個人事業主の確定申告の流れ【帳簿付け〜税金の納付】

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更新日 2023年12月01日

確定申告の流れ・税金納付時期まとめ - 初めての確定申告

確定申告の流れ

確定申告では、1年間の収入や必要経費を集計して、それをもとに所得税の納税額を算出します。個人事業主の場合は、日頃の「帳簿付け」から最終的な「所得税の納付」までを、確定申告に関わる一連のサイクルと考えましょう。

確定申告の流れ【個人事業主】

個人事業主の確定申告の流れ【帳簿付けから税金の納付まで】
① 帳簿付け 日々の収入や必要経費を帳簿に記録していく
・帳簿付けは、手書きでもパソコン作成でもOK
・白色申告 or 青色申告で帳簿付けのルールが異なる
② 申告書類の作成 1年分の記帳内容を集計して、確定申告書類を作成する
・個人事業主は主に「決算書」と「確定申告書」を作る
・作り方は自由だが、会計ソフト等を利用するのがラク
③ 申告書類の提出 2/16~3/15の間に、作成した確定申告書類を提出する
・提出方法は「直接持参・郵送・e-Tax」の3種類
・帳簿や領収書は提出せず、7年間保管しておこう
④ 所得税の納付 3/15までに、確定申告書類で算出した所得税額を納める
・窓口納付の他に、振替納税やクレカ納付も選べる
・納めた所得税は必要経費にできない

個人事業主の確定申告は「白色申告・青色申告」の2種類です。全体の流れはどちらも変わりませんが、実務的に異なる点もあります。例えば、白色申告の帳簿はお小遣い帳レベルのものでOKですが、青色申告で65万円控除を受けるには複式簿記の知識が必要です。

>> 白色申告と青色申告の違いをおさらい

① 帳簿付け

個人事業主の確定申告の流れ(帳簿付け)

個人事業主の確定申告では、1年間に帳簿付けした内容をもとに申告書類を作成します。つまり、日々の売上や必要経費をキチンと記帳しておくことが、確定申告の第一歩です。

帳簿付けの基本的なルール【おさらい】

白色申告 青色申告
10万控除 55万・65万控除
記帳方式 単式簿記 単式簿記 複式簿記
主な帳簿 ・収入に関する帳簿
・必要経費に関する帳簿
※1つにまとめてもOK
・現金 (預金) 出納帳
・売掛帳、買掛帳
・経費帳
・固定資産台帳
・仕訳帳
・総勘定元帳
・現金 (預金) 出納帳
・売掛帳、買掛帳
・経費帳
・固定資産台帳

>> 単式簿記と複式簿記の違い

青色申告の場合は、青色申告特別控除の額によって帳簿付けのルールが異なります。55万円 or 65万円の控除を狙うなら、複式簿記の帳簿「仕訳帳」と「総勘定元帳」を作成する必要があります。
>> 青色申告の記帳方法はひとつじゃない?

【実務上の注意点】年末の取引はいつ記帳する?

たとえば「12月3日」にクレカで備品を購入して、その代金が「翌年1月27日」に口座から引き落とされるとします。このような場合は、原則として「購入日」の時点で必要経費を記帳しておく必要があります(発生主義)。

年をまたぐ取引の記帳方法(発生主義と現金主義の違い)

ただ、年をまたがない取引なら、記帳のタイミングは「実際にお金が動いた日」でも問題ありません(現金主義)。年末に行う取引は年をまたぐ可能性があるので、11月頃からは念のため「発生主義」の考え方で帳簿付けをしていくのがよいでしょう。

>> 発生主義と現金主義の違いを詳しく

② 申告書類の作成

個人事業主の確定申告の流れ(申告書類の作成)

1年分の帳簿付けが完了したら、その帳簿をもとに確定申告の提出書類を作成します。個人事業主の提出書類は、白色申告と青色申告で異なります。

個人事業主の主な確定申告書類

白色申告 青色申告
・収支内訳書
・確定申告書
・添付書類(控除の証明書など)
・青色申告決算書
・確定申告書
・添付書類(控除の証明書など)

>> 個人事業主の確定申告書類を詳しく

個人事業主の場合、確定申告書類の作り方は下記の3パターンに大別できます。基本的には、どの方法で作成しても問題ありません。

確定申告書類の作成方法

市販の会計ソフトを
利用する
・日頃から会計ソフトで帳簿付けしている人向け
・記帳内容を自動で集計して、書類に反映してくれる
確定申告書等作成コーナーを
利用する
・国税庁が運営する書類作成用のウェブサイト
・一部は自動計算だが、計算に使う金額は基本手動入力
手書きで作成する ・パソコンが苦手な人向け
・細かな計算も自力でやる必要があるのでかなり面倒

よほどパソコンが苦手でない限りは、個人事業主向けの会計ソフトの利用をおすすめします。ソフト内に入力済みの帳簿データを、そのまま申告内容の計算・記入に使ってくれるので、転記作業が不要です。そのため、写し間違いなどが起こる心配もありません。

③ 申告書類の提出

個人事業主の確定申告の流れ(申告書類の提出)

作成した申告書類は、原則「2月16日~3月15日」の確定申告期間中に提出します。提出方法は、大きく下記の3パターンに分けられます。どの方法で提出しても問題ありません(65万円の青色申告特別控除を狙う人は「電子申告」で控除要件を1つ満たせる)。

確定申告書類の出し方

持参 税務署や確定申告会場に確定申告書類を持参する
・税務署職員に対面で質問できる
・確定申告時期は混雑するので時間がかかる
郵送 確定申告書類を封筒に入れて、税務署あてに郵送する
・税務署まで行かなくても紙で提出できる
・封筒代や切手代は自己負担
電子申告
(e-Tax)
オンラインで確定申告書類のデータを国税庁に送信する
・自宅から確定申告ができる
・初心者には少し難しいかも (会計ソフトを使えば簡単)

>> 確定申告書類の提出方法まとめ

書類提出の手間をかけたくないなら、断然「電子申告」がおすすめです。従来、電子申告をするには国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や「e-Taxソフト」の利用が必須でした。しかし、近年では会計ソフトから簡単に電子申告できるケースも増えています。

帳簿や領収書などは提出しない

帳簿や領収書などは、あくまで申告書類を作成するための材料であって、確定申告で提出するわけではありません。ただ、重要なものは「7年間」にわたって保存しておく義務があります。キチンと保管していないと、税務調査などでペナルティを受けるかもしれません。

>> 帳簿・書類の保存期間について詳しく

④ 所得税の納付

個人事業主の確定申告の流れ(所得税の納付)

確定申告書を提出したら、書類上で計算した所得税額を実際に納付します。納付期限は確定申告期限と同じで、原則「3月15日」です。

所得税の納付方法

窓口納付 税務署や銀行に行って「現金」で納める
コンビニ納付 コンビニのレジに行って「現金」で納める
スマホアプリ納付 専用のウェブサイトから「スマホ決済のチャージ払い」で納める
クレジットカード納付 専用のウェブサイトから「クレカ払い」で納める
※1万円ごとに税込83円の手数料がかかる
振替納付 指定した口座から「口座振替」で納める
※事前手続きが必要
ダイレクト納付 e-Tax上で手続きをして「口座振替」で納める
※e-Taxの利用登録が必要
登録方式の電子納税 「ネットバンキング」や「ATM」で納める (e-Taxの操作が必要)
※e-Taxの利用登録が必要
入力方式の電子納税 「ネットバンキング」や「ATM」で納める (e-Taxの操作が不要)
※e-Taxの利用登録が必要

>> 国税の納付方法まとめ

おすすめの納付方法は「振替納税」です。例年、振替日は4月中旬なので、納付期限を実質的に1ヶ月ほど延長できます。振替納税を選択するには、納付期限日(原則3月15日)までに、税務署へ「振替依頼書」を提出しておく必要があります。

「ダイレクト納付」「登録方式」「入力方式」の3つは、どれも「電子納税」と呼ばれる納付方法です。e-Taxの利用登録を済ませていないと選べないので、基本的には電子申告をした個人事業主向けの納め方だと言えます。

納めた所得税は必要経費にできない!

所得税の納税額は必要経費に計上できません。事業用のお金から支払った場合は「事業主貸」の科目で帳簿付けしましょう。ただ「個人事業税」などの納付額であれば、「租税公課」の科目で必要経費に計上できます。

>> 納めた税金の記帳方法まとめ

【補足】個人事業主が納める主な税金

個人事業主が納める税金は「所得税」だけではありません。1年を通して、下記の主要な税金を納付していきます。(このほか、自動車税や固定資産税などを納付する場合もある)

主な税金と納付期限(原則)

所得税 3月15日
消費税 3月31日
住民税 6月・8月・10月・翌1月
それぞれの末日
個人事業税 8月・11月
それぞれの末日

※住民税・個人事業税の納付期限は分割納付の場合

所得税と住民税を納付する個人事業主は多いのですが、消費税と個人事業税は納付をまぬがれる事業主も多いです。おおまかにいうと、消費税は年間売上1,000万円超、個人事業税は事業所得(収入 - 必要経費)が290万円を超えるかが、ひとつの目安です。

なお、所得税と消費税は「国税」であり、納付額をみずから算出して納めます。住民税と個人事業税は「地方税」で、納付が必要な事業主には自治体からお知らせが届きます。

まとめ

個人事業主の場合、確定申告に関わる作業は下記の4ステップに分けられます。このサイクルを毎年繰り返していくことになります。

確定申告の流れ【個人事業主】

個人事業主の確定申告の流れ【帳簿付けから税金の納付まで】

個人事業主向けの会計ソフトを使えば、このうち「帳簿付け~申告書類の提出」を簡単に済ませられます。初心者はもちろん、確定申告にある程度慣れている人でも、申告にかかる時間を短縮できてオススメです。

とくにオススメなのは、大手3社(弥生・freee・マネーフォワード)が提供するクラウド会計ソフトです。いずれも日々の帳簿付けから確定申告、電子申告までをスムーズに行えます。

大手3社のクラウド会計ソフト【比較一覧表】

弥生 freee マネーフォワード
操作画面
操作画面(やよいの青色申告オンライン)
操作画面(freee会計)
操作画面(マネーフォワード)
料金
(税込)
白色:0円~
青色:9,680円/年~
12,936円/年~ 11,880円/年~
帳簿付け
自動仕訳
申告書類の作成
電子申告

>> 確定申告をカンタンにする会計ソフトまとめ

毎年、確定申告書類の作成に数日かけて苦戦する事業主も多いですが、会計ソフトを使うことで申告書類がスムーズに作成できます。この時短で浮いた時間を本業にあてることで、ソフトの利用料金(年間1万円前後)のもとがとれる事業者も多いはずです。

>> やよいの白色申告 オンライン(公式)
>> やよいの青色申告 オンライン(公式)
>> freee会計(公式)
>> マネーフォワード クラウド確定申告(公式)