消費税の計算方法【本則課税】仕入税額控除や課税売上割合の計算例
更新日 2026年9月11日

- 本則課税とは?消費税の基本的な計算方法
- ステップ① 売上にかかる消費税を集計する
- ステップ② 課税売上割合を計算する
- ステップ③ 仕入税額控除の金額を計算する
- ステップ④ 納付する消費税額を計算する
- まとめ
本則課税とは?消費税の基本的な計算方法
個人事業主の場合、消費税の納付額を計算する方法は下記の3種類です。このうち、最もベーシックな計算方法が「本則課税」です。(原則課税や一般課税と呼ばれることもあります)
消費税の計算方法
| 本則課税 | 基本的な計算方法 売上にかかる消費税から、経費で支払った消費税を引いて計算する |
|---|---|
| 簡易課税 | 課税売上が一定以下の事業者が使える計算方法 売上にかかる消費税と「みなし仕入率」を使って計算する |
| 2割特例 | インボイス登録で課税事業者になった人が使える計算方法 売上にかかる消費税の20%を納付額とする |
本則課税では、簡単に言うと「1年間に受け取った消費税」から「1年間に支払った消費税(仕入税額控除)」を差し引いて納税額を計算します。
- 本則課税の計算方法
- 売上にかかる消費税 - 仕入税額控除 = 納付する消費税額
たとえば、1年間の売上が税抜1,000万円で、仕入れなどの経費の合計額が税抜600万円だったとします。この場合、売上にかかる消費税は100万円で、経費にかかる消費税は60万円なので、差額の40万円を納付することになります。
ただし、経費にかかる消費税を全額差し引けるとは限りません。「課税売上割合」が95%未満の場合などは、必要経費にかかる消費税を全額控除せず、所定の方法で控除額を計算します。(詳しくは記事の後半で解説します)
ここからは、本則課税の基本的な計算方法を順番に解説していきます。
ステップ① 売上にかかる消費税を集計する
- 税抜経理方式の場合:帳簿上の消費税額を合計するだけでOK
- 税込経理方式の場合:売上金額から消費税額を計算する
まずは、1年間の売上にかかる消費税額を集計します。売上と消費税を分けて記帳している場合は、帳簿上の消費税額を合計するだけでOKです。一方、売上を税込金額で記帳している場合は、次のような計算で消費税額を求めます。
| 消費税率10%の場合 | 売上金額 ÷ 1.1 × 10% = 消費税額 |
|---|---|
| 消費税率8%の場合 | 売上金額 ÷ 1.08 × 8% = 消費税額 |
たとえば、1年間の売上が税込1,100万円で、すべてが10%対象なら、売上にかかる消費税は100万円です(1,100万円 ÷ 1.1 × 10% =100万円)。最終的には、この100万円から「仕入控除税額」を差し引いて、納税額を求めます。
ステップ② 課税売上割合を計算する
次は、1年間の売上における「課税売上割合」を計算します。課税売上割合が95%未満の場合は、このあとの「仕入税額控除」の計算方法が変わってきます。(課税売上割合が95%未満になるのはレアケースです)
- 課税売上割合とは
- 簡単に言うと「売上全体のうち、課税売上と免税売上が占める割合」のこと。一般的な小売業者・飲食業者・フリーランス等なら、課税売上割合はほぼ100%と考えてよい。非課税売上(住宅の家賃収入など)があると、そのぶん割合が下がる。
課税売上割合は、下記の計算式で求めます。

課税売上・免税売上・非課税売上とは、それぞれ下記のような売上を指しています。
| 課税売上 | 消費税がかかる売上 例:国内での商品販売やサービス提供による売上 |
|---|---|
| 免税売上 | 消費税が免除される売上 例:海外への商品輸出などによる売上 |
| 非課税売上 | 消費税が課されない売上 例:住宅の家賃収入、土地の売却代金、預金の受取利息 |
一般的な個人事業主やフリーランスの場合、非課税売上に該当するのは「事業用口座に振り込まれた預金利息」くらいです。ですから、基本的に課税売上割合は95%以上になると考えてOKです。
ただ、もし課税売上割合が95%未満になると、仕入税額控除の計算方法が特殊になります。詳しくはステップ③の後半で解説します。
ステップ③ 仕入税額控除の金額を計算する
本則課税の計算においては、基本的に「1年間に支払った消費税」をそのまま控除できます。税抜経理方式の場合は、帳簿上の消費税額を合計すればOKです。一方、税込経理方式の場合は、対象となる経費の合計額から、消費税額を逆算する必要があります。
1年間に支払った消費税の集計方法
- 税抜経理方式の場合:帳簿上の消費税額を合計するだけでOK
- 税込経理方式の場合:対象となる経費の合計額から逆算する
たとえば、1年間の仕入れ・経費の合計額が税込154万円で、すべて消費税率10%の取引だったら、1年間に支払った消費税額は14万円です(154万 ÷ 1.1 × 10% = 14万円)。もし消費税率8%の経費が混ざっていたら、そのぶんは分けて計算しましょう。
必要経費には、消費税がかからない金額も含まれている場合があるので注意しましょう。たとえば「従業員への給与」や「事業に関わる保険料」が含まれている場合は、その金額を差し引いてから消費税額を計算します。
ちなみに、原則として「インボイスを受け取っていない経費」については仕入税額控除を受けられません。ただし、少額の取引ならインボイスがなくても控除できる特例や、インボイス未登録の事業者からの仕入れでも一定割合を控除できる経過措置もあります。
>> インボイス制度とは?わかりやすく解説!
【例外】課税売上割合が95%未満の場合
ステップ②で計算した「課税売上割合」が95%未満の場合は、下記のどちらかの方法で仕入税額控除を計算します。
| 個別対応方式 | 経費を「課税売上のための経費(全額控除)」「非課税売上のための経費(控除なし)」「両方に関わる経費(一部控除)」に分けて計算する |
|---|---|
| 一括比例配分方式 | 経費にかかる消費税の合計額に、課税売上割合を掛けて控除額を計算する |
ちなみに、課税売上割合が95%以上でも、課税売上高が「5億円超」の場合は、上記のいずれかの方法で計算します。とはいえ、課税売上高が5億円を超える個人事業主はまずいないでしょう。
ステップ④ 納付する消費税額を計算する
最後に、ステップ①で集計した「売上にかかる消費税額」から、ステップ③で求めた「仕入税額控除」を差し引きます。
- 本則課税の計算方法
- 売上にかかる消費税 - 仕入税額控除 = 納付する消費税額
たとえば、売上にかかる消費税額が100万円、仕入税額控除の金額が14万円の場合、納付する消費税額は86万円です(100万円 - 14万円 = 86万円)。このように、本則課税では売上と仕入れ・経費にかかる消費税をもとに、納付額を計算します。
本記事で紹介したのは、地方消費税を含めた計算例です。実際の申告では、消費税と地方消費税を分けて計算し、所定の端数処理を行います。中間納付をしている場合は、その金額も差し引いて精算します。
まとめ
本則課税では、売上にかかる消費税額から、仕入れや経費にかかる消費税のうち控除できる金額を差し引いて、納付額を求めます。
本則課税の計算方法【4ステップ】
- 売上にかかる消費税を集計する
- 課税売上割合を計算する
- 仕入税額控除の金額を計算する
- 売上にかかる消費税額から仕入税額控除を差し引く
仕入税額控除の金額は、インボイスの保存状況や課税売上割合などによって変わります。支払った消費税を、すべてそのまま差し引けるとは限らない点を押さえておきましょう。
なお、一定の条件を満たす事業者は、実際の仕入れ・経費の金額を使わずに計算する「簡易課税制度」も選択できます。利用条件や本則課税との違いについては、下記の解説記事をご覧ください。
>> 簡易課税制度とは?条件やデメリットを解説
>> 取引の消費税区分とは?課税・免税・非課税・不課税の違い
>> 税金を納付したときの仕訳方法まとめ【勘定科目】