法定三帳簿の概要 - 個人事業主が行う労務管理
更新日 2020年5月08日

原則として、労働者を1人でも雇ったら「法定三帳簿」を作成して労務管理を行うことになっています。法定三帳簿とは「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿等」の3つを指し、労働者の個人情報や勤怠・給与などの状況を記録します。
「法定三帳簿」とは?
「法定三帳簿」とは、「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿等」の3つのこと。労働者を1人でも雇ったら、これらを作成して適切に労務管理を行うことが事業主の義務となります。基本的に提出は不要ですが、それぞれ一定期間の保存が義務づけられています。
労働者名簿 | 労働者の氏名や生年月日などといった個人情報を記録する帳簿 |
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賃金台帳 | 労働者の労働時間や給与の支給額などを記録する帳簿 |
出勤簿等 | 各日の労働時間や休憩時間を記録したタイムカードなど |
必要な情報をすぐに印刷できる状態にしてあれば、電子的に保存することが認められています。要件に沿った帳簿を作成することができる「マネーフォワード クラウド給与」や「人事労務 freee
」を利用している事業者は、紙の状態で保存しておく必要はありません。
ちなみに、厚生労働省のホームページで各帳簿の雛形をダウンロードすることもできます。必要事項が記録されていれば、帳簿の形式は自作でも問題ありません。
「法定三帳簿」は事業所ごとにつくる
「法定三帳簿」は事業所ごとに作成する必要があります。複数の店舗を経営している場合などは、それぞれの店舗で別々に帳簿を用意しましょう。
帳簿その①「労働者名簿」
「労働者名簿」は、労働者の個人情報などを記録する帳簿です。労働者1人につき1部を作成します。記載が必要な事項は、以下のとおりです。
厚生労働省の雛形 | 記載が必要な事項 |
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厚生労働省の雛形PDFはこちら
「労働者名簿」は、労働者の退職日から3年間の保存が義務づけられています。なお、履歴書などを「労働者名簿」の代用とすることはできません。
帳簿その②「賃金台帳」
「賃金台帳」は、労働者の労働時間と、給与や控除の金額を記録する帳簿です。毎月の給与明細を1枚にまとめたようなイメージで、基本的に労働者1人につき1部を作成します。記載が必要な事項は、以下のとおりです。
厚生労働省の雛形 | 記載が必要な事項 |
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厚生労働省の雛形PDFはこちら
「賃金台帳」は、該当の労働者へ最後に賃金を支払ってから3年間の保存が義務づけられています。なお、給与明細などを「給与台帳」の代用とすることはできません。
帳簿その③「出勤簿等」
「出勤簿等」とは、労働者の労働時間を客観的に証明できる記録のことを指します。労働者の出勤日や始業・終業時間などが適正に記録されていれば、タイムカードや勤怠管理ソフトのデータのままでも問題ありません。あくまで「賃金台帳」を補助する役割です。
大切なのは「事業主が労働者の労働時間を正しく把握できているか」ということです。そのため「出勤簿等」に関しては、雛形なども用意されていません。勤怠管理の様式が、すでに以下のような条件を全て満たしていれば、別途で書類などを作成しなくてOKです。
- 始業、終業時刻が記録されていること
- 残業時間に関しても正しく記録されていること
- 労働者と事業主の両者による確認がされていること
「出勤簿等」は、該当の労働者が最後に出勤した日から3年間の保存が義務づけられています。
まとめ - 「法定三帳簿」の内容と保存期間
「法定三帳簿」とは、「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿等」の3つを合わせた総称です。労働者を1人でも雇ったら、これらの作成が義務になります。基本的に提出は不要ですが、それぞれ一定期間の保存が必要になります。
記載内容 | 保存期間 | |
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労働者名簿 | 労働者の個人情報 | 労働者の退職日から3年間 |
賃金台帳 | 労働時間と給与額など | 最後の賃金支払いから3年間 |
出勤簿等 | 具体的な労働時間の記録 | 最後の出勤から3年間 |
「労働者名簿」と「賃金台帳」は、厚生労働省のホームページから雛形をダウンロードできます。必要事項が記載されていれば、自作の様式でも問題ありません。
必要な情報をすぐに印刷できる状態にしてあれば、データの保存することが認められています。規定に沿った労働者名簿や賃金台帳が作成できる「マネーフォワード クラウド給与」や「人事労務 freee
」などのソフトを利用している場合は、紙で保存しておく必要はありません。