的な「定額法」の計算式で解説します)
- 減価償却費の計算方法(定額法)
- 取得価額 × 償却率 ÷ 12 × 使った月数 = その年の減価償却費
式に出てくる「償却率」は、その資産の「法定耐用年数」によって決まります。パソコンの法定耐用年数は4年なので、償却率は0.25です。また、3月に購入したので「使った月数」は3月〜12月の10ヶ月です。したがって、今回の例では下記のような計算になります。
200,000 × 0.25 ÷ 12 × 10 = 41,667円
上記の金額を、年末の決算時に「減価償却費」として経費計上するわけです。具体的には、下記のように仕訳します。
年末の仕訳例
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 2026年12月31日 | 減価償却費 41,667 | 工具器具備品 41,667 | パソコンの減価償却 |
この年は「工具器具備品」という資産の価値が41,667円分減り、「減価償却費」という経費を41,667円計上した、という仕訳です。このように、毎年少しずつ資産価値を減らし、そのぶん減価償却費として経費計上していきます。
翌年以降は、下記のように年末の仕訳だけすればOKです。(翌年からは使用期間が12ヶ月になるので、減価償却費を計算しなおしましょう)
年末の仕訳例【2年目以降】
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 2027年12月31日 | 減価償却費 50,000 | 工具器具備品 50,000 | パソコンの減価償却 |
なお、法定耐用年数の最後の年については、最後に残った月数で減価償却費を計算します。
200,000 × 0.25 ÷ 12 × 2 = 8,333円
今回の例では、最後の年の計算結果が8,333円となりました。なお、最後の年だけは「計算結果から1円差し引いた金額」を減価償却費に計上します。
年末の仕訳例【最後の年】
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 2030年12月31日 | 減価償却費 8,332 | 工具器具備品 8,332 | パソコンの減価償却 |
最終的に「工具器具備品」が1円分だけ残ることになりますが、これはそのままでOKです。この1円は「備忘価額」といって、「減価償却は終わったけどまだ所有している」ということを帳簿上で管理するために残します。(あとで資産を廃棄・売却したら、この1円も帳簿から除きます)
以上が、定額法による減価償却の流れです。パソコンの法定耐用年数は4年なので、今回の例では下記のように償却したことになります。
| 減価償却費 | 使用月数 | |
|---|---|---|
| 2026年 | 41,667 | 10ヶ月 |
| 2027年 | 50,000 | 12ヶ月 |
| 2028年 | 50,000 | 12ヶ月 |
| 2029年 | 50,000 | 12ヶ月 |
| 2030年 | 8,332 | 2ヶ月 |
ちなみに会計ソフトなら、資産の購入時に法定耐用年数と償却期間を入力するだけで、あとはもろもろ自動で計算してくれます。会計初心者が減価償却を行う際は、会計ソフトに頼っておいたほうが無難です。
>> 個人事業主におすすめの会計ソフト【比較一覧】
仕訳例② 一括償却資産として処理する場合
取得価額が10万円以上~20万円未満のものは、「一括償却資産」として処理することもできます。一括償却資産として処理する場合は、本来の法定耐用年数に関係なく「3年間」で償却できます。(青色申告者は、後述の少額減価償却資産の特例も選べます)
ここからは、15万円のパソコンを買った場合を例に解説します。まずは、購入日に「一括償却資産」を計上します。会計ソフトに「一括償却資産」という勘定科目がない場合は自作しましょう。
購入時の仕訳例
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月20日 | 一括償却資産 150,000 | 現金 150,000 | パソコン |
資産が15万円分増えて、現金が15万円減ったという仕訳ですね。ここまでは、通常の減価償却と同じ流れです。
その後、毎年の年末に1/3ずつ「減価償却費」として経費計上していきます。今回の例では3月に購入していますが、1年目の減価償却費を月割りする必要はありません。
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 2026年12月31日 | 減価償却費 50,000 | 一括償却資産 50,000 | パソコンの一括償却 |
この年の減価償却費として5万円が計上され、一括償却資産の残高が5万円減ったという仕訳です。翌年と翌々年も同じ処理をして、きっかり3年で全額償却します。通常の減価償却と違って、一括償却資産の場合は「備忘価額」の1円を残さないので注意してください。
今回の例では、パソコンの取得価額15万円を、下記のように経費計上したことになります。通常の減価償却と比べると償却期間が短いうえ、償却率や月割りの計算が不要なのでラクです。
| 減価償却費 | 使用月数 | |
|---|---|---|
| 2026年 | 50,000 | 10ヶ月 |
| 2027年 | 50,000 | 12ヶ月 |
| 2028年 | 50,000 | 12ヶ月 |
ちなみに、一括償却資産にした資産は「固定資産税」がかからない、というメリットもあります。ほか2つの方法では、購入した資産が固定資産税の対象となります。(ただ、そもそも固定資産税には「150万円」の基準があるので、普通のパソコンを1、2台もっている程度なら関係ないと思ってよいです)
仕訳例③ 少額減価償却資産の特例を使う場合
青色申告の個人事業主なら、取得価額が10万円以上〜40万円未満の資産に「少額減価償却資産の特例」を適用することもできます。この特例を適用すると、取得価額の全額をその年の必要経費にできます。簡単に言うと、面倒な減価償却が一切不要になる特例ということです。
ちなみに「取得価額10万円以上〜40万円未満」という基準は、2026年4月1日以後に取得する資産に適用されます。それ以前に取得した資産は「取得価額10万円以上〜30万円未満」が基準です。
ここからは、25万円のパソコンを例に解説します。まず、購入日に「工具器具備品」として資産を計上します。
購入時の仕訳例
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月20日 | 工具器具備品 250,000 | 現金 250,000 | パソコン |
その後、年末に取得価額の全額を「減価償却費」として必要経費に振り替えます。
年末の仕訳例
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 2026年12月31日 | 減価償却費 250,000 | 工具器具備品 250,000 | パソコン 少額減価償却資産の特例により償却 |
この特例を適用すると、25万円全額をその年の必要経費にできます。通常の減価償却のように法定耐用年数で分割したり、一括償却資産のように3年間かけて経費計上したりする必要はありません。
また、通常の減価償却とは異なり、最後に「備忘価額」の1円を残す必要もありません。上記の仕訳によって、工具器具備品の帳簿上の残高は0円になります。
【補足】10万円未満のものはどうする?
取得価額が10万円未満の備品などは、減価償却をせず、事業で使用し始めた年に全額を必要経費にできます。青色申告と白色申告のどちらでも同じです。
たとえば、8万円のパソコンを購入した場合は、下記のように仕訳します。
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 20XX年3月10日 | 消耗品費 80,000 | 普通預金 80,000 | パソコン |
10万円未満であれば、いったん資産の勘定科目(工具器具備品など)に計上する必要はありません。購入時に「消耗品費」などの勘定科目で必要経費に計上すればOKです。
ちなみに、かなりレアケースではありますが、取得価額が10万円以上でも「使用可能期間が1年未満」のものは、購入年に全額を必要経費にできる場合があります。詳しくは国税庁「減価償却のあらまし」をご確認ください。
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