簡易課税制度の計算方法をわかりやすく!複数事業の75%特例も解説

更新日 2026年9月08日

簡易課税制度の計算方法をわかりやすく!複数事業の75%特例も解説

簡易課税制度の計算方法【基本】

通常、消費税の納税額は「1年間の売上にかかる消費税額」から「1年間の仕入れ等にかかる消費税額(仕入税額控除)」を差し引いて計算します。しかし、簡易課税制度の計算では、1年間の売上にかかる消費税額に「みなし仕入率」を掛けた金額を、仕入控除税額として計算します。

簡易課税制度の計算方法
売上にかかる消費税 × みなし仕入率 = 仕入控除税額
売上にかかる消費税 - 仕入控除税額 = 納付する消費税額

たとえば、飲食店を営んでいて、1年間の売上にかかる消費税(売上と一緒に受け取った消費税)が100万円だったとします。飲食店業の場合、みなし仕入率は60%なので、下記のように計算します。

100万円 × 60% = 60万円
100万円 - 60万円 = 40万円

この場合は、消費税申告によって税務署に40万円を納めるわけです。なお、みなし仕入率は、事業の内容に応じて下記のように定められています。

みなし仕入率の事業区分【一覧】

主な事業みなし仕入率
第1種卸売業90%
第2種小売業、農家や漁業者による食品の販売など80%
第3種製造業、建設業、農業、漁業など70%
第4種飲食店業など60%
第5種サービス業、運輸通信業、金融業など50%
第6種不動産業40%

>> 簡易課税制度の事業区分をわかりやすく!

簡易課税制度の計算方法【複数種類の売上がある場合】

原則として、複数の事業区分で売上がある場合は、区分ごとにそれぞれのみなし仕入率を使って計算します。計算式に表すとしたら下記のとおりです。

複数種類の売上がある場合の計算式
第1種の売上にかかる消費税 × 90% = 仕入控除税額
第2種の売上にかかる消費税 × 80% = 仕入控除税額
第3種の売上にかかる消費税 × 70% = 仕入控除税額
第4種の売上にかかる消費税 × 60% = 仕入控除税額
第5種の売上にかかる消費税 × 50% = 仕入控除税額
第6種の売上にかかる消費税 × 40% = 仕入控除税額

売上にかかる消費税の合計 - 仕入控除税額の合計 = 納付する消費税

たとえば、美容院の売上にかかる消費税が次のように分かれていたとします。

  • 施術の売上にかかる消費税:80万円(第5種)
  • 仕入れたシャンプーの売上にかかる消費税:20万円(第2種)

まずは、それぞれの仕入控除税額を計算します。

施術:80万円 × 50% = 40万円
シャンプー販売:20万円 × 80% = 16万円

仕入控除税額の合計は56万円です。売上にかかる消費税の合計は100万円なので、納付する消費税額は次のようになります。

100万円 - 56万円 = 44万円

この場合は、消費税申告によって44万円を納めるということです。このように、複数の事業区分に該当する売上がある場合は、それぞれの売上を分けてから仕入控除税額を計算します。

特例① 複数の売上のうち1種類が75%以上を占める場合

複数の事業区分で売上がある場合でも、そのうち1種類の課税売上高が全体の75%以上を占めていれば、その事業のみなし仕入率をすべての課税売上に適用できます。

たとえば、自転車店の売上が税込2,200万円(税抜売上2,000万円+消費税200万円)で、内訳が次のように分かれていたとします。

  • 自転車の販売による税抜売上:1,600万円(第2種)
  • 自転車の修理による税抜売上:400万円(第5種)

自転車販売の売上が全体の75%以上を占めているため、修理による売上にも第2種事業のみなし仕入率を適用できます。(第2種事業のみなし仕入率は80%)

200万円 × 80% = 仕入控除税額160万円
200万円 - 160万円 = 納付する消費税額40万円

この例では、特例を利用することで納付税額を12万円抑えられます(通常どおり事業区分ごとに計算した場合の納付額は52万円)。ただし、この特例が必ず有利になるわけではありません。通常の区分別計算と比較してから計算方法を選びましょう。

特例② 3種類以上の売上のうち2種類が75%以上を占める場合

3種類以上の事業区分で売上があり、そのうち特定の2種類の課税売上高が合計75%以上を占める場合は、2種類のみなし仕入率を使って計算できる特例があります。

たとえば、自転車店の売上が税込2,200万円(税抜売上2,000万円+消費税200万円)で、内訳が次のように分かれていたとします。

  • 自転車店への卸売による税抜売上:1,200万円(第1種・全体の60%)
  • 一般消費者への販売による税抜売上:500万円(第2種・全体の25%)
  • 自転車の修理工賃による税抜売上:300万円(第5種・全体の15%)

第1種と第2種の売上を合計すると全体の85%になるので、この例では特例計算ができます。

この例で特例を使う場合、「第1種の売上にかかる消費税」には本来のみなし仕入率(90%)を適用し、それ以外の売上にかかる消費税には第2種のみなし仕入率(80%)を適用します。

(120万円 × 90%) + (80万円 × 80%) = 仕入控除税額172万円
200万円 - 172万円 = 納付税額28万円

通常どおり事業区分ごとに計算した場合の納付額は37万円ですが、特例を利用した場合は28万円になります。この例では、特例を利用することで納付額を9万円抑えられます。

簡易課税の計算方法に関する注意点

売上を事業区分ごとに記録する

複数の事業区分に該当する売上がある場合は、それぞれの内訳が分かるように記録しておきましょう。申告時に事業区分を判別できない売上には、その売上に含まれる事業のうち、最も低いみなし仕入率が適用されます。

返品や値引きを計算に反映する

売上商品の返品や値引き、割戻しなどがあった場合は、それらに対応する消費税額を調整する必要があります。また、売掛金が貸倒れになった場合や、以前に貸倒れとして処理した代金を回収した場合にも、別途調整が必要です。

複数の事業区分で売上がある場合、貸倒回収額があるときや、返品・値引きに対応する消費税額を各事業区分の売上税額から控除しきれないときは、本記事で紹介した簡便な計算式を使えない場合があります。このような場合は、国税庁の申告書作成コーナーや税務署などで計算方法を確認しましょう。

実際の申告では地方消費税も計算する

ここまで紹介した計算例は、簡易課税の仕組みを理解するために簡略化しています。実際の申告では、まず国税である消費税額を求め、その金額をもとに地方消費税額を計算します。最終的には、消費税と地方消費税の合計額を納付します。

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