簡易課税制度の計算方法を分かりやすく - 消費税の計算

PR

更新日 2020年6月22日

簡易課税制度での計算方法

1種類の事業を営む場合

運営している事業が1種類だけの場合は、最も計算が簡単です。 この場合は「受け取った消費税 × みなし仕入率」が「仕入控除税額」となります。 (仕入控除税額とは、消費税を計算する時に、受け取った消費税額から差し引く税額のこと。)

簡易課税制度での最も基本的な計算方法
受け取った消費税 − (受け取った消費税 × みなし仕入率)= 納付する消費税額

業種とみなし仕入率(2019年10月1日〜)

業種みなし仕入率
第一種事業(卸売業)90%
第二種事業(小売業、食用品を扱う農林水産業)80%
第三種事業(鉱業、建設業、製造業、食用品を扱わない農林水産業)70%
第四種事業(料理飲食業など)60%
第五種事業(金融業、保険業、運輸業、通信業、サービス業)50%
第六種事業(不動産業)40%

簡易課税制度 - 国税庁

2種類以上の事業を営む場合

2種類以上の事業を営む場合でも、1業種の課税売上が75%以上を占める場合は、その事業のみなし仕入率で計算してOKです。そうでない場合の仕入控除税額の計算方法は、以下のように行います。下記は「簡便法」による計算です。

2種類以上の事業を営む場合【簡便法】
第1種事業の消費税 × 90% + 第2種事業の消費税 × 80% + 第3種事業の消費税 × 70% + 第4種事業の消費税 × 60% + 第5種事業の消費税 × 50% = 仕入控除税額

受け取った消費税 − 仕入控除税額 = 納付する消費税

ただし、以下のいずれかに当てはまる場合は、上記の「簡便法」で計算できません。 「原則法」という面倒な計算方法になります。 >> 2 仕入控除税額の計算 - 国税庁

  • 貸倒回収額がある場合
  • 売上対価の返還等がある場合で、各種事業にかかる消費税額からそれぞれの事業の売上対価の返還等にかかる消費税額を控除して控除しきれない場合

3種類以上の事業を営む場合

3種類の事業を営んでいる場合でも、特定の2種類で課税売上75%を占める場合は、 その2種類のうち、みなし仕入率の高い事業に関わる売上は、そのみなし仕入率を適用します。 それ以外は、その2種類のうち、低いほうの仕入率をその事業以外の課税売上に適用できます。

計算式にすると、以下のようになります。

3種類以上の事業を営む場合の計算例(簡便法)
第1種事業の消費税 × 90% + (課税売上全体の消費税 − 第1種事業の消費税)×80% = 仕入控除税額

受け取った消費税 − 仕入控除税額 = 納付する消費税

ただし、以下のいずれかに当てはまる場合は、上記の「簡便法」で計算できません。 「原則法」という面倒な計算方法になります。 >> 2 仕入控除税額の計算 - 国税庁

  • 貸倒回収額がある場合
  • 売上対価の返還等がある場合で、各種事業にかかる消費税額からそれぞれの事業の売上対価の返還等にかかる消費税額を控除して控除しきれない場合

ちなみに、課税売上を事業ごとにちゃんと区分していない場合には、 その区分していない事業のうち一番低いみなし仕入率を適用しなければいけません。

>> 簡易課税制度のおさらい - メリットとデメリット
>> 消費税の計算方法について
>> 課税・免税・非課税・不課税の違いについて