3種類の青色申告を比較!

3種類の青色申告
最終更新日:2017年(平成29年)2月17日

平成16年度の改正で、複式簿記の控除額が55万円から65万円になりました。
加えて、簡易簿記に損益計算書などを添付する方法の45万円控除がなくなりました。
現在の青色申告は、簡易簿記(10万円控除)、現金式簡易簿記(10万円控除)、複式簿記(65万円控除)の3種類となっています。

3種類の青色申告を比較

簡易簿記現金式簡易簿記複式簿記
控除額10万円控除10万円控除65万円控除
記帳方法発生主義現金主義発生主義
申請書青色申告承認申請書青色申告承認申請書(兼)現金主義の所得計算による旨の届出書青色申告承認申請書
所得条件とくになし前々年度の所得が300万以下であることとくになし
申告期限期限後申告も可期限後申告も可期限内の申告厳守
確定申告書類
  • 確定申告書B
  • 青色申告決算書(一般用)
ただし、貸借対照表は作成しなくてよい(詳細は後述)
  • 確定申告書B
  • 青色申告決算書(現金主義用)
  • 確定申告書B
  • 青色申告決算書(一般用)
帳簿
  • 現金出納帳
  • 売掛帳
  • 買掛帳
  • 固定資産台帳
  • 経費帳

(標準簡易帳簿)

現金出納帳のみ。
(現金以外の取引がある場合はその帳簿も必要)
  • 総勘定元帳
  • 仕訳帳
さらに、必要に応じて以下の帳簿
  • 現金出納帳
  • 預金出納帳
  • 買掛帳
  • 売掛帳
  • 固定資産台帳
  • 給与台帳など

控除額

控除額は、簡易簿記と現金式簡易簿記が10万円控除、
複式簿記(いわゆる正規の簿記)が65万円控除となっています。
このため、青色申告を大別すると2種類と解説しているところもあります。

記帳方法

白色申告も青色申告も、基本的には発生主義による記帳が義務づけられています。
現金主義で記帳したい場合には、青色申告で現金式簡易簿記の申請を出す必要があります。
>> 現金主義と発生主義の違い

申請書

通常は「所得税の青色申告承認申請書」と呼ばれる申請書を提出します。
現金式簡易簿記の場合のみ「所得税の青色申告承認申請書(兼)現金主義の所得計算による旨の届出書」を提出します。
これらの申請書は1度だせばOKで、申告のたびに出す必要はありません。
申請書には提出期限があるので注意して下さい。
>> 青色申告承認申請書の提出期限について

所得の条件

現金式簡易簿記を採用する場合にだけ、所得条件があります。
前々年度の不動産所得と事業所得の合計が、300万円以下の小規模事業者であるという条件です。 (所得 = 売上 − 経費)

申告期限

青色申告で65万円控除を受けるためには、期限内に必ず確定申告する必要があります。
その年の確定申告期限に遅れると65万円控除を受ける事が出来ません。
10万円控除は、期限後申告でも受けることができます。
>> 確定申告期間について

確定申告で提出する書類

青色の確定申告で提出する書類は、青色申告決算書と確定申告書Bです。

青色申告決算書については、簡易簿記と複式簿記の場合は「所得税の青色申告決算書(一般用)」を使用します。これは合計4ページで構成されている決算書です。

ページ1ページ2ページ3ページ4
所得税青色申告決算書1ページ目 所得税青色申告決算書2ページ目 所得税青色申告決算書3ページ目 所得税青色申告決算書4ページ目

簡易簿記の場合には、4ページ目の貸借対照表は空欄で構いません。農業を営んでいる場合、あるいは不動産を営んでいる場合には、一般用とは別に専用の決算書が用意されています。

現金式簡易簿記は、専用の「所得税の青色申告決算書(現金主義用)」が用意されているので、
その用紙を使って確定申告します。この場合、決算書は計2ページのみとなります。

以上が、青色申告決算書についてです。「確定申告書B」は、どの方法でも共通のものを使用します。必要な添付書類があれば、添付書類台紙に貼って提出します。

帳簿

基本的には上記の表の通りですが、事業に関係しない帳簿を作る必要はありません。
例えば、掛け売りすることがなければ売掛帳を作る必要はありません。
>> 青色申告で65万円控除を受けるために必要な帳簿の種類について

10万円控除と65万円控除で比較する所得税の納税額

10万円控除と65万円控除では、実際の納税額にどのくらいの差が出るのでしょうか?
同じ条件で所得税額の比較をしてみましょう。

売上600万円 経費300万円 その他の控除50万円の場合で見てみましょう。
所得税の金額は、以下の計算式で算出します。
この計算式に今回のケースの数字を当てはめていきます。

所得税の計算方法
収入 − 必要経費 − 各種控除 = 課税所得金額
課税所得金額 × 税率 − 課税控除額 = 所得税額
詳細は>> 所得税の計算方法や税率・控除

課税所得金額に応じて、税率と課税控除額が異なります。(以下の簡易表を参照)

課税所得金額税率課税控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え 330万円以下10%97,500円
330万円を超え 695万円以下20%427,500円
695万円を超え 900万円以下23%636,000円
900万円を超え 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え 4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

(平成27年分以降の所得税率)

10万円控除の場合の所得税額

600万円 − 250万円 − 50万円 − 10万円 = 290万円
290万円 × 10% − 97,500 = 192,500円(納付する所得税)

65万円控除の場合の所得税額

600万円 − 250万円 − 50万円 − 65万円 = 235万円
235万円 × 10% − 97,500 = 137,500円(納付する所得税)

10万円控除がある場合の所得税額は、192,500円になりました。
一方、65万円控除がある場合の所得税額は、137,500円になりました。
この場合の差額は、55,000円になります。

今回紹介した例の場合、
10万円控除ではなく65万円控除を選択すれば、55,000円の節税になるということです。

平成25年から平成49年までの間は、
これに加えて2.1%の復興特別所得税が加算されます。
(所得税の100円未満を切り捨てしたものに2.1%をかける)

ちなみに、現金主義と発生主義では売上や経費を記帳するタイミングがずれるので、
必ずしも同じような結果にはなりません。

>> 白色申告・青色申告10万円控除・65万円控除の納税額の違い
>> 青色申告対応 - 個人事業用の会計ソフト