【課税・免税・非課税・不課税】の違い - 消費税の課税区分
更新日 2024年7月27日
消費税の税区分は、ひとつひとつの取引における消費税の扱いを示すものです。 この税区分には、課税・免税・非課税・不課税の4つがあります。
消費税の「免税事業者」と「課税事業者」
まず前提として、消費税の「免税事業者」と「課税事業者」についておさえておきましょう。 免税事業者とは、簡単にいうと消費税を納めなくてもよい事業者のことです。 課税事業者は、消費税を納める必要がある事業者を指します。
免税事業者 | 課税事業者 |
---|---|
消費税を納める必要なし | 消費税を納める必要あり |
基本的に、開業してから2年間は免税事業者でいられます。免税事業者の場合、売上と一緒に預かった消費税を税務署へ納付する必要はありません。預かった消費税は、そのまま事業主の収入になります。
どういう事業者が「免税事業者」?
開業してからしばらく年を重ねていても、前々年の課税売上高が1,000万円以下であれば、そのまま免税事業者でいられます。 「売上が少ない事業者は、ずーっと免税事業者でいられる」というわけです。
ちなみに、前々年の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間(個人事業の場合、前年の1月1日〜6月30日)の課税売上高が1,000万円を超え、なおかつ、この期間の給与等の支払い金額も1,000万円を超えた場合には課税事業者となります。 >> 詳細は「免税事業者と課税事業者について」
これ以降で説明する税区分について、厳密に区別する必要があるのは「課税事業者」です。 課税事業者の場合は、消費税の申告書を作成するためにしっかり区分して帳簿づけします。 免税事業者の場合は、そこまで厳密に気にしなくて構いません。将来的に課税事業者になりそうな方は、シミュレーションもかねて、税区分について考えておきましょう。
課税・免税・非課税・不課税の違い
消費税が課される取引を「課税取引」と呼びます。 それ以外の取引で、消費税は生じません。消費税が生じない取引の税区分を分けると「免税」「非課税」「不課税」の3つになります。
取引区分 | 内容 |
---|---|
課税 | 国内で事業の対価を得て行う取引など |
免税 | 課税取引だが、納税しなくてよい(0%課税の)取引 例)商品の輸出、国際輸送、免税店での取引など 仕入れのために払った消費税額が控除できる |
非課税 | 対価を得て行う取引などでも、
課税対象になじまない取引 例)土地の譲渡や郵便切手の譲渡など 国税庁 - 非課税となる取引 仕入れのために払った消費税額が控除できない |
不課税 | 課税されない取引 例)国外取引、従業員への給与、対価を得ない寄付や贈与など 「課税売上割合」の分母にも分子にも入らない(詳細↓) |
要するに「課税」以外は、消費税がかからないわけです。 かといって、課税されない取引をテキトーに区分してはいけません。 「課税売上割合」の計算に関わるので、特に売上の消費税区分は正しく分けて計上する必要があります。
簡易課税制度について - 課税事業者向けの情報
納付する消費税の計算方法について、前々年の課税売上高が5,000万円以下の課税事業者には「簡易課税制度」を利用するか・しないか、という選択肢がまずあります。これは制度を適用すれば、消費税の計算を簡単にすませることができます。
「簡易課税制度」を選択しない場合には、通常の計算方法(原則課税方式)で消費税を扱います。
原則課税方式では、上述の「課税売上割合」が95%以上か95%未満かによって、計算が異なります。
>> 課税売上割合についての詳細はこちら
消費税計算の基本 - 課税事業者向けの情報
「簡易課税制度」を利用しない場合、納付する消費税は以下の計算式でもとめるのが基本です。 売上などで受け取った消費税から、仕入れや経費で支払った消費税を差し引いて、納付する消費税をもとめます。 これを「原則課税方式」と呼びます。
- 消費税計算の基本
- 受け取った消費税 − 支払った消費税 = 納付する消費税
「簡易課税制度」を適用すれば、以下の計算で納付する消費税をもとめます。 簡易課税制度においては、実際に仕入れや経費で支払った消費税を考慮する必要がありません。
- 簡易課税の消費税計算
- 受け取った消費税 - (受け取った消費税 × みなし仕入率)= 納付する消費税
「簡易課税制度」を適用するかしないか、どちらで計算したほうが納税者の得になるかは、ケースバイケースです。 たとえば、コンサルタントやデザイナーなど、仕入れがない商売であれば、簡易課税制度を選択すると有利になるケースが多いです。
また「課税売上割合」によっても計算方法が異なります。消費税の計算についての詳細は、以下のページを参考にして下さい。 >> 納付する消費税の計算方法について
>> 必要経費の消費税区分 一覧表
>> 簡易課税制度を選択するメリット・デメリット
>> 税金の仕訳方法まとめ - 経費にできる税金とできない税金
>> 消費税の課税事業者になったら何をする?