白色申告の簿記まとめ【単式簿記の具体例など】個人事業主の帳簿付け

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更新日 2023年10月26日

白色申告の簿記について

個人事業主の確定申告方式は、大きく白色申告と青色申告に分けられます。ざっくりいうと、白色申告では「単式簿記」、青色申告では「複式簿記」で帳簿付けをします。白色申告は帳簿付けが簡単ですが、青色申告のような節税特典は用意されていません。
>> 【おさらい】白色申告と青色申告の違いを比較

単式簿記と複式簿記の違い【個人事業主の帳簿付け】

白色申告では「単式簿記(簡易な簿記)」で帳簿付けをします。一方、青色申告で55万円・65万円の青色申告特別控除を受けるには「複式簿記(正規の簿記)」による記帳が必須です。

個人事業主の簿記・帳簿づけ方法について調べていると、左と右に分かれて「借方・貸方」という文字を含んだ解説がよく出てくるはずです。あれは「複式簿記」の解説ですので、白色申告者は気にする必要はありません。

一応、単式簿記と複式簿記の違いを簡単に見ておきましょう。以下の記帳内容は、どちらも「チラシ印刷代10,000円を現金で支払った」ことを表します。事業を宣伝するためのチラシは「広告宣伝費」として必要経費にできます。
>> 個人事業主の必要経費【一覧表】

単式簿記の場合(白色申告)

日付勘定科目金額摘要
20XX年5月10日広告宣伝費10,000チラシ印刷代

単式簿記はわかりやすいですね。お小遣い帳のような感覚で帳簿づけができます。このように、白色申告者は売上や経費の内容、日付、金額などを入力していくシンプルなスタイルです。
>> 白色申告での帳簿付けの具体例をもっと見る

複式簿記の場合(青色申告)

日付借方貸方摘要
20XX年5月10日広告宣伝費 10,000現金 10,000チラシ印刷代

複式簿記では取引の両面を記帳します。今回の例では、「広告宣伝費が10,000円増えたこと」と「現金が10,000円減ったこと」の両方を借方・貸方という項目を使って表すわけです。 複式簿記で帳簿付けをするには、この借方・貸方という概念の理解が必須です。

記帳の義務化と帳簿の保存期間について

2013年までは、所得(事業の利益)が300万円以下の白色申告者は、帳簿付けの必要がありませんでした。しかし現在は、すべての事業者に「帳簿付け」と「帳簿や書類の保存」が義務付けられています。

作成した帳簿と、領収書などの書類は捨てずに保管しておく義務があります。収入や経費を記帳した法定帳簿は7年間、その他任意で作った帳簿と領収書などの書類は5年間保管しておきましょう。 >> 帳簿や領収書などの保存期間について

白色申告で、売上や経費について記載した帳簿は「法定帳簿」と呼ばれます。帳簿の内容をもとに、確定申告書類を作成します。白色の確定申告で提出するのは「収支内訳書」と「確定申告書」です。

白色申告と青色申告(65万円控除)の比較

白色申告と、青色申告で65万円控除をうけるための要件を比較したのが下表です。 青色申告でも、10万円控除でよければ複式簿記で記帳する必要はありません。 >> 3種類の青色申告を比較

白色申告 青色申告(65万円控除)
記帳形式 単式簿記 複式簿記
計上方法 発生主義 発生主義
帳簿
  • 法定帳簿
  • 任意帳簿
主要簿
  • 総勘定元帳
  • 仕訳帳
補助簿
  • 現金出納帳
  • 預金出納帳
  • 仕入帳
  • 売上帳
  • 買掛帳
  • 売掛帳
  • 固定資産台帳など
決算書
申告書
収支内訳書
確定申告書
青色申告決算書
確定申告書

記帳形式

白色申告の記帳形式は単式簿記です。一方、青色申告で65万円控除を受けるためには、複式簿記で帳簿付けする必要があります。
>> 青色申告で65万円控除を受けるために必要な帳簿の種類について

計上方法

白色申告も「発生主義」の考え方で帳簿付けする必要があります。発生主義とは、取引の発生した日付で帳簿付けする方法です。それに対して、現金を得た or 現金を払ったタイミングの日付で帳簿をつけるのが、「現金主義」と呼ばれる計上方法です。現金主義で帳簿づけできるのは、青色申告で現金主義のための申請を出して認められた場合のみです。
>> 現金主義と発生主義の違い

帳簿

白色申告と青色申告での大きな違いは、作成する帳簿の種類です。白色申告での法定帳簿とは、収入や経費が記載されている帳簿を指します。任意帳簿とは、それ以外で事業主が任意で独自に作った帳簿のことを指します。

青色申告の主要簿は必ず作成すべき帳簿ですが、補助簿に関しては事業に関係のない帳簿を作成する必要はありません。例えば、掛け売り(代金後払いで商品やサービスを提供すること)がひとつも発生しないのであれば売掛帳を作らなくてもOKです。

ただ、会計ソフトを使って記帳すれば、帳簿類は自動的に作成されます。さらに、昨今の人気ソフトでは記帳のための仕組みもシンプルでわかりやすくなったので、帳簿類を作るための労力の差は、実質的に無くなったと言っても良いでしょう。
>> 個人事業の会計ソフトについて

決算書

白色申告では、確定申告の際に「収支内訳書」と「確定申告書」を提出します。一方、青色申告では「青色申告決算書」と「確定申告書」を提出します。確定申告書については、どちらでも同じものを提出します。
>> 確定申告で提出する必要書類について