「専従者控除・専従者給与」と「配偶者控除・扶養控除」

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更新日 2021年2月09日

専従者になると受けられなくなる配偶者控除や扶養控除

配偶者や扶養親族が、事業の専従者として給与をもらう場合、 事業主はその人についての配偶者控除や扶養控除が受けられなくなります。 こういった控除の対象になる親族には「専従者ではないこと」という要件があるからです。

専従者(せんじゅうしゃ)とは?
専従者とは、かんたんにいうと事業を手伝ってくれる家族や親族のこと。 いくつかの要件を満たせば専従者として認められる。 たとえば事業主の妻が青色事業専従者として認められると、妻への給料が経費計上できるようになる。 >> 専従者についての詳細

「専従者ではないこと」という要件がある

冒頭で述べた通り、事業主であるあなたの配偶者や扶養親族が「専従者」として給料をもらうようになると、あなたはその人についての「配偶者控除」や「扶養控除」を受けることができなくなります。

この両方に共通する要件のひとつに「青色申告専従者 or 白色専従者ではないこと」というものがあるからです(正確には「青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと。」あるいは「白色申告者の事業専従者でないこと」)。

ちなみに青色申告専従者の場合は「青色事業専従者給与に関する届出書」を出したとしても、 その年に専従者へ給与の支払いが1円もなければ、配偶者控除などを受けることもできます。

配偶者控除・扶養控除を受けるための要件をおさらい

配偶者控除」と「扶養控除」の対象になる人の要件をおさらいしておきましょう。 これらの控除を受けるためには、それぞれ下記の要件をすべて満たしている必要があります。 この中に先述の「青色申告専従者 or 白色専従者ではない」という要件が含まれています。

控除対象になる配偶者・扶養親族の要件

配偶者の要件扶養親族の要件
  • 配偶者(夫または妻)
  • 納税者と生計を一緒にしている
  • 年間合計所得が48万円以下
    (給与収入のみの場合は103万円以下)
  • 青色申告専従者 or 白色専従者ではない
  • 配偶者以外の親族
  • 納税者と生計を一緒にしている
  • 年間合計所得が48万円以下
    (給与収入のみの場合は103万円以下)
  • 青色申告専従者 or 白色専従者ではない
  • その年の12月31日時点で16歳以上

なお「配偶者特別控除」も配偶者控除と同様で、控除対象配偶者の要件に「青色申告専従者もしくは白色専従者ではない」というものがあります。

専従者控除・専従者給与・扶養控除・配偶者控除を比較

白色申告では、専従者控除として最高86万円を控除できます。青色申告の場合は、専従者への給与を「専従者給与」として経費にできます。控除とまとめて比較すると、下記の通りです。

白色の専従者控除配偶者であれば最高86万円控除
配偶者でなければ専従者一人につき最高50万円控除
青色の専従者給与専従者への給与を全額経費にできる(上限はないが、労務の対価として相当であると認められる金額であること)
配偶者控除控除額は0円・13万円・26万円・38万円の4段階
納税者の所得に応じて異なる
扶養控除控除額は38万円・48万円・58万円・63万円の4段階
扶養親族の年齢や状況によって異なる

白色申告の場合は、専従者への給与を経費にはできませんが、 確定申告の際に、定められた方法で控除することができます(最大86万円)。 こちらは事前に届け出をする必要はありません。
>> 白色申告の専従者控除 - 計算例や要件など

青色申告の場合は、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署へ出していれば専従者への給与を経費にすることができます。 この届け出に、専従者が行う職務の内容、給与の金額、支給期などを記載することになっています。
>> 専従者給与とは?青色事業専従者としての要件など