専従者給与とは?青色事業専従者としての条件など
更新日 2024年7月31日
個人事業主の事業を手伝ってくれる家族・親族で、一定の要件を満たしている人を「専従者(せんじゅうしゃ)」と呼びます。本記事では、この専従者への給料である「専従者給与」についてまとめています。
青色申告の「専従者給与」とは?
家族従業員のことを、正確には「専従者」と呼びます。「専従者給与」とは、専従者への給与のことです。 個人事業主の仕事を手伝ってくれている家族・親族への給料です。
青色申告の場合は、この専従者への給与が必要経費として計上できます。 従業員への給与は「給料賃金」、専従者への給与は「専従者給与」の勘定科目で仕訳します。
後述しますが、白色申告では、青色申告と同じように専従者への給与を経費にできません。 そのかわり、事業所得などに応じて一定額までであれば、経費とみなすことができます。
白色申告(専従者控除) | 青色申告(専従者給与) |
---|---|
独自の計算式でもとめる金額を経費とみなす (上限あり) | 専従者への給与を経費にできる |
古い会計ソフトでは、消費税区分を個別に選択する必要があります。 専従者給与の消費税区分は「不課税」です。ただし、通勤手当のみ消費税を「課税」で処理します。
青色事業専従者の要件で大事なポイント
あなたの個人事業を手伝ってくれている家族・親族が「青色事業専従者」であると認められるためには、下記の要件を全て満たしている必要があります。
青色事業専従者の要件
- 青色申告者と生計を一にする配偶者などの親族
- その年の12月31日時点で年齢が15歳以上であること
- 青色申告者の営む事業にもっぱら従事していること
その親族が、同じ家に住んで、生計を共にしている必要があります。 もしくは別居していても、生活費などを一緒にしている必要があります。
ここでいう「もっぱら従事」というのは、その年の半年よりも多く事業に従事しているということです。 もしくは、「従事できる期間のうちの半分よりも多く」働いている必要があります。
例えば、息子が学校を卒業して4月から事業を手伝い始めた場合には、 「4月~12月までの期間のうち、半分よりも多い期間」働いていることが必要です。 (「半分以上」は半分を含みますが、「半分よりも多く」は半分を含みません)
また「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄の税務署長に提出していることも、専従者給与の計上が認められるための要件です。 (原則的な提出期限は、青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日まで) >> 専従者給与と専従者控除 - 国税庁
白色申告の場合は専従者控除
青色申告の場合は、専従者への給与を「専従者給与」として経費にできます。 しかし、白色申告の場合は「専従者給与」として経費にすることができず、 独自の計算式で算出する金額(上限あり)を、控除する(経費としてみなす)扱いになります。
白色申告の場合、下記の計算式によって「事業専従者控除額」をもとめます。 この控除額を確定申告時に控除することができます。ただ、この控除額には上限があります。 事業専従者が事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者一人につき50万円です。
- 事業専従者控除額の計算
- 事業所得等 ÷ (専従者の数 + 1) = 事業専従者控除額
ちなみに、国税庁の表現では「この控除をする前の事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額」
下記の2つが、「白色事業専従者控除」を受けるための要件です。 どちらも、当たり前といえば当たり前のことです。 白色申告で提出する「収支内訳書」と「確定申告書B」に、この控除に関する記入欄があります。
- 専従者がいること
- 確定申告書類で、控除に必要な箇所を記入すること
専従者給与の仕訳方法について
上述の通り、青色申告では専従者給与を経費にできます。 青色申告の場合は、専従者給与を下記のように仕訳します。 勘定科目が「給料賃金」ではなく「専従者給与」になるだけで、あとは一般の従業員へ給与を払うときと同様の仕訳です。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
20XX年5月20日 | 専従者給与 300,000 | 普通預金 250,000 | 4月分 専従者給与 |
預り金 50,000 | 源泉所得税など |
※簡易的に表した仕訳
ここでいう「預り金」とは、従業員や専従者へ給与を支払う際に差し引いておく「源泉所得税」や「社会保険料」のことです。 源泉徴収の詳細は「個人事業主が従業員へ給与を払う時の源泉徴収」、 預り金についての詳細は「給料賃金の仕訳方法・仕訳例」をご参照下さい。
一方、白色申告の場合には専従者給与が経費にできません。 白色申告の場合で、専従者へ支払った給与を帳簿づけしておく場合には、 「事業主貸」の勘定科目を用いましょう。
>> 個人事業主・従業員・専従者 - それぞれの給与の仕訳方法
>> 専従者控除・専従者給与と配偶者控除・扶養控除
>> 個人事業で使う必要経費の種類一覧へ
>> 青色申告決算書の書き方(専従者給与の記入欄もあり)